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20.催眠術はお断りです
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「っ…分かりました、認めます…認めますから…離れてください…」
「ほう…素直になったな」
とか言いつつ離れようとせず、私の顔色を伺いその視線で弄ぶように、一束すくった髪にキスを落とす。
ドキッとして、フイッと顔を逸らした。
何が“素直”よ。言わせようとしてたくせに。
「それとも恐い?」
「こ、恐いに決まってるじゃないですか!
目にも止まらぬ速さでソファーからここまで運ばれて!
こんなの、フェアじゃないっていうか…何されても、抵抗出来ないですもん」
「そうだな。黒い残像と共に姿を消すから、ちょうど背後に飛んでいたコウモリに化けたと言われていたこともあったな。
でも安心しろ。お前の身体は大事に扱ってやる」
コウモリに化けるのって勘違いから生まれたの……!?
身体は大事にって……どういう意味!?
「そ、それはどういう意味で…や、やめてください!」
「やめろという割には、手に力が入ってないがな」
一つ目のボタンが開かれていることをすっかり忘れていた私は、また胸元に手が伸びてきたことに反射的に両手で抵抗した。
力が入ってないんじゃない、入らないのよ……!
さっき高速で運ばれた時から、理解が及ばない為に全身が恐怖でガクガクしてるし、この状況を打破出来る方法が掻き消されていくことに絶望してる。
恐いって聞いてきたくせに、なんでも自分の都合の良いように解釈して……ホントにこのモンスターは!
「っあ……!?」
彼の指の背が私の胸元を撫でるように掠めた。
自分のモノとは思えない声を漏らしたことに、ハッと息を飲んだ。
な、何……私、やっぱりおかしくなったの!?
「敏感だな」
ニヤリとした悪代官のような悪い顔で、悪い声で、耳元に囁かれて、それでも少し冷たいその吐息が耳を刺激するだけで、ゾクゾクと身体が震え、そして火照る。
全身の血の巡りが良くなるかのように、足の指先までビリビリと電気が流れるようだ。
こんなの、私じゃない。
確かに免疫は無いけど、それでも好きでもない人にこんなに感じるなんて、あり得ないし自分が許せない。
こういうことは、いつか好きな人と……。
やっぱり刻印のせい?
それとも、この人のせい?
「わ、私に何したんですか?」
「ん?」
惚けたように、また正面に帰ってくる彼の顔を、歯を食いしばって睨みつける。
「さっきから、私が私じゃないみたいなんですけど。
その…なんかエロい声漏れちゃうし、囁かれるだけで身体が熱くなるし……でも、こんなのおかしいです!
私は、こういうのは好きな人としたいですし、好きな人に感じたいんです!
だからそれ、やめてください!」
「……それって?」
眉間にシワを刻みシラを切ろうとしている部長にムカッとして、また噛みつくように声を張り上げた。
それはもう私ではないのではと思うくらいハッキリと饒舌に。
「それって…それです!
催眠術でも使ってるんですよね!?
その瞳を見ると催眠効果があるとか、触ると感じやすくなる効果とか……!
そうやって、色んな女の子口説いてきてるんじゃないんですか!?
でも、私は違いますから!
身体で勝てなくても、心だけはあなたのものになりませんから!
あなたのエサにされようが何しようが、私だけは騙されませんよ!?」
「ほう…素直になったな」
とか言いつつ離れようとせず、私の顔色を伺いその視線で弄ぶように、一束すくった髪にキスを落とす。
ドキッとして、フイッと顔を逸らした。
何が“素直”よ。言わせようとしてたくせに。
「それとも恐い?」
「こ、恐いに決まってるじゃないですか!
目にも止まらぬ速さでソファーからここまで運ばれて!
こんなの、フェアじゃないっていうか…何されても、抵抗出来ないですもん」
「そうだな。黒い残像と共に姿を消すから、ちょうど背後に飛んでいたコウモリに化けたと言われていたこともあったな。
でも安心しろ。お前の身体は大事に扱ってやる」
コウモリに化けるのって勘違いから生まれたの……!?
身体は大事にって……どういう意味!?
「そ、それはどういう意味で…や、やめてください!」
「やめろという割には、手に力が入ってないがな」
一つ目のボタンが開かれていることをすっかり忘れていた私は、また胸元に手が伸びてきたことに反射的に両手で抵抗した。
力が入ってないんじゃない、入らないのよ……!
さっき高速で運ばれた時から、理解が及ばない為に全身が恐怖でガクガクしてるし、この状況を打破出来る方法が掻き消されていくことに絶望してる。
恐いって聞いてきたくせに、なんでも自分の都合の良いように解釈して……ホントにこのモンスターは!
「っあ……!?」
彼の指の背が私の胸元を撫でるように掠めた。
自分のモノとは思えない声を漏らしたことに、ハッと息を飲んだ。
な、何……私、やっぱりおかしくなったの!?
「敏感だな」
ニヤリとした悪代官のような悪い顔で、悪い声で、耳元に囁かれて、それでも少し冷たいその吐息が耳を刺激するだけで、ゾクゾクと身体が震え、そして火照る。
全身の血の巡りが良くなるかのように、足の指先までビリビリと電気が流れるようだ。
こんなの、私じゃない。
確かに免疫は無いけど、それでも好きでもない人にこんなに感じるなんて、あり得ないし自分が許せない。
こういうことは、いつか好きな人と……。
やっぱり刻印のせい?
それとも、この人のせい?
「わ、私に何したんですか?」
「ん?」
惚けたように、また正面に帰ってくる彼の顔を、歯を食いしばって睨みつける。
「さっきから、私が私じゃないみたいなんですけど。
その…なんかエロい声漏れちゃうし、囁かれるだけで身体が熱くなるし……でも、こんなのおかしいです!
私は、こういうのは好きな人としたいですし、好きな人に感じたいんです!
だからそれ、やめてください!」
「……それって?」
眉間にシワを刻みシラを切ろうとしている部長にムカッとして、また噛みつくように声を張り上げた。
それはもう私ではないのではと思うくらいハッキリと饒舌に。
「それって…それです!
催眠術でも使ってるんですよね!?
その瞳を見ると催眠効果があるとか、触ると感じやすくなる効果とか……!
そうやって、色んな女の子口説いてきてるんじゃないんですか!?
でも、私は違いますから!
身体で勝てなくても、心だけはあなたのものになりませんから!
あなたのエサにされようが何しようが、私だけは騙されませんよ!?」
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