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おまえの顔を見ながら抱っこしたい

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俺は唾を飲み込んだ。障子の向こうの縁側には、ろうそくがある。
障子越しの灯りに照らされたイヌのそれは、陰影がくっきりしていて昼間より禍々しく見えた。

また、お汁がもらえるんだ……イヌとずっといっしょにいたら、俺の桃尻はずっと艶々に潤ったままだろうなあ。
……は!? 俺は、いまお汁を基準にして将来を決めようとしていた!?

でも、お汁いっぱいの毎日って幸せだろうなあ……。

「イヌ。ほんとうに、ずっとお汁が出せる?」
「おう!」
「じゃあ、いまから朝まで出せる?」
「へえぇぇ、あ、朝までぶっぱなすのか!?」

んん? イヌは勢いで言ったのか? すかさず、俺は戦術を使った。

秘伝! 誘惑のお汁絞り!

「俺、お嫁さんになる自信ない……もしお汁が欲しくなっても、イヌが出せないときが来たら……他の男に走りそうだよ……」

俺は浴衣の袂を口でつまんで、しなをつくり、あまえるように言った。

「も、ももたろう……なんで、いきなり色っぽくなるんだよ……」

俺を見つめるイヌの頬が赤くなっていく。

「イヌ。自分のお汁が出なくなったら、イヌはどうすんの……?」
「そんなことあるわけないだろ!? さっきだって、おまえに会ってすぐにヤれただろ? おまえが立てなくなるくらい、抱っこできただろ?」
「ふうん。じゃ、ヤってみようか? ……朝までな!」
「お、おうよ! 泣いても知らねぇからな!」

イヌは俺の浴衣を剥いだ。俺の全身を舐めまくる。

「イヌ、イヌ! 唾じゃない、俺が欲しいのはお汁だ、お汁!」
「だから前戯だよ、前戯! お汁はあとでまとめて出すから!」
「あ、あぁん、俺たちって合うんだか、合わないんだか、わからないなあ……あ、あん」

文句を言いながらも、俺はイヌの攻めに喘いだ。やっぱり、こいつ、うまい。……悔しいけど。

「ももたろう。俺たちはお似合いなんだよ」

イヌは俺の両手に指を絡ませてきた。

「お互い相性良すぎて、翻弄されてるんだよ。だから、切羽詰まった感じになるんだ」

イヌはじっと俺の顔を見ている。

「なあ、ももたろう。俺、今夜はおまえの顔を見ながら抱っこしたい」
「ワンワンスタイルじゃなくていいのか?」

イヌは満面の笑みで頷いた。

「ああ。おまえのイく顔を、この目でじっくり見たいからな!!」
「……じゃあ俺も、イヌがお汁をぶっぱなす顔を観察するよ」

強がって返したけれど、イヌの言葉にはどきどきした。

イヌ、ほんとうに俺をお嫁さんにしたいんだ……。
お汁さえあれば、俺はなにもいらない。だから俺は……いや、俺には使命があるんだ。

……イヌ。俺はおまえの目の前で鬼に抱っこされて、お汁を注がれるんだよ?
それでもお嫁さんにしたいのか? イヌ?

俺はイヌに抱っこされながら、言えない言葉を心の奥でつぶやいていた。

まぶしい。障子越しに光が入ってくる。……あれ、もう朝がきたのか。

結局、俺はゆうべからイヌに攻められ喘ぎっぱなしだった。

……イヌ。たじろいでいたけれど、体力あるな!?
誘った俺が怖くなるくらい、イヌはいまも元気だ。

「イヌ……なか、苦しい。もういっぱい……や、あぁ」
「へへへ、ヤろうと思えばできるもんだな。ちゅ、ももたろう。俺はまだイけるぜ」

俺の首筋を舐めるイヌのケモ耳を、俺は撫でた。俺を抱っこする前、ケモ耳は湯上がりでふかふかしていた。いまは汗ですっかり湿っている。でも、ピンと立っているのは変わらない。

「わかった、わかったから……あ、ん。い、一回抜いてからしよう?」
「でも、俺もうできるぞ。……ほら」
「やあ、あぁ、は、あ……あ」

充分に硬くなったイヌのものが、思うままに俺のなかを動いている。ごりごりと、俺のなかをうごめく音が聞こえてきそうだ。
ゆうべから中出しされたお汁が、ぐちゅんぐちゅん、と淫らな音を立てて俺の窄まりからあふれ、桃尻を伝う。
声がかすれて、拒否できない。
せめてもの抵抗と、イヌのたくましい胸に両手でふれた。熱いかなと思ったけれど、イヌの肌は汗がひいたからか、少し湿ってひんやりしていた。

「や、や……」
「く、ここだろ? おまえのいいところは、は、はあ、すっかり覚えたぜ。ん……。へ、忠犬になるのも、ん、悪くないな……ん。好きな奴の……好きなことを、たくさんするのって、く、満たされる……はあ、ああ、あ」
「イ、イヌ、や、や……」
「ははは、感じすぎて声も……出ないか? ももたろおぉ、ん」

イヌは力が入らなくなった俺の両足を、自分の肩に乗せた。角度を変えて俺を突く。

「まって、イヌ……深いよ、あぁ、ああ……ん、や、いや」
「おまえのいいところは、あ、ああ、こうやって向き合ったほうが……強く擦れる。声がちがうんだよ……わかってんのか、ももたろう……? このかっこだと、おまえの声、すげぇ、あ、あまくなるんだぜ。誘ってる喘ぎだ……かわいく啼きやがって……はあ、はあ、俺、おまえなら……何回でも抱っこできるぞ」
「わかったよ……イヌ……はあ、ああ」

完全に力が抜けて、俺の両腕がイヌの身体から離れる。抱きしめることさえできない。
俺、何回お汁を出したんだろう……。身体が粘りけのあるお汁と、汗でべたべたする。締め切った部屋には、交わった雄特有の臭いがたちこめている。
「イヌ……もう、イヌを、あん、煽らないから……もうやめて、ね? ん、ん……」
「へっ、やっと俺の気持ちが、く、わかったか。ももたろう……もう少し、突いたら、お汁出してやる……あ、ああ」

イヌがより速く腰を振る。より強く、俺の奥を擦ってくる。イヌが腰を動かすたびに水音が響いた。
俺はあまりの快感に声も出ず、ただくりかえしうなずいた。

……あ。幾度となく注がれてきたイヌのお汁が、また俺のなかに……。

すごく気持ちいいけれど、身体が耐えきれなかったのだろう。内股が痙攣している。……いや。震えているのは、お汁のせいだけではないのかもしれない。
イヌが執拗にここに『印』をつけたのだ。俺の内股は虫刺されみたいな痣が無数にできて、敏感になっている。

イヌが己のものを引き抜いた。その勢いで俺の桃尻から、注ぎきれなかったイヌのお汁があふれた。

「ももたろう……ももたろう……」

イヌが俺を抱きしめて、胸に頭をすりよせてくる。

「俺、こんな気持ちになったのは初めてなんだ……。何回お汁を出してもさ、次はいつ、おまえを抱っこできるかなって考えてしまうんだよ。おまえのことを淫乱って言った俺がこうなるなんて……笑っちまうよな……」
「笑わないよ、俺」

俺はイヌの頭を、やさしく撫でた。

「お嫁さんにしたいってそういうことなんだろ、イヌ?」
「おう! そうだ、ももたろう!」

イヌが顔を上げる。ケモ耳が、勢いよく立った。

「おまえが俺の嫁さんになったら、俺、いっぱい抱っこする! おまえがもういらないって言っても、たくさんお汁やるぞ!」

うれしかった。でも、俺は……。
俺がなにも答えないでイヌを抱きしめていると、イヌのケモ耳がみるみるうちにたれさがってきた。

「……そうすれば、おまえは男が欲しくならないようになるから……だから、ももたろう。俺だけの、俺だけの嫁さんに……なってくれ……い、いや。なんでもない!」
「イヌ……」

やっぱりイヌはちゃんとわかっているんだ。
俺の使命を。
なにか言わなくてはと、俺がくちを開こうとしたとき、深くくちづけされた。

「もも、た、ろう、ふ、ん、ん……」
「ん、ん」

自然とふたりで舌を絡ませあう。

「……ももたろう。おねがいだ。あと一回抱っこしたい。できるだけやさしくするから、頼む!」
「うん。しよう……イヌ」
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