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第二章:くっころの女騎士?は助けない
一つめの四天王の魔力石を手に入れた!
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「…と言う訳で、魔力も体力も回復したし──始めるわよ?ソォラ!」
「…分かったわ」
気力も体力も魔力も互いに十分回復した──二人の戦闘より10分後に冒頭の会話になる。
「この賢者の石に魔力を籠めてくれる?」
「了解。」
魔力を籠めるだけの簡単なお仕事。
…特に詠唱も作法も必要としない、地味な作業。
…僅か数秒で終わった。
ぽわっ、と賢者の石──見た目は土星のようで真ん中の黒曜石に帯のようにある銀扇、大きさにして拳大くらいの石。
…その黒曜石の部分がソォラの“緑色”の魔力に満たされる。
「ありがと、ソォラ」
「…本当にこれでいいの?」
怪訝そうな眼差し…うん、分からなくもない。
何時だって杏樹は効率重視で、複雑な魔力回路なんか組まない。
簡素で単純な、誰でも分かりやすく扱い易い術式を編む。
「うん、ソォラの魔力石はこれでいいわ…後3人分の魔力石と私の魔力石と魔王様の遺体で魔王様は復活するわ。」
「…。
その言葉、嘘ではないのでしょうね?」
「誓って嘘はないわ」
…。
暫しの視線の交差。
ソォラを技能にある真贋を発動する。
「……はぁ、分かったわ。
どの道、勝負に負けたのは私だもの…信じるわよ、杏樹」
「ソォラ…うん、任せなさいっ!」
ドン、と胸を叩いて杏樹が力説する。
「“一つめの魔王四天王の魔力石を手に入れた!”よ♪お兄ちゃん!!」
魔力石…それは魔石でもなく魔法石でもない。
高魔力の魔法使いがただ空っぽな魔石に魔力を籠めただけのもの。
通常本人にしか扱えない魔力回復ポーション代わりの使用済み魔石を再利用しただけの自分専用の魔石。
当然、籠めた本人しか使えない為どこにも売れない代物。
──それを、魔王復活に使用すると言うのだから。
如何に杏樹の発想がぶっ飛んでいるか、解ろうものだ。
「勿論、このまま使うわけじゃないわ。
賢者の石自体も貴重な魔法石だしね」
「…それくらいは分かっているのね」
「ええ、まあ…魔法使いの常識でしょ?
ゴブリンの屑魔石の再利用は。」
ゴブリンの屑魔石──ゴブリンは最も弱いとされる魔物だ。
それらの魔石は含有魔力も低く、100以上は籠められないし、壊れるので戦闘の予備には余り使われない。
精々が魔導ランプの灯り代わりにしか使われない。
勿論、ゴブリンだって進化種は含有魔力も増えるが──如何せん弱い。
これはどの異世界でも共通していた──邪神を倒すあの世界は例外だ──が、勿論、そんな利用の仕方はしない。
「必要なのは魔王に近しい者の魔力石と魔王の遺体よ。
これらを魂魄魔法でハニワと魔王の遺体と結合・定着させ、聖魔法で再生させるのよ」
「うわ…っ、くっそ面倒臭い事するわね!杏樹は。」
ソォラが嫌そうに眉をしかめる。
うん、と頷いた杏樹はキリッと表情をあらためて、
「これ以外に方法はないわ──転生魔法って手段もあるけど…その場合、今のアデルではなくなるわね、100%」
「!──転生魔法も使えるの、あなた?何処の神様よ!普通人間が使えないわよ…!?」
お、おおぅ…。
凄い剣幕で詰め寄られた。
そんなに驚く事……?
「お、落ち着いて…転生魔法くらい普通でしょ?」
「普通じゃない!!」
断言された…何故?Why?
「使えないわよ!!
転生魔法は神代魔法とも呼ばれて神々が地上にいた頃に彼らが使っていたのを目撃した聖職者が書き記した聖書に載るくらいで、普通は使えないのよ!」
…そうなのか。
ラスペリアでは。
…でも、ステータス画面に載らないだけで、使えるんだな、これが。杏樹は。
「まあまあ…落ち着いて。ソォラ、興奮すると皺、増えるわよ?」
「!?皺なんてないわよ!──じゃなくて!」
文字通り転生魔法とは死んだばかりの対象の人物を別の人生を──新たな生命を対象者に与えるもの。
死にたてでないと効果は発揮せず、死語数日も過ぎれば何の意味も為さない魔法だ。
…魔王の場合は永久凍土で遺体を閉じ込めているだけで〝素〟となるアデルの魂は─…この通り、ハニワだし。
杏樹が示した方法以外はあり得ない。
《…我の話なのにぃ~っ、グスッ…みんな、我を忘れて…ヒックッ、勝手に盛り上がってるよぅ…辛いよぅ~っっ!!》
ハニワがおいおいと一人?さめざめと哭いていた。
…幼児退行でもしているのか?と問わずには居られない反応だ。
「…分かったわ」
気力も体力も魔力も互いに十分回復した──二人の戦闘より10分後に冒頭の会話になる。
「この賢者の石に魔力を籠めてくれる?」
「了解。」
魔力を籠めるだけの簡単なお仕事。
…特に詠唱も作法も必要としない、地味な作業。
…僅か数秒で終わった。
ぽわっ、と賢者の石──見た目は土星のようで真ん中の黒曜石に帯のようにある銀扇、大きさにして拳大くらいの石。
…その黒曜石の部分がソォラの“緑色”の魔力に満たされる。
「ありがと、ソォラ」
「…本当にこれでいいの?」
怪訝そうな眼差し…うん、分からなくもない。
何時だって杏樹は効率重視で、複雑な魔力回路なんか組まない。
簡素で単純な、誰でも分かりやすく扱い易い術式を編む。
「うん、ソォラの魔力石はこれでいいわ…後3人分の魔力石と私の魔力石と魔王様の遺体で魔王様は復活するわ。」
「…。
その言葉、嘘ではないのでしょうね?」
「誓って嘘はないわ」
…。
暫しの視線の交差。
ソォラを技能にある真贋を発動する。
「……はぁ、分かったわ。
どの道、勝負に負けたのは私だもの…信じるわよ、杏樹」
「ソォラ…うん、任せなさいっ!」
ドン、と胸を叩いて杏樹が力説する。
「“一つめの魔王四天王の魔力石を手に入れた!”よ♪お兄ちゃん!!」
魔力石…それは魔石でもなく魔法石でもない。
高魔力の魔法使いがただ空っぽな魔石に魔力を籠めただけのもの。
通常本人にしか扱えない魔力回復ポーション代わりの使用済み魔石を再利用しただけの自分専用の魔石。
当然、籠めた本人しか使えない為どこにも売れない代物。
──それを、魔王復活に使用すると言うのだから。
如何に杏樹の発想がぶっ飛んでいるか、解ろうものだ。
「勿論、このまま使うわけじゃないわ。
賢者の石自体も貴重な魔法石だしね」
「…それくらいは分かっているのね」
「ええ、まあ…魔法使いの常識でしょ?
ゴブリンの屑魔石の再利用は。」
ゴブリンの屑魔石──ゴブリンは最も弱いとされる魔物だ。
それらの魔石は含有魔力も低く、100以上は籠められないし、壊れるので戦闘の予備には余り使われない。
精々が魔導ランプの灯り代わりにしか使われない。
勿論、ゴブリンだって進化種は含有魔力も増えるが──如何せん弱い。
これはどの異世界でも共通していた──邪神を倒すあの世界は例外だ──が、勿論、そんな利用の仕方はしない。
「必要なのは魔王に近しい者の魔力石と魔王の遺体よ。
これらを魂魄魔法でハニワと魔王の遺体と結合・定着させ、聖魔法で再生させるのよ」
「うわ…っ、くっそ面倒臭い事するわね!杏樹は。」
ソォラが嫌そうに眉をしかめる。
うん、と頷いた杏樹はキリッと表情をあらためて、
「これ以外に方法はないわ──転生魔法って手段もあるけど…その場合、今のアデルではなくなるわね、100%」
「!──転生魔法も使えるの、あなた?何処の神様よ!普通人間が使えないわよ…!?」
お、おおぅ…。
凄い剣幕で詰め寄られた。
そんなに驚く事……?
「お、落ち着いて…転生魔法くらい普通でしょ?」
「普通じゃない!!」
断言された…何故?Why?
「使えないわよ!!
転生魔法は神代魔法とも呼ばれて神々が地上にいた頃に彼らが使っていたのを目撃した聖職者が書き記した聖書に載るくらいで、普通は使えないのよ!」
…そうなのか。
ラスペリアでは。
…でも、ステータス画面に載らないだけで、使えるんだな、これが。杏樹は。
「まあまあ…落ち着いて。ソォラ、興奮すると皺、増えるわよ?」
「!?皺なんてないわよ!──じゃなくて!」
文字通り転生魔法とは死んだばかりの対象の人物を別の人生を──新たな生命を対象者に与えるもの。
死にたてでないと効果は発揮せず、死語数日も過ぎれば何の意味も為さない魔法だ。
…魔王の場合は永久凍土で遺体を閉じ込めているだけで〝素〟となるアデルの魂は─…この通り、ハニワだし。
杏樹が示した方法以外はあり得ない。
《…我の話なのにぃ~っ、グスッ…みんな、我を忘れて…ヒックッ、勝手に盛り上がってるよぅ…辛いよぅ~っっ!!》
ハニワがおいおいと一人?さめざめと哭いていた。
…幼児退行でもしているのか?と問わずには居られない反応だ。
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