7月の流星群~時の砂と星屑ロケット~

それはいつもの風物詩で、少女はいつも春を断ち切っていた。

『時坂亜矢さん、貴女の事が好きです!』
『──ごめんなさい』

そう言って断ったのは何度目か…もうかれこれ10年になる。幼馴染みの彼の一途な想い…出来れば少女も『答えたかった』。

…そうしにければ彼を、大切な男の子を守れない──。

「お帰りなさい、亜矢。さあ、いつものように可愛がってあげようね♡」
「………っ、はい…お父さん」

震える手で父の寝室で服を、下着を脱いでいく…。
この父から。
守れるのは私だけだから…。

ミーンミンミンミーンッ──…
ミーンミンミンミーンッ──…
ミーンミンミンミーンッ──…

セミの鳴き声が嫌に耳にリフレインした。

畳の上の万年床、脱ぎ散らかした高校の制服、靴下、黒地に紫揚羽蝶の紐パンティー、揃いのブラジャー…その上に父のトランクスが置かれた。
敷き布団の上に押し倒された少女は──感情を置き去りに静かに哭いていた。



これは退廃的な関係を強いられる少女を救い出す物語────なのかもしれない。
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