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一宮けい

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国語力0からの感想文(小噺1)

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 制服を翻しながら、駆け抜ける。
 やっと思いで教室につくと他の高校生はみな涼しい顔で席に座っている。真冬なのにもかかわらず、汗をだらだらかきながらわたしは席につくと、全員揃ったということで、問題用紙が配られる。
「ぜぇ~…ぜぇ…」
 呼吸を整えようとするが、上手くいかない。一人だけ全力疾走してきたので、わたしの呼吸音だけが教室に静かに響く。こちらを誰も見てないはずなのに、なぜか視線を感じる。
 おいおい試験前なのに。静かにしろ、わたし!
「では時間になりました。始めてください」
 開始とともに答案用紙が翻り、みな一斉にカリカリと解き始めた。わたしも血眼になりながら物語の世界へと落ちていった。

 まさかこの後第一志望、第二志望も落ちて、この時ぜえぜえ受験した第三志望の大学に5年も通うとは思わなかったのである。
 わたしは私立文系だったので、受験は国語と英語と日本史のたった3教科だけ受けた。ところが、文系にしては国語があんまりよくなかった。古典よりも現代文は際立って浮き沈みを繰り返していた。その結果、センターの点数で国語だけよくなかったので、英語と日本史はセンターの点数で受験し、国語は別途大学で受けることになった。そして案の定遅刻し、あんなにも走らなければならなくなったのだった。そもそも、ちゃんと時刻表や地図などは確認していて余裕で家を出たはずだった。すべてにおいて“読みが甘い”。

 なぜ国語が苦手なのか。それは読むセンスがないのだ。
 国語ができる子ってエスパーなのかしら。国語だけ抜群にできる友達もいた。なんでラジオのチューニングみたいに波長をぴったり合わせられるのかな。現在もってしても誠に不思議。
 
 このギブスでは誰かが作った作品(例外として人が出てくるときもあるけれど)なのだが批評はしないのはこのためだ。自分の読解はたぶんズレている。時々自分がまるで神様のように作品を批評する人もいるけれど、わたしは自分に対して絶対的自信は毛頭ない。だいたい無職に批評される筋合いは誰の作品にもないし、その作品が好きな方もいらっしゃるだろうから、わたしはしないと見えない剣に誓っているのだ。

 ただズレた意見でも別いいじゃない?とも思っている。もううの昔に義務教育はおさらばした。多様化したこの社会で、四角四面な感想以外の感想をも読み解くのが大人である、なんて大義名分ぶらさげて、このエッセイはゆるく続けていこうと思う。
 
 わたしは批評しない。そして誰かを傷つけないように配慮して書いていこうと思う。ただ本人はブラックユーモアや皮肉が好きなので、行き過ぎてしまったらぜひ教えていただけると助かります。そしてよろしければあなたの意見もぜひ聞きたいです。

 これからもどうぞご贔屓に。
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