【R18完結】おとなになれない私-I can't be an adult.-

石塚環

文字の大きさ
上 下
16 / 17

そうだね、くっつちゃいたね

しおりを挟む
私は手を伸ばして、額にかかっていた加賀谷さんの前髪に触れた。湿っているけれどやはり硬かった。つんつんした感触は、普段の加賀谷さんと同じだった。
その手触りに安心して、私は息を吐いた。
躯から力が抜け、自分を貫くものの逞しさを感じた。
私だって男だから、張り詰めた自分のものを触ったことは何度もある。でも、こんなに強い力はなかったと思う。
恐る恐る、合わさっている箇所を見た。私の腰は折り曲げられていたから、そこは容易に覗くことができた。
加賀谷さんの欲望は、深く、深く、私を貫いていた。
限界以上に広がりながらも、私の窄まりはおいしそうに彼のものを飲み込んでいる。
視線を上げると、入りきらなかった加賀谷さんの褐色の根元と濃い下生えが見えた。
「あ、あ……本当に、くっついている」
「そうだね、くっついちゃったね」
驚く私を、加賀谷さんは面白そうに見つめている。私は両手で加賀谷さんにしがみついた。
「すごい……中で……どくんどくんて、いっている」
「俺も、晴之を感じるよ。熱くて潤んでいる。しばらくこのままでいようか。晴之の躯が馴染むまで待っていよう」
「うん。それなら……お願い」
私は、加賀谷さんの唇を奪った。
「たくさん、キスしたい」
「うん、いっぱいしよう」
貪るように、深いくちづけを交わした。
舌を差し込まれたら、感じてしまうから、貫く加賀谷さんのものを締めつけてしまう。その度に、加賀谷さんは呻いた。
加賀谷さんの舌を吸う度に、彼の躯から精液を搾り取っているように感じた。
音を立てて唇を離すと、加賀谷さんは私の頭をやさしく撫でた。
「晴之。いい子だから、もう少しがんばろうな」
「うん、ん……ああ」
私の両膝を抱え、加賀谷さんは腰を動かした。
引き抜かれたとき奥が疼いた。差し込まれると中がいっぱいになる。力強い加賀谷さんの欲望を受け止めるのがやっとで、すぐに私の呼吸は乱れた。
「ん、ん――」
「くっ、すごい締まる……」
加賀谷さんはゆっくりと抜き差しをする。気遣っているのがわかる。
大丈夫と言いたいのに、声が出なかった。
あるところを抉られたとき、更にきつく中が締まった。中が引き攣ったような感じがする。加賀谷さんは唸った。
彼の硬い欲望がひときわ、大きくなる。
更に奥へと進んでくるので、私は彼の腕を掴んだ。
「いや……あ、ああ」
「ここだろ……いっぱい、擦ってやるからな」
「やめて、あ、あ、あ」
短く悲鳴を上げながら、私は首を振った。加賀谷さんの背中に爪を立てた。
「ごめんな、くっ――すごくいいよ」
笑顔で、加賀谷さんは私を犯した。
泡まみれの私の尻は、加賀谷さんの動きに合わせて床を滑った。
加賀谷さんが弱く挿れると、私の背は曲がる。抜けば背はしなり、強く貫けば腰がくねった。
淫らな抽挿に躯が揺さぶられる。官能の波に襲われ、溺れてしまう。
こんなに激しくされたら、おかしくなる。もう、今までの私ではなくなってしまう。
「あ……晴之、はあ、あ……」
息を荒げ、眉を寄せて、加賀谷さんは私を見下ろしている。獰猛な目つきだった。闇夜のような黒い瞳だった。
「もっと、もっと……壊してやるよ――」
「う、ん……壊して……」
加賀谷さんの脈打つ命そのものが、より感じるところまで進入してくる。
躯の深い奥で彼と交わった。律動が更に乱暴になっていく。
痛みに悶えて悦び、私は腰を揺らした。
「あ……あ」
掠れた自分の声が浴室に響いた。私は手を伸ばして、加賀谷さんの額に滲む汗を拭った。
「ここも……食ってやる」
加賀谷さんは私の手を取り、指に歯を立てた。人差し指をしゃぶられ舌を使って強く吸われた。
傷口に唾液が染みる。腰と指先に、痺れるような快感が走った。
「あ――ああ、うますぎて、中毒になる、くっ」
「よかった……あ、あ」
「きれいだよ、晴之――」
きれいなのは加賀谷さんだ。全身を使って私を愛してくれる。
私に昂ぶりを挿し込む度に、肩の筋肉が盛り上がる。引き抜く度に、腹の筋肉が更に引き締まる。
私の中を抉る度に、胸の筋肉が上下している。
躯を動かす度に彼の汗は光る。肌に宝石が散っているみたいだ。
永遠にこの姿を見ていたい。もっと感じて、もっと淫らになってほしい。私は腰を揺らしつづけた。
「ああ、う、あ――」
獣のような声で吠えながら、加賀谷さんは欲望を突き刺してくる。高い声で喘ぎながら、私は背を仰け反らせ、尻を震わせた。
絶え間なく蜜を零していた私の屹立を、加賀谷さんは指で刺激した。
「ああ、あ……」
私は精を吐き出した。白濁が顔にまで飛び散った。こんなにいっぱい出たのは初めてだった。
「あ、ん、ん……」
私の中が無意識に大きく痙攣する。奥への放出を促すような動きだった。動きに合わせて、大きくて硬い加賀谷さんのものが深いところまで進んでくる。
「ん、ん――」
大きく身を震わせ、加賀谷さんは私の中で達した。
「あ……」
注がれたものがあまりに熱くて、下腹と腿が痙攣した。
「く、うう……」
深々と私を貫いたまま、加賀谷さんはゆっくり腰を揺らした。呻きながらも、下半身を動かしている。
思わず、結合部を見た。
赤々とした私の秘所と、加賀谷さんの屹立の間から、白濁があふれ出した。更に、加賀谷さんは腰を回した。
私の中をかき混ぜるような動きだった。
ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら白い蜜が零れ出す。
「だめ、あ……ああ」
なぜか私は叫んでいた。何がだめなのだろう。
中に出されるのがいやなのか。
それとも、一滴も洩らさず自分の体内に残したかったのか。
自分でもわからないまま、私は首を振った。
私の尻を伝い、加賀谷さんの精液は床に落ちていった。
それでもまだ加賀谷さんは腰を振っている。残滓までも私の奥に流し込もうとしている。
「ああ……」
喘ぎながら、私は目を閉じた。
一瞬、加賀谷さんが笑ったように見えた。

「晴之、晴之……」
目を開けると私は浴室にいた。腰にはタオルが巻かれている。
加賀谷さんは、横抱きにした私を両腿に乗せて座っている。
私の名前を繰り返し呼びながら、全身に唇を落としている。
息をするのがやっとだった。くちづけされても意識がはっきりしてこない。
「……終わったんですか――」
私の声は枯れていた。
「ああ。ちゃんとできたんだよ」
潤んだ瞳で私を見つめている。私の手をひたすら撫でてくれた。
「がんばった。晴之は、すごくがんばったよ」
「よかった……今度はできたんだ」
涙が頬を伝った。
加賀谷さんは頷き、すすり泣く私の頭を撫でてくれた。
泣くのをやめたいのに、涙があふれてくる。
見つめ返しているうちに、焦げつくような狂おしい記憶がよみがえってきた。熱っぽい彼のまなざし、荒々しい声を思い出した。
加賀谷さんに愛された。この肌で、心で、加賀谷さんを感じた。
「怖かったけど、できたんだ。か……」
私は、息を整えた。寿さん、と言った。
「寿さん、愛してる」
「やっと、名前で呼んでくれた」
微笑みながら彼は私の唇を奪った。抱きつこうとしたら、腰に鈍い痛みを感じた。
抱かれたという確かな感触だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

巣作り短編集

あきもち
BL
巣作りの話だけを書いていく短編集 独自設定あったりなかったり

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...