お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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49.気付けば中心に彼がいる

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  昼休憩。
  長いその休み時間は、図書室での資料集めにちょうど良くて。

  私は軽食を済ませたのち、グループ発表の為の資料を探していた。

  パソコンでの資料はいつでも集められるが、ここでしか見つけられないデータも沢山ある。

  それに、どうしてもインターネットを通じた資料というのは人のと重なるし、時折ページ作成者の改変が混じる。

  その僅かな歪み・言葉の砕き方によって、捉え方が変わっていってしまうことが多いのだ。

  分かりやすい資料よりも、より正確な情報を入手するために、本は欠かせないものと、私は思っている。

「ふぅ……」

  髪が背後で揺れ、読む前に髪を束ねたことを思い出した。


  ……とはいえ、読み解くのには時間がかかる。

  タイトルだけではなく、分厚い本から必要な箇所を見つけ、抜き取るという作業は、いくら私でもかなりの集中力がいる。

  本当なら、数人でやれるのが一番効率がいいのだろうが…
 
  ふと、シンの瞳が頭に浮かんで、ドキッとする。

  シンには確か、別のものを担当してもらってたはず。

  それに、他の人がネットで得た情報と照らし合わせて、正解を作っていくことに意味があるのだ。

  今は、シンは、関係ない。

  グループ学習がある午後の講義までには、終わらせておきたい。
 それに、放課後にはまだ、やらなければならないことがある。

 浅井さんに、会わなければならない。

 会って、別れを告げなければならない。

 たくさん考えた。
 浅井さんとも付き合った上で、シンと関係を持ち続け、妊娠率を上げることが出来るのなら、私の目標達成までの期間は短くなるのではないかと。

 シンは、私と浅井さんの関係に口を出さない。

 それは、興味がないだけの話ではないと思う。

『あんたは、浅井を選んだ』
『自分のことだ、自分で決めろ』

 浅井さんと会った後、彼は私にそう言った。
 あれは私に自分で結論を出して、選択をさせるためなのだろう。
 
 1人に絞るのか、複数と関係を持つのか。

 そしてどの選択をしようと、彼はきっと私を抱く。
 そういう契約のハズだから。

 だから、これは、ただ私の倫理観と、方向性の話だ。

 私が、本当に複数と関係を持ちたいのか。
 そこまでして妊娠を求めるのか。
 それとも、シンと──…

 そう考えた所で、ペンを握る指が止まった。

 どうしてこうも、シンを中心に考えているんだろう?

 たった数日の付き合いだというのに。

 浅井さんよりも貧弱な、のはずなのに。

 どうして……

「おや。
一瞬誰だか分からなかった。
似合ってるね、それ」

  急に背後から髪を掬われて、身体が強張り、緊張が走る。

  この声は…

「前山、先輩…っ!」

 
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