お見合い結婚が嫌なので子作り始めました。

天野 奏

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2.男性の観察を始めてみました。

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  そう気合いは入れたものの。
  こういうのは相手がいないとどうにもならないのも分かっている。

  勉強漬けの人生だったこともあり、保健体育もオール満点で、知識はあるのだ。

  しかし問題は、誰に、どう協力を依頼するか。
  そもそもこの交換条件に、普通の人は何を求めるものだろうか。
  学校では、よく人はお金に左右されると道徳の時間に習った。
  名誉、と言っても私にあるのは社長令嬢という立場でしかなく、父を裏切ろうとしている中、会社への裏入社のような手引きをするのは難しいだろうし……
  もし異性が欲しいと言われたとしても、私に知り合いの女性などそんなにいない。
  いたとしてもメイドさん達だし、大体は既婚者だ。

  もし結婚を申し込まれたら……?
  その時は駆け落ちでもするしかないかもしれない。
  でも、令嬢の枠を外れた私と、感情を共有しない男性が本当に結婚なんてするんだろうか……。

  そんなことを考えながら、大学の食堂を見渡す。
  
  大体が男女別でグループになっているが、時折男女一緒の席もある。
  耳にピアスしているもの、髪の毛が染まっているもの。
  身長が低いもの、高くて細っそりしたもの……
  室内なのに帽子を被っているものもいれば、ズボンに大きな穴が空き、膝が丸見えなものまでいる。
  
  こうしてみると、たくさんの人がいることに気付く。
  新しく1年生が入ってきたからというのもあるのだろうか。

  しかし……3年にもなって就活に勤しむべきところを、子作りしたいと思って男性を観察し始める私はかなりズレていると改めて感じた。
  でもこれは、私の人生を左右する就職活動と同義なのである。
  今年を逃したら、あの父のこと。
  もう二度と自由な恋愛も許されなくなることは分かっている。

  だからこそ、今が重要なのである。

 「──私さ、テニスに入ろうと思って」
「え~?でも、テニスはヤリサーだって前に聞いたよ?」

  ふと、隣のカウンターに座る二人の女子の声が聞こえてきた。

「大丈夫お酒飲むだけだって~
でも、テニスサークルの前山先輩がチョーかっこ良くて……」
「え~男狙いじゃん~!」
「そこから関係出来ちゃうってのはありそうでしょ?」

  ふむふむ……なるほど!

「やだ~超悪女~!」なんてクスクス笑うその子達の会話に完全に聞き耳を立てていた私は、おもわずフッと笑みを浮かべた。

  テニスサークルは飲み会をする場所……つまり、そこから恋愛に発展したりすることが出来るということ!
  ヤリサーの意味は分からないけど、飲みの席では大胆になれると聞いたことがあります!
  つまり、みんなが恋愛にポジティブになれる、ということですね!
  
  なんて、単純な解釈をした。
  この後どうなるか、全く理解せずに……。
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