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破瓜の痛み
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「はあっ……胡蝶、大丈夫?」
「あっ……ん、うっ……」
「めちゃくちゃ可愛い……僕のために、ありがとう」
ベッドの上で、熱を持て余しながらぐったりとした私を見つめ、おーちゃんは甘ったるい吐息を漏らした。自身の前髪をくしゃくしゃにかき上げて、汗ばんだ額を見せる。そのあまりの色気と妖艶さに、私はドキリとした。
幼い頃からは想像もできない、大人の男性の身体。それを目の前で証明されたようで、改めて実感した。私は、おーちゃんに処女を捧げたのだと。
おーちゃんが私から離れて後処理を済ませると、ベッドのシーツを何やら確認していた。濡らしてしまった自覚はあったけれど、まじまじと見られると恥ずかしい。
「血は、出てないね。よかった」
「……血?」
「稀に出血する子もいるらしい。僕も見たことはないけど」
「そう、なんだ」
胸の奥がもやもやした。おーちゃんは、こういうことが初めてではないと言っていた。女の子との交際は断っているのに、やらしいことはいくらか経験済みなのだ。
私よりも先に、おーちゃんに抱かれた子がいるという事実。それを再び突きつけられて、最初に聞いた時よりも、私は動揺していた。
どうしてだろう。私は、千ちゃんが好きなはずなのに。欲望に負けておーちゃんに抱かれて、その彼が他の女の子を抱いていたことに、どこか違和感を覚えている。この胸の割り切れない感じは、一体何だろうか。
「もしかして、怖くなった?」
「あ、ううん、違うの。少し、驚いて……」
「ごめんね。出血なんて聞いたらびっくりすると思って、敢えて黙ってたんだ。また、少しずつ慣らしていこうね」
「……うん」
ぎこちなく返事をする。『嫌だ』なんて、言えるわけがない。むしろ、今は嫌だと思っていない自分がいる。それが、出血することなんかよりもずっと怖かった。
こんなこと、ずるずると続けていいわけがないのに、心のコントロールがきかない。
「朧……」
「ん? どうしたの?」
「もう一回、ぎゅってして」
「いいよ。今日は甘え上手だね」
おーちゃんが破顔して、私を強く抱きしめる。昔のおーちゃんと変わらない体温に包まれ、かりそめの安心感に身を寄せた。
こうして、私がおーちゃんのものになれば、また優しい彼が戻ってきてくれるだろうか。そんな幻想すら抱くほどに、私の心は、葛葉朧に支配されている。
「遅くなったけど、ご飯食べて、一緒にお風呂入ろう」
「うん」
「今日は疲れたでしょ? もう何もしないから、安心して」
「……うん」
そうは言ったけれど、おーちゃんと視線が交わると、どちらからともなく唇を重ねていた。
その後は、まるで欲を貪る獣のように、私たちは深夜まで互いを求め合った。
「あっ……ん、うっ……」
「めちゃくちゃ可愛い……僕のために、ありがとう」
ベッドの上で、熱を持て余しながらぐったりとした私を見つめ、おーちゃんは甘ったるい吐息を漏らした。自身の前髪をくしゃくしゃにかき上げて、汗ばんだ額を見せる。そのあまりの色気と妖艶さに、私はドキリとした。
幼い頃からは想像もできない、大人の男性の身体。それを目の前で証明されたようで、改めて実感した。私は、おーちゃんに処女を捧げたのだと。
おーちゃんが私から離れて後処理を済ませると、ベッドのシーツを何やら確認していた。濡らしてしまった自覚はあったけれど、まじまじと見られると恥ずかしい。
「血は、出てないね。よかった」
「……血?」
「稀に出血する子もいるらしい。僕も見たことはないけど」
「そう、なんだ」
胸の奥がもやもやした。おーちゃんは、こういうことが初めてではないと言っていた。女の子との交際は断っているのに、やらしいことはいくらか経験済みなのだ。
私よりも先に、おーちゃんに抱かれた子がいるという事実。それを再び突きつけられて、最初に聞いた時よりも、私は動揺していた。
どうしてだろう。私は、千ちゃんが好きなはずなのに。欲望に負けておーちゃんに抱かれて、その彼が他の女の子を抱いていたことに、どこか違和感を覚えている。この胸の割り切れない感じは、一体何だろうか。
「もしかして、怖くなった?」
「あ、ううん、違うの。少し、驚いて……」
「ごめんね。出血なんて聞いたらびっくりすると思って、敢えて黙ってたんだ。また、少しずつ慣らしていこうね」
「……うん」
ぎこちなく返事をする。『嫌だ』なんて、言えるわけがない。むしろ、今は嫌だと思っていない自分がいる。それが、出血することなんかよりもずっと怖かった。
こんなこと、ずるずると続けていいわけがないのに、心のコントロールがきかない。
「朧……」
「ん? どうしたの?」
「もう一回、ぎゅってして」
「いいよ。今日は甘え上手だね」
おーちゃんが破顔して、私を強く抱きしめる。昔のおーちゃんと変わらない体温に包まれ、かりそめの安心感に身を寄せた。
こうして、私がおーちゃんのものになれば、また優しい彼が戻ってきてくれるだろうか。そんな幻想すら抱くほどに、私の心は、葛葉朧に支配されている。
「遅くなったけど、ご飯食べて、一緒にお風呂入ろう」
「うん」
「今日は疲れたでしょ? もう何もしないから、安心して」
「……うん」
そうは言ったけれど、おーちゃんと視線が交わると、どちらからともなく唇を重ねていた。
その後は、まるで欲を貪る獣のように、私たちは深夜まで互いを求め合った。
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