お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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97.寝込みを襲ってみました。

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 目を覚ますと、彼が眠っていた。
 彼の腕の中で寝落ちしてしまったようで、腕枕されている。

 既に日が昇って時間が経つようだ。
 何せ、朝焼けになるまで彼は私を寝かせはしなかったから。

 最近眠れなかったこともあってか、彼を求める方が優先されたのか、彼にずっと“愛される”ことも苦痛ではなく、むしろとても心地良くて……。

 そう思い出して、顔が熱くなる。

 浅井さんとのことをずっと引きずってしまうかと思っていた。

 実際昨日は一度、行為が恐いと無意識に感じていたのだから。

 それでもシンとの時間が、シンのくれる優しさが、全部を拭ってくれた。

 時間をあげると豪語しておいて、私が満たされてしまった。

 シンが求めてくれることが嬉しくて。

 シンは、満たされたのだろうか…?

 彼の整ったまつ毛や、キリッとした眉、狭い額、スラッとした男らしい鼻筋をじっくり観察し、薄い唇にそっと指を這わせる。

 柔らかくて、いつも素敵なキスをしてくれる。

 そう思い出したらドキドキして、嬉しくなって、いたずらにそっとキスをした。

「ん……」

 彼の眉がピクリと反応して、静かに離れようとしたが、彼は腕枕ごと私を包み込み、啄むように触れるだけのゆっくりとしたキスを何度も返した。
 リップ音が響くと、唇から電流が走るような感覚を敏感に感じ取ってしまい、つい声が漏れ始める。

「んっ……」
「…………結奈」

 ようやく目を開いた彼はまだ少し寝ぼけた様子で、それがとても可愛く見えて、またドキドキしてしまった。
 少し視線を下ろし考えたのち、彼はまた視線を戻して私を見つめた。

「……俺が襲った?」
「いえ…私がキスを…」
「そ。可愛い」

 珍しく微笑む彼は、きっとまだ寝ぼけているからなのだが、初めて見るような幸せそうな表情に、ドキッと胸が高鳴る。

 あぁ…私、相当彼に惚れ込んでしまっている。

 彼の方が可愛いなんて、言ったら怒られるだろうか?

 なんて呑気に考えていたら、彼が身体を引き寄せ、下半身にぶつかる物の違和感に気付いた。

 お互い裸で寝てしまったので、その正体が何かは分かっているのだが…
 あまりにも硬くて、寝起きとは思えない。

「あ…当たってます」
「わざと」
「ん…」

 ゆっくりキスをされて、耳や首筋に移動されて。
 彼の愛撫は私を誘うのがうまいらしく、簡単に感じてピクピクと揺れてしまう。

 それに合わせて彼のソレが反り立ち、私のナカヘ入ろうと股の隙間に押しつけるから、なんとか防ごうとモゾモゾと身体を逃す。
 
 こんなことしても無駄なのは分かってる。
 彼は今までこんな風に当ててきたことないもの。
 私を欲している彼を拒むことなんて、私には出来ないから。
 求められたら、理性に反して求めてしまうから。

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