婚約破棄から始まるクーデター

「アリシア、私は君との婚約破棄をこの場で宣言する!」

王城の、ましてや建国記念日の式典パーティーで“まさか”の宣言をした金髪&碧眼の美丈夫──まあ、この国の“第2王子”にして王位継承権はない、妾妃の腹から産まれたハリボテ王子様(笑)が言う。

「──よろしい。なら戦争ですわ、王・子・様・?」

ざわめく周囲に微笑み一つ。

ざわめく王子様(笑)の腕にへばりつく見知らぬ女…けれど、そんな事はどうでもいいのです。

王子様(笑)がそこの女に現を抜かしている間、私は愛しいあの人を想い剣を振るっていたのだから。

海の向こうのあの人…王子様(笑)とは違う銀髪に青い瞳を携えたあのお方。

単なる庶子でしかない王子様(笑)とは比べるまでもない、あの方…

ああ、お逢いしたいと何度想っただろう。
愛しさに胸を焦がして…飛んで行った事も御座いますね。

…その度に怒られましたけれど、最後は呆れ半分、嬉しさ半分の笑顔で『私も君に逢いたかった』と言って微笑んで下さいました…。

「──私達の為に踏み台になって頂きますわよ?王子様(仮)」

──これは、そんな婚約破棄から始まるクーデターストーリー。
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