11 / 104
10.子作りを懇願します
しおりを挟む
「上がった」
「っ!」
ビクッと、身体が震える。
反射的に目を向けると、身体から湯気を立てながらタオル一枚を腰に巻き、何食わぬ顔で澤田さんが出て来た。
傷ひとつない綺麗な肌に見事な腹筋で、パーカーに隠れて気づかなかったが案外細身の彫刻のような肉体美だった。
髪を撫でるタオルを外す彼と、目が合う。
先程見た通り二重の瞼に、キリッとした眉。
高い鼻に細い唇。シュッとした顎。
明らかな綺麗顔。
濡れた髪は露を落とし、その鍛えられた肩にポツリと落ちた。
喉元に浮かぶ筋も、喉笛も、綺麗に浮かんだ鎖骨も、男らしさを強調して。
こんなに美しい人が、この世に存在したのだと、初めて気付かされた。
「お、おかえりなさい…です」
思わず、声が揺れる。
落ち着け…
きっとこんな綺麗な人…前山先輩に張り付いてた女子達が見逃すはずがない。
さっきの入室手続きの手早さといい、何度もこうした行為に及んでいるはずだ。
相手はプロ。
私もそのうちの1人になるに過ぎない。
彼は私に協力すると言ったし、私も同意した。
今度こそ完全な同意。
ちゃんとした場所。
ちゃんと清潔になった状態。
相手もちゃんと見える。
これ以上他に何を望む?
「……あんた、親に連絡とかした?
泊まりになるんだけど」
「えっと…大丈夫です。大学になったら時間は好きに使えと言われているので…」
「へぇ…意外と自由だね」
ベッドがグンと凹んで、思わず吃ってしまった。
反対側に彼が座ったのだ。
すぐ近くに、彼がいる。
緊張で心臓が、破裂しそうだ。
でも、ダメだ…何か話さないと…!
「あの…!今まで何人と…身体の関係に?」
ドクン──
「身体の…?
あぁ……したのは5人だな」
ドクン──
5人…へぇ…多い…のかな?
「そうなんですね…私は6人目になるのでしょうか…」
ドクン──
「まぁ…そうかもな」
ダメだ…これ以上話をしてたら、もっと緊張してしまう…!
淡々と話す彼を振り返り、バスタオルを外し、ベッドへ登った。
感触が伝わったのか、彼はゆっくり振り返り、私を見た。
ドクン──
突如として羞恥が溢れ、思わず身体を隠そうと胸に手をやる。
ダメ……
やると決めたのは、私なんだから。
これは、たくさんの人を裏切る為の手段。
恥なら、この人に全部くれてやろう。
ドクン──
彼が目を丸くするのが分かった。
ギュッと目を瞑り、一瞬また浅井さんが頭を掠めたが、震える声を可能な限り振り絞った。
「早速ですが…私と子作り、してくださいますか?」
「っ!」
ビクッと、身体が震える。
反射的に目を向けると、身体から湯気を立てながらタオル一枚を腰に巻き、何食わぬ顔で澤田さんが出て来た。
傷ひとつない綺麗な肌に見事な腹筋で、パーカーに隠れて気づかなかったが案外細身の彫刻のような肉体美だった。
髪を撫でるタオルを外す彼と、目が合う。
先程見た通り二重の瞼に、キリッとした眉。
高い鼻に細い唇。シュッとした顎。
明らかな綺麗顔。
濡れた髪は露を落とし、その鍛えられた肩にポツリと落ちた。
喉元に浮かぶ筋も、喉笛も、綺麗に浮かんだ鎖骨も、男らしさを強調して。
こんなに美しい人が、この世に存在したのだと、初めて気付かされた。
「お、おかえりなさい…です」
思わず、声が揺れる。
落ち着け…
きっとこんな綺麗な人…前山先輩に張り付いてた女子達が見逃すはずがない。
さっきの入室手続きの手早さといい、何度もこうした行為に及んでいるはずだ。
相手はプロ。
私もそのうちの1人になるに過ぎない。
彼は私に協力すると言ったし、私も同意した。
今度こそ完全な同意。
ちゃんとした場所。
ちゃんと清潔になった状態。
相手もちゃんと見える。
これ以上他に何を望む?
「……あんた、親に連絡とかした?
泊まりになるんだけど」
「えっと…大丈夫です。大学になったら時間は好きに使えと言われているので…」
「へぇ…意外と自由だね」
ベッドがグンと凹んで、思わず吃ってしまった。
反対側に彼が座ったのだ。
すぐ近くに、彼がいる。
緊張で心臓が、破裂しそうだ。
でも、ダメだ…何か話さないと…!
「あの…!今まで何人と…身体の関係に?」
ドクン──
「身体の…?
あぁ……したのは5人だな」
ドクン──
5人…へぇ…多い…のかな?
「そうなんですね…私は6人目になるのでしょうか…」
ドクン──
「まぁ…そうかもな」
ダメだ…これ以上話をしてたら、もっと緊張してしまう…!
淡々と話す彼を振り返り、バスタオルを外し、ベッドへ登った。
感触が伝わったのか、彼はゆっくり振り返り、私を見た。
ドクン──
突如として羞恥が溢れ、思わず身体を隠そうと胸に手をやる。
ダメ……
やると決めたのは、私なんだから。
これは、たくさんの人を裏切る為の手段。
恥なら、この人に全部くれてやろう。
ドクン──
彼が目を丸くするのが分かった。
ギュッと目を瞑り、一瞬また浅井さんが頭を掠めたが、震える声を可能な限り振り絞った。
「早速ですが…私と子作り、してくださいますか?」
10
お気に入りに追加
534
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる