初恋のキミ

天野 奏

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熱の幻想

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レンジで温め直して、一緒に向かい合ってごはんを食べる。

「………美味しいですか?」

「ん、まぁまぁ」

「そ、そうですか………」

ほっと、ため息をついた。
まだ食べられるってことだよね? 

「料理出来るとか意外だな」

「そうですか?」

「女子力的に出来ないかと思ってた」

「そ、そんなことは無いですよ!
お母さんと毎日作ってましたし……」

「へぇ……母親も料理上手かったんだろうな」

母親も、ということは、先輩の中で私も上手いに入ったのだろうか?

「そうです!
なんでも作れましたよ!!
でも私はオムライスが好きでした!」

「ふーん、おこちゃま」

「なっ!
そういう言い方は良くないですよ!?」

「はいはい」

と、たわいもない会話をして、昼食は終わった。

その頃にはもう先輩の裸を気にすることも無くなっていて、どうしてあんなに震えたのか分からないくらいだった。

先輩の指導が良いのだろうか?

私が食器を洗っている間、先輩は置いてた勉強道具を開いて真面目に勉強している。

なんだか、やっぱり不思議な光景。

うちに、先輩がいる。
三ッ橋先輩が。

「あの、先輩……さっきはありがとうございました」

「ん………ああ、別に?」

「でも、また1つ進歩した感じがします。
まだマネージャー始めてないのに…すみません」

「ま、俺もなんか久々に興奮したからいいよ」

「え?……興奮?緊張じゃなく?」

「あんな目隠しプレイ、なかなか無いだろ。
あんな目で見上げられたら、普通襲うわ」

「え!?
私、どんな顔してましたか!?」

「エロい顔。
もしくは生まれた子鹿」

「生まれた子鹿って……なんか、ちょっとショックです」

「じゃあエロい顔」

「それも嫌ですよ!!」

「そう見えたんだから、仕方ないだろ」

「もう………」

「さっさと食器洗って、寝てろ。 
それまではいてやる」

「え………あ……そうですね…………ん?」

ふと、手を止める。

「それって……どういう意味ですか?」

「今何回考えた?」

またいつものようにククッと堪えるように笑った。

「なっ………いや、1回理解したつもりで、もう1回考えたら、やっぱりおかしいなっていうか……!」

「それでその間………ククク………」

「もう笑わないでくださいよ!!
それまではって、どういう意味ですか!」

「だから、咲來が寝るまでいてやるってこと」

「なんでですか!」

「お前が病み上がりだからだろ?
てか、熱下がったのかよ?」

「あ、そういえば…さっき寝たから……」

「寝たのかよ。
俺が風呂行ってる間に?」

「き、気づいたら…寝てました」

「だからあん時慌ててたのか。
余計パニクったのな。
まぁ、何にせよ、治ったと思った頃が厄介なんだ。
お前はすぐ無理しそうだから、監視してやるよ」

「監視って………」

てか、さっきから呼び方がお前に変わってる……。
まぁ、「あんた」よりはいいか。

「終わった?」

「あ、はい………一応………」

「はい、じゃあ薬飲んで、着替えろ」

ここで待っててやるから、そう告げて、また勉強に移った。

けど、着替えって………

ホントに、寝かせる気?

部屋に戻って、少し考えた。

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