【R18完結】おとなになれない私-I can't be an adult.-

石塚環

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そうだね、くっつちゃいたね

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私は手を伸ばして、額にかかっていた加賀谷さんの前髪に触れた。湿っているけれどやはり硬かった。つんつんした感触は、普段の加賀谷さんと同じだった。
その手触りに安心して、私は息を吐いた。
躯から力が抜け、自分を貫くものの逞しさを感じた。
私だって男だから、張り詰めた自分のものを触ったことは何度もある。でも、こんなに強い力はなかったと思う。
恐る恐る、合わさっている箇所を見た。私の腰は折り曲げられていたから、そこは容易に覗くことができた。
加賀谷さんの欲望は、深く、深く、私を貫いていた。
限界以上に広がりながらも、私の窄まりはおいしそうに彼のものを飲み込んでいる。
視線を上げると、入りきらなかった加賀谷さんの褐色の根元と濃い下生えが見えた。
「あ、あ……本当に、くっついている」
「そうだね、くっついちゃったね」
驚く私を、加賀谷さんは面白そうに見つめている。私は両手で加賀谷さんにしがみついた。
「すごい……中で……どくんどくんて、いっている」
「俺も、晴之を感じるよ。熱くて潤んでいる。しばらくこのままでいようか。晴之の躯が馴染むまで待っていよう」
「うん。それなら……お願い」
私は、加賀谷さんの唇を奪った。
「たくさん、キスしたい」
「うん、いっぱいしよう」
貪るように、深いくちづけを交わした。
舌を差し込まれたら、感じてしまうから、貫く加賀谷さんのものを締めつけてしまう。その度に、加賀谷さんは呻いた。
加賀谷さんの舌を吸う度に、彼の躯から精液を搾り取っているように感じた。
音を立てて唇を離すと、加賀谷さんは私の頭をやさしく撫でた。
「晴之。いい子だから、もう少しがんばろうな」
「うん、ん……ああ」
私の両膝を抱え、加賀谷さんは腰を動かした。
引き抜かれたとき奥が疼いた。差し込まれると中がいっぱいになる。力強い加賀谷さんの欲望を受け止めるのがやっとで、すぐに私の呼吸は乱れた。
「ん、ん――」
「くっ、すごい締まる……」
加賀谷さんはゆっくりと抜き差しをする。気遣っているのがわかる。
大丈夫と言いたいのに、声が出なかった。
あるところを抉られたとき、更にきつく中が締まった。中が引き攣ったような感じがする。加賀谷さんは唸った。
彼の硬い欲望がひときわ、大きくなる。
更に奥へと進んでくるので、私は彼の腕を掴んだ。
「いや……あ、ああ」
「ここだろ……いっぱい、擦ってやるからな」
「やめて、あ、あ、あ」
短く悲鳴を上げながら、私は首を振った。加賀谷さんの背中に爪を立てた。
「ごめんな、くっ――すごくいいよ」
笑顔で、加賀谷さんは私を犯した。
泡まみれの私の尻は、加賀谷さんの動きに合わせて床を滑った。
加賀谷さんが弱く挿れると、私の背は曲がる。抜けば背はしなり、強く貫けば腰がくねった。
淫らな抽挿に躯が揺さぶられる。官能の波に襲われ、溺れてしまう。
こんなに激しくされたら、おかしくなる。もう、今までの私ではなくなってしまう。
「あ……晴之、はあ、あ……」
息を荒げ、眉を寄せて、加賀谷さんは私を見下ろしている。獰猛な目つきだった。闇夜のような黒い瞳だった。
「もっと、もっと……壊してやるよ――」
「う、ん……壊して……」
加賀谷さんの脈打つ命そのものが、より感じるところまで進入してくる。
躯の深い奥で彼と交わった。律動が更に乱暴になっていく。
痛みに悶えて悦び、私は腰を揺らした。
「あ……あ」
掠れた自分の声が浴室に響いた。私は手を伸ばして、加賀谷さんの額に滲む汗を拭った。
「ここも……食ってやる」
加賀谷さんは私の手を取り、指に歯を立てた。人差し指をしゃぶられ舌を使って強く吸われた。
傷口に唾液が染みる。腰と指先に、痺れるような快感が走った。
「あ――ああ、うますぎて、中毒になる、くっ」
「よかった……あ、あ」
「きれいだよ、晴之――」
きれいなのは加賀谷さんだ。全身を使って私を愛してくれる。
私に昂ぶりを挿し込む度に、肩の筋肉が盛り上がる。引き抜く度に、腹の筋肉が更に引き締まる。
私の中を抉る度に、胸の筋肉が上下している。
躯を動かす度に彼の汗は光る。肌に宝石が散っているみたいだ。
永遠にこの姿を見ていたい。もっと感じて、もっと淫らになってほしい。私は腰を揺らしつづけた。
「ああ、う、あ――」
獣のような声で吠えながら、加賀谷さんは欲望を突き刺してくる。高い声で喘ぎながら、私は背を仰け反らせ、尻を震わせた。
絶え間なく蜜を零していた私の屹立を、加賀谷さんは指で刺激した。
「ああ、あ……」
私は精を吐き出した。白濁が顔にまで飛び散った。こんなにいっぱい出たのは初めてだった。
「あ、ん、ん……」
私の中が無意識に大きく痙攣する。奥への放出を促すような動きだった。動きに合わせて、大きくて硬い加賀谷さんのものが深いところまで進んでくる。
「ん、ん――」
大きく身を震わせ、加賀谷さんは私の中で達した。
「あ……」
注がれたものがあまりに熱くて、下腹と腿が痙攣した。
「く、うう……」
深々と私を貫いたまま、加賀谷さんはゆっくり腰を揺らした。呻きながらも、下半身を動かしている。
思わず、結合部を見た。
赤々とした私の秘所と、加賀谷さんの屹立の間から、白濁があふれ出した。更に、加賀谷さんは腰を回した。
私の中をかき混ぜるような動きだった。
ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てながら白い蜜が零れ出す。
「だめ、あ……ああ」
なぜか私は叫んでいた。何がだめなのだろう。
中に出されるのがいやなのか。
それとも、一滴も洩らさず自分の体内に残したかったのか。
自分でもわからないまま、私は首を振った。
私の尻を伝い、加賀谷さんの精液は床に落ちていった。
それでもまだ加賀谷さんは腰を振っている。残滓までも私の奥に流し込もうとしている。
「ああ……」
喘ぎながら、私は目を閉じた。
一瞬、加賀谷さんが笑ったように見えた。

「晴之、晴之……」
目を開けると私は浴室にいた。腰にはタオルが巻かれている。
加賀谷さんは、横抱きにした私を両腿に乗せて座っている。
私の名前を繰り返し呼びながら、全身に唇を落としている。
息をするのがやっとだった。くちづけされても意識がはっきりしてこない。
「……終わったんですか――」
私の声は枯れていた。
「ああ。ちゃんとできたんだよ」
潤んだ瞳で私を見つめている。私の手をひたすら撫でてくれた。
「がんばった。晴之は、すごくがんばったよ」
「よかった……今度はできたんだ」
涙が頬を伝った。
加賀谷さんは頷き、すすり泣く私の頭を撫でてくれた。
泣くのをやめたいのに、涙があふれてくる。
見つめ返しているうちに、焦げつくような狂おしい記憶がよみがえってきた。熱っぽい彼のまなざし、荒々しい声を思い出した。
加賀谷さんに愛された。この肌で、心で、加賀谷さんを感じた。
「怖かったけど、できたんだ。か……」
私は、息を整えた。寿さん、と言った。
「寿さん、愛してる」
「やっと、名前で呼んでくれた」
微笑みながら彼は私の唇を奪った。抱きつこうとしたら、腰に鈍い痛みを感じた。
抱かれたという確かな感触だった。
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