艶色は密事を彩って【短編集】

『アイスキャンディーの罠』

６【完】

「やああっ！　だめっ！」

　誰にも触れられず、見られることもなかったところに、涼斗が吸い付いた。秘裂を舌で割り、中にある花弁をぐちゅぐちゅと音を立てながら舐め上げている。信じられない光景とぞくぞくする背筋に、朱夏の頭の中は真っ白になった。

「朱夏、声」
「んぅっ！」
「ここも、甘い。アイスより好きかも」
「ばかっ……ふっ、んっ」

　慌てて口を塞いだはいいが、涼斗は遠慮なく秘所を愛撫し続けている。鼻から抜ける嬌声をどうにか堪えながら、朱夏は腰を揺らした。身体の中心が、妙に疼く。

「朱夏、指挿れるよ」
「んっ」

　蜜と唾液でとろとろになったそこに、涼斗の指が侵入してきた。じっくりと膣内なかを解すように、少しずつ抜き挿しされる。初めての異物感に怯えながらも、快感がそれを上書きしていく。

「あっ、んっ……」
「今日は指が精一杯かな」
「ふっ、え？」
「アレ、持ってきてない」

　涼斗が眉根を寄せ、悔しそうに歯ぎしりした。彼もこんな展開になるとは思っていなかったらしい。アレが何を指すのかくらい、朱夏にも分かった。

「そんな期待を込めた目で見られても……」
「み、見てないっ」
「そう？　すげーいい顔してた」

　意地悪な笑みをたたえて、涼斗は朱夏の胸元に顔を寄せる。双丘の膨らみにキスを落とし、ぷっくりと主張する先端を口に含んで転がした。バニラの甘い香りが鼻腔をくすぐり、秘所からは水音が絶え間なく聞こえ、五感全てで朱夏を追い込んでいく。

「んんっ……あっ！」
「あ、ここ？　朱夏のいいとこ」
「あっ！　だめっ……だめぇっ！」
「しーっ」

　一際高い声を上げて反応したところを、涼斗は見逃さなかった。朱夏が声を我慢できないと察したのか、再度キスで口を塞ぐ。訳が分からなくなり始めた朱夏は、とにかく舌を絡めながら高みを目指した。

　ぐしゅぐしゅと大きな音を立てて、涼斗の指が朱夏の弱点を攻めつづける。電流が、脳天からつま先まで駆け抜けた。

「んっ、ふうっ……んーっ！！」
「っ……朱夏っ」

　身体を小刻みに震えさせ、朱夏は初めての絶頂を味わった。全身がふわふわとして、もう何も考えられない。

「……朱夏」
「……う？」
「このまま待ってて」
「え？」

　涼斗は身体を起こし、ソファから立ち上がってドアに向かった。取り残された朱夏は、呆気にとられながらその背中を見つめる。

「え、ど、どこ行くの？」
「アレ、取ってくる」
「……え」
「我慢できそうにないから」

　ぼそっと呟いて、涼斗は部屋を出て行った。あの朴念仁ぼくねんじんの涼斗が、耳まで真っ赤にしていた。

（は？　はぁ～～～！？）



　その後無事に戻ってきた涼斗により、朱夏が散々可愛がられたのは、また別の話。


【完】