婚約破棄を画策したのは悪役令嬢(私)です。

「アイネリーディン・クロックタワー公爵令嬢!貴様よくも俺のかわいいナンシー・バックレア男爵令嬢を虐げたな…ッ!?」
「…なっ!?事実無根ですわ、第三王子殿下…ッ!!」
「ええい、うるさいうるさーーいッッ!!貴様のような性根の腐った女と10年も婚約者で居たとは…!」
「第三王子殿下……!?な、なにを…」
…パシーーンッ!!
本日は王城で王太子と王太子妃両殿下の結婚10周年の結婚記念日だ。
その目出度い日に響くのは第三王子が婚約者たる公爵令嬢の頬を平手打ちする音。

──シーーンッ──…

静まり返る応接間(メインホール)で第三王子の憤怒に塗れたが鳴り声が響いた。

「貴様との婚約は破棄だ!そして俺はかの真に愛しい“真実の愛”で結ばれたナンシー・バックレア男爵令嬢と結婚する!!…貴様は目障りだから国外追放…この国から出て行けッ!!」
「婚約破棄…畏まりました。国外追放…は第三王子殿下(あなた)にその権限は御座いませんよ?」
ニヤリと嗤ったのだった──。

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