お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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11.何か当たってます

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「…………へぇ」

  彼は目を細めて、スッとベッドの上に身を乗り出した。
  距離が縮まり、つい後退しそうになるのを堪える。

「誰かに教わったの?」

「い、いえ…それより早く挿れて欲しいです…!」

  恥ずかしいと思いながらも、彼の手と視線から逃れるように四つん這いになり、彼に向かって大事な場所を曝け出した。

  早く挿れて、早く終わりたい。
  一度やってしまえば、怖くない気がして。

「お願いします。
挿れてください…!」

  振り返る勇気もなく、声だけを枕にぶつける。

「……いいよ」

  彼からの返事は、だいぶ遅かった。
  痴女だと、思われたのだろうか。
  はしたないとバカにされたのだろうか。

  しかし、ちゃんと返事が来たことに、ホッとする。

  心臓は今もまだバクバクと音を立て続けていて煩い。

  四つん這いの足も手も、先程急いだこともあってか震えてしまっている。
  それでも、逃げちゃいけないと思った。

  初めては痛いと聞いたけど、これは大きな第一歩なのだ。

  性交渉すれば、妊娠出来るかもしれない。
  すぐにとは言わずとも、妊娠すれば、こっちの勝ちなのだ。

  好きじゃない相手だとしても…

  もし相手が嫌だと言ったら、産まれた子供は、私が1人で面倒見る。
  それくらいの責任は取るし、お見合いはきっと無くなるだろう。
  汚名なんていくらでも受ける。
  
  これは、私の戦いなんだ。
  
「あっ……!」

  何か、温かいものが、陰部を刺激するようにゆっくりとあてがわれた。

  振り返る勇気はない。
  ただ、身体の一部にしては、私の知らない部位であることは確かだと感じた。

  もう、始まるんだ。

「……後悔しない?」
「今更、です」

  私としては早くコトを済ませて、まだ知らぬ痛みからさっさと解放されたいというのに。

  どうして、そんなことを聞くのだろう?

  それは、最後の確認……か。

  私が今からたくさんの人を裏切ることへの。

  まるで裁判にかけられているようだ。
  死刑直前の人間の心理とは、このような感じだろうか。

  今私に必要な、自分を見つめ直す最後の、チャンス、なのかもしれない。

  でも、今更引き返せるわけがなかった。

  拳を、キュッと握る。

  彼のソレがもう一度私の秘部に触れる。
  身を硬くして息を呑み、目を閉じた。

  覚悟は、決めたんだ。

  私は、父の決めた運命に、抗ってみせる。

  これから…今日この人を初めとして、たくさんの人と性行為をして……。

  自由に、生きるんだ。
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