お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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96.浴室に響く甘音

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「フッ…恥ずかしいことをサラッと」
「っ!欲しいと言われたから…あっ!」

 からかわれたと思えば、彼は私を抱き締めて、首筋にキスをしながら下から突き上げた。

「んっ!ふっ!あぁ……!」
「……あー…逆上せそう」
「っ!そんなの…分かりきって…んんっ!」

 あまりにも響く声に、口を手で押さえるも、彼は不服とばかりに私の手を掴み、その口に自身を重ねる。

「…良過ぎてイきそう」
「あん…んっ!
はっ、激しっ…すぎです!」

 グッと腰を両手で挟み、小刻みに腰を突き上げられて、彼の肩に腕を回すので精一杯だ。

 大きく水面が揺れて、チャポチャポと音を成す。

 身体の中と同じように、耳を魅了する。

「フッ……熱いな」
「んっ」

 ガンッと強く打ち付けられてゆらゆらと腰を揺らされだと思えば、耳たぶを口に咥えられて、じゅるじゅると吸われる。

「はっ、はぅ…はん……」
「……可愛いよ結奈」
「ひゃんっ」

 首筋を大きく舐め上げられて、変な声が出てしまった。
 ま、また可愛いって…!

「か、可愛くなんか…!」
「…全身に、俺の跡を残したいくらい」

「んっ」

 鎖骨をチュッと吸われると、身体の全神経がそこに集中するかのようだ。

「っ……残してもいいです、よ」
「……やだ」
「じゃあ私がしてもいいですか?」
「だめ」

 何故?と聞くと、彼は優しい眼差しで私を見上げた。

「離れられなくなる」
「ん……」

 言葉を濁すように、キスを続ける彼に、胸が熱くなる。

 離れなくなっていいんですよ。
 私は、ずっとそばに居たい。
 あなたの、本当の彼女になりたい。
 子作りとは関係無しに、あなたと……

 そう続けたくても、彼の腕が離してくれない。

「はぁ、はぁ……好きです」
「っ……」

 彼はほんの少しだけ動きを止めた。

「……あぁ。俺も好きだよ」
「シン……んっ!」

 身体を押し倒され、背をもたれる。
 彼が私に覆い被さり、少し水面から身体を上げると、また激しく腰を振り始めた。

「やっ…あぁんっ!」

 少しでも視線を下ろせば、自分達の接合部分が見えてしまう。
 何よりライトがついた中で私達は裸なのだ。
 押し込まれるような感覚に、身体が震え始める。

「シン……!好き……好きです…ん!」
「っ……あぁ。分かってる」
「あっ、あっ、あぁ~っ!」

 いいところに擦れて、また果ててしまったが、彼もまた限界だったようで、私の締め付けに顔を渋らせた。

「っ……イクよ……」
「んんっ!はい…っ私のナカに……出し、てっ……あぁん!」
「っ……つっ!!」

 手を伸ばし彼を引き寄せるのと同時に、彼も私の中で欲望を吐き出した。

「はぁ…はぁ……シン……んっ」
「フー……エロすぎ」

 もう既に脈打つそれは終わっているが、彼は腰を押しつけて更に深くへと押し込もうとする。
 それが獣の本能かのように思えて、求められてるのだと感じてしまう。

「あ……はっ」
「……好きだよ、結奈」

 掠れた、聞き逃してしまいそうな小さな声。

 どういう意味かと考える間も無く、トロンとした私をギュッと抱き締めてくれる彼に、愛おしさで満たされる。

 ちゃんと言葉にして、分かる。

 本当に、彼が好きだと。

 もう、恐くないと。
 
 彼がするように、また首筋にキスをする。
 跡も残ってしまえ、と思いながら。
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