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さよなら、愛しい人

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「寧々」
「豪さん」

 名前を呼び合って、舌を絡める深いキスをした。数回繰り返した後、寧々の腕を引っ張って、一緒に立ち上がる。俺は服を脱ぎ、寧々に絡まっていた下着やパジャマも脱がし、さっと避妊具をつけた。裸のまま、寧々を再び壁に追いやり、その右脚を持ち上げる。

「ちょっと抱えるから」
「えっ?」
「しっかり、掴まってて」

 寧々の身体に己の熱を沈めていく。寧々は驚いたように小さく悲鳴を上げて、しっかりと俺の肩に掴まった。それを確認して、もう片方の左脚も持ち上げる。腰を充分にくっつけて、寧々の背中を壁から離した。俺の腕と腰の力だけで寧々の体重を支える形になり、重力で降りてきた身体が俺のものをくわえこんでいく。

「やっ、んっ! これっ……」
「深いところ、当たる?」
「あっ、はっ……んっ」
「もっと、顔近づけて」

 寧々は頷いて、俺の首元に顔を寄せた。その隙にキスを交わして、寧々の身体を揺さぶった。中が、かつてないほどきゅうきゅうと締めつけている。気を抜いたら、すぐに欲を出してしまいそうだ。

「あんっ……あっ、あっ……はっ」
「寧々、少し声抑えて」
「無、理っ」

 寧々の声が部屋中に響き渡る。秋彦にはもうバレてしまっているが、また聞かれるのも気が引けた。あの忠告はなんだったんだ、とまた詰め寄られてしまうだろう。

 でも、これで本当に最後だ。寧々には、最後くらい思う存分喘がせてやりたい。今までたくさん我慢させてしまった。今度外に連れ出した時に、可愛くていやらしい声をたっぷり聞いてやろうと思っていたが、どうやらそれも叶わないようだ。

「豪さんっ」
「寧々っ」

 互いの吐息を吸い込むようにして唇をすり合わせ、繰り返し名前を呼んだ。寧々の身体が疲労を訴えていることに気付いて、繋がったままベッドにもつれこむ。脚を抱え直して、がつがつと寧々の奥を突くと、泡立った愛液がぐぷっと音を立てながら溢れ、シーツに染みを作っていた。

「やっ、ああっ……イっちゃうっ!」
「んっ……俺もっ」
「ひゃぁっ……あぁぁぁっ!!」

 寧々の声が大きく響き、中が激しくうねった。その動きは俺から全てを絞り取るかのようで、欲望に任せて吐き出した後、痙攣する寧々の身体の上に折り重なった。白い肌が月の光に照らされて、女神のように美しい。胸を撫でて、ピンク色の蕾に、そっと口づけを落とした。

「これで、最後」
「うん」
「もし生まれ変わったら、その時は絶対に一緒になろうな」
「……うん」
「俺が、寧々を見つけるから」
「私も、豪さんを見つけるよ」

 その言葉は気休めでしかない。でも、そうあって欲しい。来世では、誰も俺たちを引き裂かないでほしい。

 涙でくしゃくしゃになった寧々の頬を撫でながら、夜が更けるまで、何度も何度も別れのキスを交わした。
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