艶色は密事を彩って【短編集】

『ほっと・ちょこれいと逃避行』

７

「やっ！　だめっ……きたな……んっ」
「充分綺麗ですよ」
「そこで、喋らないでっ……」

　信じられないことに、岳さんは秘所に口づけてしまった。先程擦っていた一点を、今度は舌の先端でなぞっている。ざらざらとした舌の表面に包み込まれる度、身体に電流が走るかのように気持ちよかった。最後にちゅうっと吸われ、背中が仰け反る。

「んっ、ああっ……！」
「すごい……溢れてきた」

　軽く目の前が白くなった。これで終わりかと思って脱力していると、岳さんの指が今度は中へと入ってくる。初めての異物感に、身体が硬直した。

「大丈夫、力を抜いて」
「う、んっ……」

　指でこれでは、先が思いやられる。極力意識するようにして力を抜くと、岳さんが空いている手で頭を撫でてくれた。「よくできました」の合図だ。嬉しくて、もっと撫でてほしくて、岳さんの指の動きに集中した。

　どれくらいの間、そうしていただろうか。指で奥を探られたり、お腹側を撫でられたりするうちに、ぐしゅぐしゅと音を立てながら愛液がこぼれていった。敷布しーつに染みを作るのもお構いなしに、岳さんは無心になって中を解ほぐしていく。

　我慢が、できない。もっと激しいのがほしい。

「岳さんっ……もう、ちょうだいっ」
「美緒……」

　腕を掴んで懇願すると、岳さんは喉を鳴らして服を脱いだ。初めて見る男の人の裸に釘づけになっていると、更に信じがたいものが目の前に現れる。

「えっ……大きい……」
「最高の褒め言葉ですね」

　絶句している私と、にこにこ顔で喜ぶ岳さんという対照的な図ができあがった。あんなに大きなもの、果たして本当に私の中に入るのだろうか。自分からねだった手前、もう後ずさりなんてできない。青ざめる私を見て、岳さんは再び抱きしめてくれた。

「ゆっくり、優しくしますから」
「……うん。分かった」

　私が頷いたのを確認した岳さんは、それを私の秘所にあてがう。腰を進められると、裂けるような痛みが、すぐに襲ってきた。

「いっ……」
「痛い、ですよね？　できるだけ力を抜いて。ちゃんと息を吐いて」
「んっ」

　やっぱり入らないんじゃないかと思ったけれど、徐々に順応しだしたそこは、時間をかけて岳さんのものを飲み込んだ。じんじんして、感覚がよく分からないけれど、大好きな人と繋がれた喜びが一番大きい。

「全部、入った……」
「岳、さんっ」
「美緒……愛しています」

　口を吸って、抱きしめ合って、ありったけの愛を伝える。

「私も、岳さんを愛してるっ」