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86.子作りは夢から始まる
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「え、部長!?」
「なんだよ、来ちゃ悪かったか?」
夕飯を食べ、シャワーを浴びて、後は寝るだけ、というところで、突然部屋の中に部長が現れた。
不機嫌に眉を寄せて、私の顔を不思議そうに覗き見ている。
「いや、部長、急すぎるっていうか……!
てっきり来ないのだと……!」
「俺は俺の家は空けると言ったんだ。
お前の家に来ないなんて一言も言ってない」
「そ、そうですけど…っ!」
こんな、突然、音もなしに現れるなんて……!
本能的にズルズルと後退していた矢先、手首を掴まれ、引き寄せられたと思えば、唇にキスが降りてくる。
「っ! ぶちょ……!」
「一華、だろ?」
「っ!」
また、名前呼べってことですか…!?
そう反論する暇も無しに、部長は腰に手を回して身体を密着させ、またキスを始める。
いつもより苦しくて、熱い……!
「ん…いちか…さん!」
「…よく出来ました。
じゃあ、もういいな」
「え…は!?」
パジャマのボタンが弾け飛んだのが見えて、目を丸くした。
そういえば私、下着つけてない……!
「な、何してるんですか!」
隠そうと部長を押そうとしても、もちろんビクともしなくて。
露わになった肩を撫でるように、部長の手が私のパジャマを降ろす。
「前に言ったろ。 子作りだ」
こ、子作りって……!?
思考がショートして口をわなわなさせている中、部長はニヤリと笑って私の頬を撫でた。
「安心しろ。 優しくしてやる」
「ぶ、ぶちょ……っ!!」
また地雷だと分かっていたはずなのに、名前でなく部長と呼んでしまい、それをいいことに部長の目が光ったのが分かった。
まるでトラが獲物を狩るかのように身構えた部長が、バッと勢いよく飛びかかってきてーー
「わっ!! わぁっ!!」
ドドンッと大きな音を立てて、私はベッドの下に転げ落ちた。
運悪くテーブルの柱に背中をぶつけて、二次災害だ。
「あー……もう……」
額に手を乗せて、大きくため息をつく。
夢か……。
いや、でも……夢で、良かったぁ……。
なんてハレンチな夢……。
夢は人の願望とか言うけど、私そんなエロくないから!!
ほら、あれだ!
昨日ちょっとだけそういう展開読んじゃったっていうか……!
部長とは、万が一奇跡的に本気で好きになって、そしたら、そういうことになるかもしれない、くらいに思っただけで……!
別に今からそんなつもりは……。
身体を起こすと、キラリと光が目に入った。
サイドボードの上に乗った指輪のダイヤが、メガネの無い私の目にもはっきりとその輝きを焼き付ける。
……部長に合わなくなってはや3日。
一切連絡して来ない彼も、今日から出社予定だ。
その時は、なんて言おう?
ーー私以外の、誰の気を吸ってたの?
「……へぇー。
あいつこんなのくれる趣味あんだ?」
ゾクッと寒気がして、ハッと息を呑む。
薄暗いカーテンの横に、確かにあるその金色の髪。
朱いその瞳は、煌めくそれを指で摘むように持ち上げながら、はっきりと私を捉えて微笑んでいた。
「なんだよ、来ちゃ悪かったか?」
夕飯を食べ、シャワーを浴びて、後は寝るだけ、というところで、突然部屋の中に部長が現れた。
不機嫌に眉を寄せて、私の顔を不思議そうに覗き見ている。
「いや、部長、急すぎるっていうか……!
てっきり来ないのだと……!」
「俺は俺の家は空けると言ったんだ。
お前の家に来ないなんて一言も言ってない」
「そ、そうですけど…っ!」
こんな、突然、音もなしに現れるなんて……!
本能的にズルズルと後退していた矢先、手首を掴まれ、引き寄せられたと思えば、唇にキスが降りてくる。
「っ! ぶちょ……!」
「一華、だろ?」
「っ!」
また、名前呼べってことですか…!?
そう反論する暇も無しに、部長は腰に手を回して身体を密着させ、またキスを始める。
いつもより苦しくて、熱い……!
「ん…いちか…さん!」
「…よく出来ました。
じゃあ、もういいな」
「え…は!?」
パジャマのボタンが弾け飛んだのが見えて、目を丸くした。
そういえば私、下着つけてない……!
「な、何してるんですか!」
隠そうと部長を押そうとしても、もちろんビクともしなくて。
露わになった肩を撫でるように、部長の手が私のパジャマを降ろす。
「前に言ったろ。 子作りだ」
こ、子作りって……!?
思考がショートして口をわなわなさせている中、部長はニヤリと笑って私の頬を撫でた。
「安心しろ。 優しくしてやる」
「ぶ、ぶちょ……っ!!」
また地雷だと分かっていたはずなのに、名前でなく部長と呼んでしまい、それをいいことに部長の目が光ったのが分かった。
まるでトラが獲物を狩るかのように身構えた部長が、バッと勢いよく飛びかかってきてーー
「わっ!! わぁっ!!」
ドドンッと大きな音を立てて、私はベッドの下に転げ落ちた。
運悪くテーブルの柱に背中をぶつけて、二次災害だ。
「あー……もう……」
額に手を乗せて、大きくため息をつく。
夢か……。
いや、でも……夢で、良かったぁ……。
なんてハレンチな夢……。
夢は人の願望とか言うけど、私そんなエロくないから!!
ほら、あれだ!
昨日ちょっとだけそういう展開読んじゃったっていうか……!
部長とは、万が一奇跡的に本気で好きになって、そしたら、そういうことになるかもしれない、くらいに思っただけで……!
別に今からそんなつもりは……。
身体を起こすと、キラリと光が目に入った。
サイドボードの上に乗った指輪のダイヤが、メガネの無い私の目にもはっきりとその輝きを焼き付ける。
……部長に合わなくなってはや3日。
一切連絡して来ない彼も、今日から出社予定だ。
その時は、なんて言おう?
ーー私以外の、誰の気を吸ってたの?
「……へぇー。
あいつこんなのくれる趣味あんだ?」
ゾクッと寒気がして、ハッと息を呑む。
薄暗いカーテンの横に、確かにあるその金色の髪。
朱いその瞳は、煌めくそれを指で摘むように持ち上げながら、はっきりと私を捉えて微笑んでいた。
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