お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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15.嫌じゃないんです、むしろ

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「力入れすぎ」
「あ……」

  頭の後ろから髪を撫でられる。
  指先に髪が触れるたび、ゾクゾクと電波のような刺激を感じてしまう。

「……まだ怖い?」

  ハッとして、フルフルと首を横に振った。
  おもむろにフッと笑いを零す彼は、「じゃ、もう一度」と唇を落とす。

  この人は、魔法使いか何かなのだろうか?

  チュ……クチュ……チュ……

  水音が響くというのに、どこか感じがいい。

  こんなにも気持ちのいいキスは、他の人も出来るのだろうか?

「んっ…!」

  呑気にそんなことを考えていると、ビクッと身体が震え、思わず彼の手を掴んだ。

  胸の頂きに、彼の指が触れたのだ。

  ようやく、裸であることを思い出し、目を開くと、また彼と目が合う。
  ジッと見つめ合ってキスをされているままにも関わらず、隠そうと出した手を、そっと掴まれてしまう。

「あっ…ん…!」

  身体が逃れようとするのをよそに、彼は首筋にキスを落とす。
  全神経が集中するように、彼のキスを追った。
  その間にも胸の敏感なところを彼の指先が動いていて、ピクッと感じるごとに何故か下腹部がキュッと熱くなる。

  その違和感を拭いたくて、覆われたままの身体を少しだけくねらせた。

  なんだろう、この感じ…

「や……あっ……あん……はっ…!」

  驚いて、口を塞ぐ。

  今、変な声出た…!!

「嫌?」
「ああ…っ」

  彼は首筋から顔を離すと、抑えていた片方の手を、肌を滑るように指先を移動させ、また胸の頂にそっと刺激を加えた。

「い、嫌じゃなくて…な、なんか変な感じです…!
くすぐったいような…」

  唇を拳で抑えるように、次の刺激に耐えようと身構えると、彼はまたフッと声を漏らした。

「……息、上がってる」
「え…っ……ん!」

  また、不意をつくように唇が塞がれる。
  それと同時に両の胸に刺激が加わり、身体がまた大きく反応を見せた。

「あっ…!」

  声を漏らした隙を突くように、唇の隙間を縫って舌が入り込んできた。

  一瞬舌を絡めたと思えば、すぐ離れて、また角度を変えてキスと一緒に舌が入り込んで来る。
  離れるたびに唾液が糸を紡ぎ、そしてまたどちらのとも分からない唾液が絡む。

  こんなはしたないキスも、不思議と、嫌じゃない。
  
  むしろ、彼の吐息が、時折漏れるため息のような声が、耳の中をくすぐる。

  僅かな反応に、高揚する。
  これほどまでに近くに他人を寄せたことが無いからか。

  胸の奥が熱くて、息も上がって、身体が初めての反応を見せていて不安なはずなのに、とても、気持ちがいい。

  私のこの感覚を、彼も感じているものなのだろうか。

  
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