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お茶会デビュー
お茶会5
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お茶会が終わり、私は一緒に王城へ来たお父様の所へ向かった。現在会議中であるお父様は、会議室にいるはずだ。
すると丁度、お父様が参加していた貴族会議が終わったようで、次々と貴族の当主だと思われる大人が扉から出てくる。
「おおアイシャ! 茶会が終わったのか! 何もされなかったかい?」
私を見つけるなり一瞬で顔をデレさせたお父様を目の当たりにした周りの貴族達は、嫌なものを見たとばかりに見て見ぬふりをする。
あら、このお父様の姿を見た人はほぼ全員驚くのだけど、やっぱり貴族の当主は違うのだわ。
それに比べてお父様は随分と大人げないというか、なんというか。こう…ちょっと、格好悪いのよね。
「…お父さま、それ、私とエドが会う度にかくにんするつもりなの…?」
隙あれば王太子の弱みを探るとは…流石お父様、侮れない公爵ね…
「当たり前じゃないか! まあ、うちの可愛い娘に手を出したというのなら直ちに殺――抹殺してやるのだが…あいにくあいつは用心深いから、中々尻尾を見せないのだよ…」
…言い直す必要、あったのかしら。いいえそれより、王太子を抹殺って…お父様は王族を何だと思っているの。
でもお父様も口ではそう言っているけれど、なんだかんだ言ってエドを大切にしているのよね。だって、お父様のエドを見る目は優し気だもの。ほんの少しだけだからわかりにくいけれどね。
―などと思っていると、お父様の顔がどことなく疲れていることに気づく。
1日中働いていても疲れを見せない父のことだから、よっぽどのことがあるに違いない。
「何かあったの?」
心配でそう聞くと、お父様はなんともなさそうな態度で答えた。
「ん? ああ、やっぱりアイシャは鋭いね。大したことではないんだ。ただ、少しだけ面倒なことになってしまってね…でもアイシャが気にすることではないから、安心していいよ」
お父様は安心させるように私の頭を撫でると、言葉を続ける。
「そうだ、あいつへの贈り物は何にしたのかい? 心優しいアイシャのことだから、きっと何かあげたのだろう?」
うーん、これは、完全に話をはぐらかされたわね…こればかりは仕方ないわ、その手に乗ってあげましょう。
「うふふ、聞いておどろかないでね!」
「ほお、そう言われてしまえばどんな贈り物にしたのか余計に気になってしまうね」
「実は、黄金色のメリルの花をあげたのよ!」
「おお!それはすごい―………って、ええ!? あ、アイシャ、黄金だって!? だ、だめだ! お前は永遠に私達と一緒に暮らしているんだ!」
あら、予想以上のリアクションをしてくれたわね。でも、なんだか意味不明なことを言っているわよ。
「…アイシャ、詳しく私に教えなさい」
ええ? お父様ったら急にそんな神妙な顔をしちゃって、どうしたのかしら。
◇◇◇
「ああああ、どんどん逃げ道が狭くなっているじゃないか! どうして先に私に言ってくれなかったんだ!?」
「へ? えっと…お母さまに、『いい?アイシャ、ちゃんと王太子殿下へ渡すまで、クリスにこの事を言ってはダメよ。邪魔されてしまうから』って言われたからよ」
私はちゃんと約束を守れる偉い子なのよ。
「ああベル、アイシャにとんでもない入れ知恵をしたね!?」
そうツッコミを入れるお父様は、少々大袈裟すぎではないだろうか。
もう本当に、どうしちゃったのよ? そんなに騒ぐ事柄ではないじゃないの。
ああ、こうなる理由はきっとあれね…
「…お父さま、私、やっとわかったわ」
そう言って私はキリッとした表情を顔に浮かべる。
「…今アイシャが言おうとしてることは、絶対に事実と異なっている気がするのだが」
む、何よそれ。まあいいわ、私は広い心を持ってるから許してあげる。
「ええ、ええ、お父さまは何か変なものを食べてしまったのよ。だからそんなにうるさくなるんだわ!」
私が自信満々にそう言うと、お父様は深い溜息をついて頭を抱えてしまった。
まあ、正論過ぎて言葉が返せないのね? うふふ、だから私を舐めてはいけないのよ!
「…本当に、(色々な意味で)お前はすごいよ…」
「えっへん!…ん?あっ、そうだ! お父さま、早く帰りましょ! お母さまに、『早く帰ってきて話を聞かせてちょうだい』って言われているのよ!」
―そうして、がっくりと肩を落としているお父様とは裏腹に、私はご機嫌で公爵邸へ帰ったのだった。
昔、この世界では、とある有名なカップルが居たらしい。そしてそのカップルは、バラ園で結ばれたとか。
そんな話を帰りの馬車でお父様に聞かされたけれど、どうしてお父様が急にその話をしたのか、私には全く理解できなかった。
すると丁度、お父様が参加していた貴族会議が終わったようで、次々と貴族の当主だと思われる大人が扉から出てくる。
「おおアイシャ! 茶会が終わったのか! 何もされなかったかい?」
私を見つけるなり一瞬で顔をデレさせたお父様を目の当たりにした周りの貴族達は、嫌なものを見たとばかりに見て見ぬふりをする。
あら、このお父様の姿を見た人はほぼ全員驚くのだけど、やっぱり貴族の当主は違うのだわ。
それに比べてお父様は随分と大人げないというか、なんというか。こう…ちょっと、格好悪いのよね。
「…お父さま、それ、私とエドが会う度にかくにんするつもりなの…?」
隙あれば王太子の弱みを探るとは…流石お父様、侮れない公爵ね…
「当たり前じゃないか! まあ、うちの可愛い娘に手を出したというのなら直ちに殺――抹殺してやるのだが…あいにくあいつは用心深いから、中々尻尾を見せないのだよ…」
…言い直す必要、あったのかしら。いいえそれより、王太子を抹殺って…お父様は王族を何だと思っているの。
でもお父様も口ではそう言っているけれど、なんだかんだ言ってエドを大切にしているのよね。だって、お父様のエドを見る目は優し気だもの。ほんの少しだけだからわかりにくいけれどね。
―などと思っていると、お父様の顔がどことなく疲れていることに気づく。
1日中働いていても疲れを見せない父のことだから、よっぽどのことがあるに違いない。
「何かあったの?」
心配でそう聞くと、お父様はなんともなさそうな態度で答えた。
「ん? ああ、やっぱりアイシャは鋭いね。大したことではないんだ。ただ、少しだけ面倒なことになってしまってね…でもアイシャが気にすることではないから、安心していいよ」
お父様は安心させるように私の頭を撫でると、言葉を続ける。
「そうだ、あいつへの贈り物は何にしたのかい? 心優しいアイシャのことだから、きっと何かあげたのだろう?」
うーん、これは、完全に話をはぐらかされたわね…こればかりは仕方ないわ、その手に乗ってあげましょう。
「うふふ、聞いておどろかないでね!」
「ほお、そう言われてしまえばどんな贈り物にしたのか余計に気になってしまうね」
「実は、黄金色のメリルの花をあげたのよ!」
「おお!それはすごい―………って、ええ!? あ、アイシャ、黄金だって!? だ、だめだ! お前は永遠に私達と一緒に暮らしているんだ!」
あら、予想以上のリアクションをしてくれたわね。でも、なんだか意味不明なことを言っているわよ。
「…アイシャ、詳しく私に教えなさい」
ええ? お父様ったら急にそんな神妙な顔をしちゃって、どうしたのかしら。
◇◇◇
「ああああ、どんどん逃げ道が狭くなっているじゃないか! どうして先に私に言ってくれなかったんだ!?」
「へ? えっと…お母さまに、『いい?アイシャ、ちゃんと王太子殿下へ渡すまで、クリスにこの事を言ってはダメよ。邪魔されてしまうから』って言われたからよ」
私はちゃんと約束を守れる偉い子なのよ。
「ああベル、アイシャにとんでもない入れ知恵をしたね!?」
そうツッコミを入れるお父様は、少々大袈裟すぎではないだろうか。
もう本当に、どうしちゃったのよ? そんなに騒ぐ事柄ではないじゃないの。
ああ、こうなる理由はきっとあれね…
「…お父さま、私、やっとわかったわ」
そう言って私はキリッとした表情を顔に浮かべる。
「…今アイシャが言おうとしてることは、絶対に事実と異なっている気がするのだが」
む、何よそれ。まあいいわ、私は広い心を持ってるから許してあげる。
「ええ、ええ、お父さまは何か変なものを食べてしまったのよ。だからそんなにうるさくなるんだわ!」
私が自信満々にそう言うと、お父様は深い溜息をついて頭を抱えてしまった。
まあ、正論過ぎて言葉が返せないのね? うふふ、だから私を舐めてはいけないのよ!
「…本当に、(色々な意味で)お前はすごいよ…」
「えっへん!…ん?あっ、そうだ! お父さま、早く帰りましょ! お母さまに、『早く帰ってきて話を聞かせてちょうだい』って言われているのよ!」
―そうして、がっくりと肩を落としているお父様とは裏腹に、私はご機嫌で公爵邸へ帰ったのだった。
昔、この世界では、とある有名なカップルが居たらしい。そしてそのカップルは、バラ園で結ばれたとか。
そんな話を帰りの馬車でお父様に聞かされたけれど、どうしてお父様が急にその話をしたのか、私には全く理解できなかった。
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