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52 ヴィンセント25歳 25
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その三日後。大勢の貴族が参席する中、マリアンが玉座の前へと連れ出された。
「陛下! これは濡れ衣です! 私はなにもしていません!」
必死に訴えるマリアンを一瞥したヴィンセントは、彼女ではなく周りの貴族に向けて言葉を発した。
「今日はその可能性を探るために、皆を召集した」
貴族たちは困惑した。マリアンが皇帝と皇妃に対して毒を盛ったという話は、一瞬にして貴族中に知れ渡っている。
それから数日が経ち。マリアンに頼まれて異なるマカロンを用意したという者も捕まり、証拠が徐々に集まっているところだった。
それにも関わらず、濡れ衣を晴らす可能性を探るとは。信じがたい発言だ。
「先日。エルシー皇妃が、あの日の記憶を取り戻した」
「あの日とは……?」
尋ねるマリアンに、ヴィンセントは淡々と答える。
「マリアン嬢が、皇妃に僕と同じ毒を飲ませ、バルコニーから突き落としたことです」
それからヴィンセントは、エルシーへ状況を話すよう促した。
「私はあの日。今は亡き陛下の弟、第二皇子殿下のお墓の前で、マリアン嬢が泣いている場面を目にしたわ。その姿を私に見られたマリアン嬢は、物凄い形相で私に迫って来たの」
その場面については、エルシーの身体に憑依していた際のエルからも聞いている。
ヴィンセントは三日前、その場面の先をエルシーが思い出したと、エルから聞かされた。
「その姿があまりにも、先代皇后陛下に似ておられたので、私は思わず『皇后陛下』と口走ってしまったの。そうしたら、あの毒を飲まされたわ」
急に、亡くなった皇后の話が出てきて、貴族たちはさらに困惑する。
マリアンと皇后は派閥が異なり、性格が似るほど親しくはなかったはずだから。
むしろ皇后に近かったのはエルシーのほう。エルシーを第二皇子の妃にしたがっていた皇后は、頻繁に彼女を呼び寄せていた。貴族なら誰でも知っている。
だからこそ、皇后を近くで見てきたエルシーの言葉を、軽視するわけにもいかない。
「僕が知っているマリアン嬢は、このようなことはしない。そうですね?」
ヴィンセントが尋ねると、マリアンは希望の光でも見たかのように、表情を明るくさせる。
「そうですわ! 誰かが私を陥れようとしているのです」
「僕もそう思います。ですから、確認をさせてください」
ヴィンセントが手を挙げて指示すると、ワゴンに乗せられたあるものが運ばれてきた。それを見たマリアンは、顔を少しだけひきつらせた。
「陛下。それは……」
「先代皇后の頭蓋骨です」
「なぜこのようなものを……」
「僕が摂取した毒も、本来は皇妃と皇子に用意されたもの。幼いころから僕の幸せを奪おうとするのは、いつも皇后でした」
ヴィンセントの母親を殺したのも皇后。日頃の嫌がらせや、怪我を負わされたり、他人からなかなかマナを分けて貰えなかった理由も、皇后の圧力によるもの。十歳の時に暗殺者を送ってきたのも皇后。
そして、最愛のエルを奪おうとしたのも皇后だった。
エルが自分の身体に触れたことで元に戻ったように、マリアンにも皇后が憑依していたとしたら、同じようにすればマリアンの身体から抜け出るのではないかとヴィンセントは考えた。
「マリアン嬢。あなたの身体に皇后が憑依していないか心配なのです。その頭蓋骨に触れてください」
「嫌です……。人の骨だなんて怖い……」
マリアンは助けてとばかりに、潤んだ瞳で両脇に控えている騎士を見上げた。
けれど二人の騎士は、マリアンの魅力に動じることはない様子。
この話を知る前ならまだしも、彼女の中身が先代皇后だと知った上で、下心を出すような者はいない。それほど皇后は恐ろしい存在だった。
ヴィンセントに指示され、騎士二人はマリアンの腕を掴み頭蓋骨へと導く。
「やめて! お願いです! やめろと言っているのか聞こえぬのか!」
最後のほうは、今までのマリアンとは思えないほどの、怒号が飛ぶ。
状況がよく解らない者たちも、彼女は何か悪いものに憑りつかれていると思えてならなかった。
マリアンが皇后の骨に触れると、皇后の記憶が飛び散るように皆の目に映った。
先代皇帝の婚約者候補として、競わされた若かりし頃の彼女。
結婚を勝ち取り幸せが訪れると思いきや、次は皇后の座を巡ってヴィンセントの母親と競わされた。
ヴィンセントの母親を暗殺した際は、「皇太子の母として見どころがある」と夫に褒められた。
しかし夫は、第一皇子と第二皇子を競わせ続けた。
やっとの思いでヴィンセントを暗殺したのに、息子の病は悪化するばかり。
腕の立つ治療魔法師を見つけた矢先、死んだはずのヴィンセントに返り討ちに合った。
皇后の記憶から、競わされるストレスと、成果が出ない虚しさ。そしてヴィンセントへの恨みがひしひしと伝わってきた。
マリアンの身体へと憑依した皇后は、今度こそヴィンセントに絶望を味わわせてやると誓う。
皇妃と皇子を殺して、悲しむヴィンセントを慰め、心を掴むつもりだった。
ヴィンセントが完全にマリアンを愛したあとで、誰が皇子を殺したか打ち明け、彼を不幸のどん底に落とそうと。
けれど、毒はヴィンセントが摂取してしまった。
予定とは異なるが、ヴィンセントが死ねばせいせいする。
そう思っていたのに…………。
そこで記憶が途切れると、倒れていたマリアンは咳き込みながら意識を取り戻した。
マリアンを介助するよう指示したヴィンセントは、それから皇后の頭蓋骨に向けて手を突き出した。
「二度と僕たちの前に現れるな」
かつてヴィンセントが鉱山で大岩を砕いていたように、皇后の頭蓋骨は魔法で木端微塵に粉砕された。
その後。元のマリアンに戻った彼女は、これまでの皇后の行動を恥じ、異国で暮らしたいと願い出た。
「陛下! これは濡れ衣です! 私はなにもしていません!」
必死に訴えるマリアンを一瞥したヴィンセントは、彼女ではなく周りの貴族に向けて言葉を発した。
「今日はその可能性を探るために、皆を召集した」
貴族たちは困惑した。マリアンが皇帝と皇妃に対して毒を盛ったという話は、一瞬にして貴族中に知れ渡っている。
それから数日が経ち。マリアンに頼まれて異なるマカロンを用意したという者も捕まり、証拠が徐々に集まっているところだった。
それにも関わらず、濡れ衣を晴らす可能性を探るとは。信じがたい発言だ。
「先日。エルシー皇妃が、あの日の記憶を取り戻した」
「あの日とは……?」
尋ねるマリアンに、ヴィンセントは淡々と答える。
「マリアン嬢が、皇妃に僕と同じ毒を飲ませ、バルコニーから突き落としたことです」
それからヴィンセントは、エルシーへ状況を話すよう促した。
「私はあの日。今は亡き陛下の弟、第二皇子殿下のお墓の前で、マリアン嬢が泣いている場面を目にしたわ。その姿を私に見られたマリアン嬢は、物凄い形相で私に迫って来たの」
その場面については、エルシーの身体に憑依していた際のエルからも聞いている。
ヴィンセントは三日前、その場面の先をエルシーが思い出したと、エルから聞かされた。
「その姿があまりにも、先代皇后陛下に似ておられたので、私は思わず『皇后陛下』と口走ってしまったの。そうしたら、あの毒を飲まされたわ」
急に、亡くなった皇后の話が出てきて、貴族たちはさらに困惑する。
マリアンと皇后は派閥が異なり、性格が似るほど親しくはなかったはずだから。
むしろ皇后に近かったのはエルシーのほう。エルシーを第二皇子の妃にしたがっていた皇后は、頻繁に彼女を呼び寄せていた。貴族なら誰でも知っている。
だからこそ、皇后を近くで見てきたエルシーの言葉を、軽視するわけにもいかない。
「僕が知っているマリアン嬢は、このようなことはしない。そうですね?」
ヴィンセントが尋ねると、マリアンは希望の光でも見たかのように、表情を明るくさせる。
「そうですわ! 誰かが私を陥れようとしているのです」
「僕もそう思います。ですから、確認をさせてください」
ヴィンセントが手を挙げて指示すると、ワゴンに乗せられたあるものが運ばれてきた。それを見たマリアンは、顔を少しだけひきつらせた。
「陛下。それは……」
「先代皇后の頭蓋骨です」
「なぜこのようなものを……」
「僕が摂取した毒も、本来は皇妃と皇子に用意されたもの。幼いころから僕の幸せを奪おうとするのは、いつも皇后でした」
ヴィンセントの母親を殺したのも皇后。日頃の嫌がらせや、怪我を負わされたり、他人からなかなかマナを分けて貰えなかった理由も、皇后の圧力によるもの。十歳の時に暗殺者を送ってきたのも皇后。
そして、最愛のエルを奪おうとしたのも皇后だった。
エルが自分の身体に触れたことで元に戻ったように、マリアンにも皇后が憑依していたとしたら、同じようにすればマリアンの身体から抜け出るのではないかとヴィンセントは考えた。
「マリアン嬢。あなたの身体に皇后が憑依していないか心配なのです。その頭蓋骨に触れてください」
「嫌です……。人の骨だなんて怖い……」
マリアンは助けてとばかりに、潤んだ瞳で両脇に控えている騎士を見上げた。
けれど二人の騎士は、マリアンの魅力に動じることはない様子。
この話を知る前ならまだしも、彼女の中身が先代皇后だと知った上で、下心を出すような者はいない。それほど皇后は恐ろしい存在だった。
ヴィンセントに指示され、騎士二人はマリアンの腕を掴み頭蓋骨へと導く。
「やめて! お願いです! やめろと言っているのか聞こえぬのか!」
最後のほうは、今までのマリアンとは思えないほどの、怒号が飛ぶ。
状況がよく解らない者たちも、彼女は何か悪いものに憑りつかれていると思えてならなかった。
マリアンが皇后の骨に触れると、皇后の記憶が飛び散るように皆の目に映った。
先代皇帝の婚約者候補として、競わされた若かりし頃の彼女。
結婚を勝ち取り幸せが訪れると思いきや、次は皇后の座を巡ってヴィンセントの母親と競わされた。
ヴィンセントの母親を暗殺した際は、「皇太子の母として見どころがある」と夫に褒められた。
しかし夫は、第一皇子と第二皇子を競わせ続けた。
やっとの思いでヴィンセントを暗殺したのに、息子の病は悪化するばかり。
腕の立つ治療魔法師を見つけた矢先、死んだはずのヴィンセントに返り討ちに合った。
皇后の記憶から、競わされるストレスと、成果が出ない虚しさ。そしてヴィンセントへの恨みがひしひしと伝わってきた。
マリアンの身体へと憑依した皇后は、今度こそヴィンセントに絶望を味わわせてやると誓う。
皇妃と皇子を殺して、悲しむヴィンセントを慰め、心を掴むつもりだった。
ヴィンセントが完全にマリアンを愛したあとで、誰が皇子を殺したか打ち明け、彼を不幸のどん底に落とそうと。
けれど、毒はヴィンセントが摂取してしまった。
予定とは異なるが、ヴィンセントが死ねばせいせいする。
そう思っていたのに…………。
そこで記憶が途切れると、倒れていたマリアンは咳き込みながら意識を取り戻した。
マリアンを介助するよう指示したヴィンセントは、それから皇后の頭蓋骨に向けて手を突き出した。
「二度と僕たちの前に現れるな」
かつてヴィンセントが鉱山で大岩を砕いていたように、皇后の頭蓋骨は魔法で木端微塵に粉砕された。
その後。元のマリアンに戻った彼女は、これまでの皇后の行動を恥じ、異国で暮らしたいと願い出た。
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