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33.味見するのに目隠しは必要ですか?
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「……何を考えてる」
「え?」
3回目の夜の食事。
ベッドサイドのランプの朧げなオレンジの灯りの中、ベッドに腰を掛けて私を引き寄せ、一度キスを落とした彼は、ふと動きを止めて、私の唇を指でなぞった。
「ダサい」と引かれることを期待したが玉砕された青い長袖上下セットのパジャマに身を包み、身体を強張らせて待っていた私に、部長は珍しく話を振ったのだ。
仕方なく目を開くと、触れる寸前の至近距離にいる部長の金色の瞳が私を捉えた。
しかしすぐに元の黒に戻り、反対の手が私の髪を指で掬い、弄ぶ。
「……いや、あんなに嫌がってたくせに、ここ数日は割と素直に言うことを聞いてるからな」
「す、素直って……。
仕方ないじゃないですか。
人よりも強い吸血鬼様に、私みたいな弱い人間がどう足掻いたって、勝てないんですから…」
「それは建前じゃないのか?」
肩と腰に手を置かれたと思えば、いつの間にか世界が反転する。
先ほどまで灯りに照らされていた部長の顔が、今度は影になり私に覆い被さっている。
ベッドに寝かされたのだと、シャワーを浴びた後だった彼の垂れ落ちる前髪を見てようやく気付いた。
「俺とのキスに抵抗が無くなったんだろ」
「っ……違いますよ!」
目が慣れて来だと思えば、フッと笑う彼の口角から、牙が覗いた。
ゾクッと鳥肌が立つも、噛み付くように言い返す。
「仕方なく…仕方なくです。
結局食費は全部持ってもらっちゃってるし、朝ごはんは作ってもらってますし!
部長の食事くらい、付き合ってあげないと…だから、勘違いしないでください」
「食事、ね」
何やら小馬鹿にしたような、気に障る区切り方で、部長は顔を逸らして肩を震わせて小さく笑う。
「じゃあ、レベルアップするか」
「え…?」
そう言った部長は、長い睫毛をゆっくり細めて、そっと忍び寄るように近づいてくる。
「お前、ウブだから。
ゆっくり攻めてやろうとは、思ってたんだけど」
「な、なんですか……っ!?」
ふと、視界が真っ暗になって、ヒンヤリした指の感触が目元を覆った。
急なことにゾクッと背筋が凍った。
「ぶ、部長…! 何を……!」
「いいから。
危ないことはしねーよ。
ただちょっと、味見」
あ、味見って……!?
「え?」
3回目の夜の食事。
ベッドサイドのランプの朧げなオレンジの灯りの中、ベッドに腰を掛けて私を引き寄せ、一度キスを落とした彼は、ふと動きを止めて、私の唇を指でなぞった。
「ダサい」と引かれることを期待したが玉砕された青い長袖上下セットのパジャマに身を包み、身体を強張らせて待っていた私に、部長は珍しく話を振ったのだ。
仕方なく目を開くと、触れる寸前の至近距離にいる部長の金色の瞳が私を捉えた。
しかしすぐに元の黒に戻り、反対の手が私の髪を指で掬い、弄ぶ。
「……いや、あんなに嫌がってたくせに、ここ数日は割と素直に言うことを聞いてるからな」
「す、素直って……。
仕方ないじゃないですか。
人よりも強い吸血鬼様に、私みたいな弱い人間がどう足掻いたって、勝てないんですから…」
「それは建前じゃないのか?」
肩と腰に手を置かれたと思えば、いつの間にか世界が反転する。
先ほどまで灯りに照らされていた部長の顔が、今度は影になり私に覆い被さっている。
ベッドに寝かされたのだと、シャワーを浴びた後だった彼の垂れ落ちる前髪を見てようやく気付いた。
「俺とのキスに抵抗が無くなったんだろ」
「っ……違いますよ!」
目が慣れて来だと思えば、フッと笑う彼の口角から、牙が覗いた。
ゾクッと鳥肌が立つも、噛み付くように言い返す。
「仕方なく…仕方なくです。
結局食費は全部持ってもらっちゃってるし、朝ごはんは作ってもらってますし!
部長の食事くらい、付き合ってあげないと…だから、勘違いしないでください」
「食事、ね」
何やら小馬鹿にしたような、気に障る区切り方で、部長は顔を逸らして肩を震わせて小さく笑う。
「じゃあ、レベルアップするか」
「え…?」
そう言った部長は、長い睫毛をゆっくり細めて、そっと忍び寄るように近づいてくる。
「お前、ウブだから。
ゆっくり攻めてやろうとは、思ってたんだけど」
「な、なんですか……っ!?」
ふと、視界が真っ暗になって、ヒンヤリした指の感触が目元を覆った。
急なことにゾクッと背筋が凍った。
「ぶ、部長…! 何を……!」
「いいから。
危ないことはしねーよ。
ただちょっと、味見」
あ、味見って……!?
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