お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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48.2日ぶりの屋敷

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「ただいま…」
 
「お嬢様!
心配していたのですよ!」

  真っ先に屋敷の扉へ駆け付けてきたのは、いつも身の回りの世話をしてくれている高木であった。

  『恋愛マニュアル』を貸してくれた張本人である。

「ありがとう。
でも、心配はもう無用ですよ?
大学生になりましたから…」

「それでも2日もお泊まりになったら心配ですよ!
しかも朝帰りですし!
連絡貰ってたから捜索願いは出さなかったものの、もしもお嬢様に何かあったら…」

「それより、お父様は?」

  わざと話を遮ったことで、若くて美人なメイドが、ほんの少し頬を膨らませた。

  屋敷に来てから5年は経っているが、一番若く、おそらく唯一の未婚者である。

  最近彼氏が出来たと豪語していたが。

  日曜日くらいしか休みがないこの屋敷しょくばで、いつ彼と会ったり話したりするのだろうか?

  彼は、不満では無いのだろうか?

「旦那様はあれから戻られておりません」

「そう」

「お嬢様…?
あの日から雰囲気が変わられた気がするのですが、何かあったのですか?」

  5年の付き合いは、侮れない。
  女の勘というのが、恐らく高木は強いのだ。

  私の無自覚な体調の悪さを確認するのも彼女の役目だった。

  だからお父様は高木を私の側近メイドにしたのだろうけど…

「大丈夫。
大学の始業までまだあるから、ちょっとお風呂入りたいんだけど…」

「かしこまりました!
沸かしておきますので!」

  高木は頭を下げて、踵を返し浴場へと向かって行った。

  少しホッとした。

  私も自室へ向かい、2日ぶりの自分のベッドへ灘れる。

  始発で帰ってきて正解だった。

  特にお咎めも無さそうだ。

  お父様はよく家を開けてるから、私の状況なんて把握してない。

  もしかしたら誰かから連絡を受けているかもしれないけど、何も言ってこないということは感心が無いのだろう。

  それでいい。

  そうでなくちゃ、私のは達成出来ない。

  セックスして、子供を作る。

  その為の相手も出来た。

  たった2日で、大成功を収めている。

  後は、ただ実践し続ければいい。

『ゆな……?』

「 っ……!」

 頭の中に、最後に見た彼が浮かんで…それだけのことなのに、キュンと子宮が疼いた。

 きっと昨日何度もイかされたからだ。

 足を縮こませると、少しは治まったが、胸の奥に疑問が残る。

 私は、このままたくさんの人とセックスするの?

 シンとだけでなく、浅井さんや、前山先輩とも?

 高木には彼氏がいるように、基本的に1対1。

 そう考えると、私は理に反している。
 
 目的遂行の為、と仮定するなら、複数人とセックスして、受精率が上がる可能性はどれほどのものなのだろうか?

 何故シンさんは、それを許すのだろうか?

 私が、正当な彼女ではないから…?

 思いつく理由は、その程度しか無いが…


 私は何をするのが正しいのだろう…?
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