無自覚な少女は、今日も華麗に周りを振り回す。

ユズ

文字の大きさ
上 下
9 / 55
前とは違う、新しい人生

誰の声?

しおりを挟む
『アイ…ナ、あなたは…の力を…に知られてはいけません…があなたを消しに…でしょう」

…はっ!誰!?

私は勢いよく起き上がって周りを見回してみるけれど、ここは私の部屋で、誰もいなかった。

…夢?でも、聞き覚えのある声だった…

えーっと、確か…って、あああああ!何で忘れてたんだろう!?

前世で私がまだ幼い頃、よくこの声が夢に出てきていた。私はあまり夢を見ないから印象に残っていたのだけど…
そういえば、佐藤さんが亡くなった後に食堂に押しかけたのって、この声に言われたからだったわ…

まあそれもあるけれど、図書館が近いっていうほうが私にとって魅力的だったのは認めなくもない。

あれ?もしかしてあの自己紹介の時に私が皆に呆れられたのって、私が本が好きだからというだけで押しかけたと思われていたからじゃ…?

うっ、あまり否定できないから悔しい。

いや、この話は置いておいて、あの声の正体は一体誰なの?
もしかしてあの手紙を書いた人と同一人物?

ああでも、問題はそこじゃない。あの声の言うことは、確実に現実になる。

私が誘拐される前日の夜もこの声がして、知らない人について行くなとその声に言われたのだけど、私がちょーっとばかり思い違いをして誘拐されたのよね。

じゃあ、今回の声は?この声は、私に力を隠せと言っていた。
というかこの声って、神の声なんじゃないだろうか?あの声は、地球に存在するものじゃない。地球上のすべての言語を把握している私が言うのだから、間違いない。

なのに不思議と、私はその言葉が最初から理解できた。それにあの声を聞くと、なんだか落ち着くような感じがするのよね。

私って一度聞いただけで初めての言語でもわかる天才だった…?それが力?
…神の力で理解できたって考えるのが妥当だったわ。だって私は平凡な女の子だもの!

それなら力って?魔力、神聖力、属性、腕力(?)、前世の記憶、魅力、権力…この中のどれかかな?

まあとりあえず、力を隠せってことだよね!
ふふっ、神もどき様!見ててくださいね!ちゃーんと隠し通してみせますよ!

そう心のなかで、どこかで見ているかもしれない声の主に宣言したのだけど、なぜだか大きなため息が聞こえた気がした。…きっと気のせいだわ。


コンコン
「お嬢様、お目覚めでしょうか。朝食のお時間でございます」

そうノックをして声をかけてきたのは、メイドのエリーだった。

「うん、いまおきたわ。はいってきて」

「失礼します」

そう言ってエリーは私の部屋の中に入ると、すぐさまこちらへ来て私の身支度を始める。
最初はお世話されることに慣れなかったけど、今ではすっかり馴染んでいた。

私は身動きが楽なドレスを着て、家族のいる食堂へ向かった。

そういえば今日は、王太子殿下に会うために王城へ行くのだった。

あぁ、またあの窮屈なドレスを着なきゃいけないの…? 別にいいじゃない、着なくたって。
どうせ誰も気にしないわ。

けどそのことで家のことを悪く言われるのは嫌だから、大人しくしていることにする。

正直に言って、私は既に家族大好きっ子になっているのだ。
そりゃあ、あんなに毎日可愛がられてしまっては、ならない可能性のほうが少ないと思う。

家族といえばお父様の母親、つまり私のお祖母様は前国王の妹。だから王太子殿下と私ははとこで、今日会う理由は王太子殿下と私との縁談の話がでているのだろう。そうでなくても、私との親交があって損はないと考えたのだろうけど。

父親は国王の従兄弟で王国唯一の公爵、母親は隣国のアルテス帝国の王女、そして公爵家は以前よりも力を持ちはじめている。

縁談の話がでないほうがおかしい。

でも、私はこの縁談を今すぐにでも断ってしまいたい。王妃になるなんて、絶対に大変だ。
けれどここで公爵家が縁談の話を断ってしまうと体裁が悪い。家族には迷惑をかけたくない。

まあ、あのお父様なら簡単には私を手放そうとしないんじゃないかしら。

そのことが嬉しくて、少し頬が緩んでしまった。

この話を嬉しく思えるなんて、私は本当に家族に心酔してしまったわね。

それも悪くないと思えるのは、私が心酔しているという確実な証拠なのではないだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

処理中です...