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第1章 変わった少年
襲われて朝
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「…………」
窓から光が射し込み、目が覚めるも、身体が気怠い。
いつもなら朝一から剣を振るい、己を鍛えるところだが……今朝は未だに拘束を解かれていない。
それはこの、首筋に頭を添えてスヤスヤ寝ている少年によるものだ。
足を絡めるように抱きつかれ、首の後ろに腕が回されて反対の肩を抱き、もう片方の腕が腰を支えるように覆っている。
昨夜、私は彼に襲われた。
全身を舐められ、身体を擦り付けられ、色んなところに手を這わされて……。
人が見れば恐らく、そういう行為の愛撫に当たる行動だったが、恐らく彼のソレは違った。
……まるで、マーキング。
あまりにも動物的に、なんの性的なアレもなく、本当にただ彼の言う臭い付けされた。
襲われる覚悟で身構えたハズが、なんだか……自分が恥ずかしい。
そのおかげで「今日はこのまま」とか勝手な発言して彼が眠り始めても、ほとんど眠ることが出来なかった。
初めて、家族以外の男に身体を見せたのに。
むしろ、触れ合ったまま夜を過ごしたというのに。
こんな屈辱的な放置の仕方されるなら、いっそ強姦に遭っていた方がマシだ!
もう、今日のことは忘れよう。
失態も良いところだ。
むしろ…こんな風に彼に触れられることに、ドキドキしたとか、思いたくない。
ピクッと肩に触れる手が動いて、心臓が跳ねた。
「んー……」
ビクッ!
「あっ!」
それだけなら良かったものの、少年はその場で伸びをして首筋が鼻を擦った。
耳に触れて、思わず声が漏れた。
な!なんだ今の声は!!
どこから出たのだ!?
心臓がバクバクと音を立て鼓膜に振動を打ち付けている。
いや、落ち着け。
そんな、取り乱すようなことではない!
私は、まだ何か…されたわけではないのだ!
ただ、臭い付けなることを、されただけ……。
と、頭に夜中のことがフラッシュバックして、身体が硬直した。
肌をなぞる彼の唇。
それが、今耳元に……!
彼は脱力したと思えば、重たそうな瞼をほんの少し上げて顔を上げる。
「おはよ」
「お、おはよ……」
しまった、つい返事をしてしまった。
完全に、受け入れてしまっているではないか!
顔が熱い。
思わず、目を逸らす。
「……っ!」
彼は私の顔を覗くと、引き寄せて反対の首筋に顔を埋めた。
ドキッ……!
スンスンと臭いを嗅がれ、触れる鼻先に心拍が上がり、ギュッと目を瞑る。
落ち着け、これはなんでもない!
ただの……臭い嗅ぎだ!
とか我ながら恥ずかしい言い訳を付けて気を紛らわせていると、首筋をペロッと舐められる。
「っひゃあ!!」
思わず堪え切れず、バッと首筋に手を当てた。
彼は私の手に気付いたのか一瞬にして躱し、無表情に私を見る。
なんという醜態。
こんな声他人に晒すなんて……!
ああもう、いっそ殺してくれ…。
「……処女なの?」
「はぁ!?っ!き、貴様には、関係ない!」
またも女性に対してなんと失礼な……と思いつつ、取り乱す自分も自分だと感じて、落ちつこうと目を逸らすと、彼は私の顎を掴み、強制的に正面を向かされた。
「臭いはこれでだいぶ良くなった。
村を案内してやるよ。
とりあえず、シャワー浴びてくれば?」
「っ……は?」
平然と手を握り、さも当たり前のようにベッドから連れ出そうとする少年。
昨日は散々『洗い流すだけじゃ落ちない』とか吐かして臭い付けしてきたくせに…シャワー浴びろだと!?
「……はぁ………」
悪びれた様子もなく立ち上がる彼に、深くため息が漏れた。
……もう動じるのは止めよう。
この少年には、何も通じない。
ただこの時は、ヤバい男に出会ってしまったと、そう嘆くばかりで、彼のことを知りたいとは、到底思えなかった。
さっさと依頼を終わらせて、この村から離れて、昨夜のことは記憶から抹消しよう、そう
考えていた。
窓から光が射し込み、目が覚めるも、身体が気怠い。
いつもなら朝一から剣を振るい、己を鍛えるところだが……今朝は未だに拘束を解かれていない。
それはこの、首筋に頭を添えてスヤスヤ寝ている少年によるものだ。
足を絡めるように抱きつかれ、首の後ろに腕が回されて反対の肩を抱き、もう片方の腕が腰を支えるように覆っている。
昨夜、私は彼に襲われた。
全身を舐められ、身体を擦り付けられ、色んなところに手を這わされて……。
人が見れば恐らく、そういう行為の愛撫に当たる行動だったが、恐らく彼のソレは違った。
……まるで、マーキング。
あまりにも動物的に、なんの性的なアレもなく、本当にただ彼の言う臭い付けされた。
襲われる覚悟で身構えたハズが、なんだか……自分が恥ずかしい。
そのおかげで「今日はこのまま」とか勝手な発言して彼が眠り始めても、ほとんど眠ることが出来なかった。
初めて、家族以外の男に身体を見せたのに。
むしろ、触れ合ったまま夜を過ごしたというのに。
こんな屈辱的な放置の仕方されるなら、いっそ強姦に遭っていた方がマシだ!
もう、今日のことは忘れよう。
失態も良いところだ。
むしろ…こんな風に彼に触れられることに、ドキドキしたとか、思いたくない。
ピクッと肩に触れる手が動いて、心臓が跳ねた。
「んー……」
ビクッ!
「あっ!」
それだけなら良かったものの、少年はその場で伸びをして首筋が鼻を擦った。
耳に触れて、思わず声が漏れた。
な!なんだ今の声は!!
どこから出たのだ!?
心臓がバクバクと音を立て鼓膜に振動を打ち付けている。
いや、落ち着け。
そんな、取り乱すようなことではない!
私は、まだ何か…されたわけではないのだ!
ただ、臭い付けなることを、されただけ……。
と、頭に夜中のことがフラッシュバックして、身体が硬直した。
肌をなぞる彼の唇。
それが、今耳元に……!
彼は脱力したと思えば、重たそうな瞼をほんの少し上げて顔を上げる。
「おはよ」
「お、おはよ……」
しまった、つい返事をしてしまった。
完全に、受け入れてしまっているではないか!
顔が熱い。
思わず、目を逸らす。
「……っ!」
彼は私の顔を覗くと、引き寄せて反対の首筋に顔を埋めた。
ドキッ……!
スンスンと臭いを嗅がれ、触れる鼻先に心拍が上がり、ギュッと目を瞑る。
落ち着け、これはなんでもない!
ただの……臭い嗅ぎだ!
とか我ながら恥ずかしい言い訳を付けて気を紛らわせていると、首筋をペロッと舐められる。
「っひゃあ!!」
思わず堪え切れず、バッと首筋に手を当てた。
彼は私の手に気付いたのか一瞬にして躱し、無表情に私を見る。
なんという醜態。
こんな声他人に晒すなんて……!
ああもう、いっそ殺してくれ…。
「……処女なの?」
「はぁ!?っ!き、貴様には、関係ない!」
またも女性に対してなんと失礼な……と思いつつ、取り乱す自分も自分だと感じて、落ちつこうと目を逸らすと、彼は私の顎を掴み、強制的に正面を向かされた。
「臭いはこれでだいぶ良くなった。
村を案内してやるよ。
とりあえず、シャワー浴びてくれば?」
「っ……は?」
平然と手を握り、さも当たり前のようにベッドから連れ出そうとする少年。
昨日は散々『洗い流すだけじゃ落ちない』とか吐かして臭い付けしてきたくせに…シャワー浴びろだと!?
「……はぁ………」
悪びれた様子もなく立ち上がる彼に、深くため息が漏れた。
……もう動じるのは止めよう。
この少年には、何も通じない。
ただこの時は、ヤバい男に出会ってしまったと、そう嘆くばかりで、彼のことを知りたいとは、到底思えなかった。
さっさと依頼を終わらせて、この村から離れて、昨夜のことは記憶から抹消しよう、そう
考えていた。
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