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91.甘い時間過ぎて困る
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「…き、綺麗だなんて……」
「毛先も巻いてる」
「それはメイドの高木が…いえ、そうではなく、て…!」
顔が離れないまま毛先を弄ばれて、また距離を詰められれば、なんとか逃れようとした身体はバランスを崩して後方へ倒れかけるも、彼が背中に腕を回し止められた。
「…ごめん。取り乱した」
と、取り乱した…!?
さっきからさほど表情は変わってないのだけど!
「ひゃっ…」
彼が隣に座ったかと思えば、スッと膝の裏に手を入れて抱き上げられ、膝の上に収められてしまった。
こ、これは…!
一瞬だけど、お姫様抱っこされた…!?
それとも今もされていると考えるべきなの…!?
それに…いつもよりもずっと…近い……!
「し、シ……んっ」
ビクッと、身体に更に力が入る。
顔を上げたら彼がまたキスをしたからだ。
ギュッと目を瞑るも、唇はすぐに解放され、静かに言葉を紡ぐ。
「…もう…出来るの?」
「っ…はい……」
ハッと目を開けて、彼と目が合い、つい目を逸らしてしまった。
置き場のわからない両手を自分の腹部に乗せ、ソッと深呼吸する。
彼の言わんとしてることが分かった。
だって…その為に来たんだから。
「終わってから1日開けたので…大丈夫です」
「……そ」
短く声が返ってきて、恐る恐る彼を見ると、普段より艶やかな瞳が私を見下ろしていた。
あ……。
頬に手を添えられ、優しく撫でられる。
見つめられている時間が、凄く長く感じた。
「何か…ありましたか?」
「……え?」
思わず聞いてしまったけれど、どう説明していいか分からず、言葉に詰まる。
「あ、いえ……なんだか、いつもと違う、から……」
甘い時間すぎて。
何か訳があるのではと疑ってしまったのだが…
彼がだんまりしてしまって、余計な事を言ってしまったのだと気付く。
また行為をやめてしまわれたらどうしよう…?
そう不安を抱き始めた時、彼が深くため息をついて、思わずビクッと反応した。
「……思ってた以上で、困ってる」
「え?」
彼が…困ってる?
「結奈が目の前にいる事に」
「私がいる事?」
前後の文を考慮しても、含みがよく読み取れず困惑していると、彼は瞼を閉じて額を重ねた。
またキスされるのかと、身を固めたが、彼は短くため息をついて気怠そうに声を漏らす。
「……察して」
「こ…言葉にしてもらえないと…分からないです…」
「フッ…じゃあいいよ」
珍しく笑い、また髪を撫でる彼に、私は平常心を保てていなかった。
先程から心臓が早く鼓動を打つのですが…!
どうしていつもよりこんなに…!
てっきりすぐ、するのだと思ってたのに…
触れる額に意識し過ぎて、ジンジンする。
視界を占める彼の長いまつ毛を、ただ息を殺して見つめていると、彼は髪を撫でる手を私の肩から腕、そして手のひらに移動し、ピクッと反応した。
「ん……」
「…手冷たい。ずっと座って待ってただろ」
ドクン……と心臓が強く脈打つ。
あ、まずい…この感じは…ちょっと、怒ってらっしゃる…?
「毛先も巻いてる」
「それはメイドの高木が…いえ、そうではなく、て…!」
顔が離れないまま毛先を弄ばれて、また距離を詰められれば、なんとか逃れようとした身体はバランスを崩して後方へ倒れかけるも、彼が背中に腕を回し止められた。
「…ごめん。取り乱した」
と、取り乱した…!?
さっきからさほど表情は変わってないのだけど!
「ひゃっ…」
彼が隣に座ったかと思えば、スッと膝の裏に手を入れて抱き上げられ、膝の上に収められてしまった。
こ、これは…!
一瞬だけど、お姫様抱っこされた…!?
それとも今もされていると考えるべきなの…!?
それに…いつもよりもずっと…近い……!
「し、シ……んっ」
ビクッと、身体に更に力が入る。
顔を上げたら彼がまたキスをしたからだ。
ギュッと目を瞑るも、唇はすぐに解放され、静かに言葉を紡ぐ。
「…もう…出来るの?」
「っ…はい……」
ハッと目を開けて、彼と目が合い、つい目を逸らしてしまった。
置き場のわからない両手を自分の腹部に乗せ、ソッと深呼吸する。
彼の言わんとしてることが分かった。
だって…その為に来たんだから。
「終わってから1日開けたので…大丈夫です」
「……そ」
短く声が返ってきて、恐る恐る彼を見ると、普段より艶やかな瞳が私を見下ろしていた。
あ……。
頬に手を添えられ、優しく撫でられる。
見つめられている時間が、凄く長く感じた。
「何か…ありましたか?」
「……え?」
思わず聞いてしまったけれど、どう説明していいか分からず、言葉に詰まる。
「あ、いえ……なんだか、いつもと違う、から……」
甘い時間すぎて。
何か訳があるのではと疑ってしまったのだが…
彼がだんまりしてしまって、余計な事を言ってしまったのだと気付く。
また行為をやめてしまわれたらどうしよう…?
そう不安を抱き始めた時、彼が深くため息をついて、思わずビクッと反応した。
「……思ってた以上で、困ってる」
「え?」
彼が…困ってる?
「結奈が目の前にいる事に」
「私がいる事?」
前後の文を考慮しても、含みがよく読み取れず困惑していると、彼は瞼を閉じて額を重ねた。
またキスされるのかと、身を固めたが、彼は短くため息をついて気怠そうに声を漏らす。
「……察して」
「こ…言葉にしてもらえないと…分からないです…」
「フッ…じゃあいいよ」
珍しく笑い、また髪を撫でる彼に、私は平常心を保てていなかった。
先程から心臓が早く鼓動を打つのですが…!
どうしていつもよりこんなに…!
てっきりすぐ、するのだと思ってたのに…
触れる額に意識し過ぎて、ジンジンする。
視界を占める彼の長いまつ毛を、ただ息を殺して見つめていると、彼は髪を撫でる手を私の肩から腕、そして手のひらに移動し、ピクッと反応した。
「ん……」
「…手冷たい。ずっと座って待ってただろ」
ドクン……と心臓が強く脈打つ。
あ、まずい…この感じは…ちょっと、怒ってらっしゃる…?
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