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物語の始まり
第2話 ギルドでステータスを確認?
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道中で二人からいろいろな話を聞いた。
この世界は中世くらいの発展度合いで、魔駒と呼ばれる魔物が出てきて以来抵抗できなかった王侯貴族の国々は滅び、一部の強力な私軍を持つ君主国と大量の冒険者を擁するギルドが権力を握ったらしい。
そして、魔術に関してだがこの国の人間は殆ど使えるようだが、その範囲は通常は生活魔法に限られ、そして鍛錬をしても中級魔法が習得の限界らしい。
さっきの戦闘で俺が使った「オートガード」とやらは、どうやらその中級魔法の一段階上――高位魔法と呼ばれるもので、これはずっと昔に滅びた古代魔法として現代においては存在しないはずのものらしいのだ。
「ほら、ついたわよ」
リアンの声に釣られて、地面を見ていた視線を上げる。
目の前に現れたのは違法建築が如く、増築に増築を加えたような高層建築であった。大きく開いた出入り口からは剣を佩いたり、ポーションを腰に付けた冒険者じみた連中が出入りして、盛況を見せている。
ギルド・アンヌール――リアンとクレアが所属するギルドらしい。
中に入ってリアンが受付に手を振ると、受付嬢はニコッと笑顔で返してきた。リアンは彼女と一言二言言葉を交わすと、こちらに振り返った。
「タクミ、ちょっと彼女の前に立ってみて?」
「ん、ああ」
言われたとおり、受付嬢の前に立つと額の前に手をかざされた。少し暖かい感覚を覚えた瞬間、彼女の左に何やらデータのようなものが浮かび上がってきた。
#----------------------------------------------
名前:キンザキ タクミ
EXP:測定不可
称号:救世主
種族:ヒューマン
HP:測定不可
MP:測定不可
スタミナ:測定不可
STR:測定不可
ATT:測定不可
DEF:測定不可
INT:測定不可
《スキル》
・自動翻訳 ・オートガード ・近接攻撃+
・収納魔法 ・スキャン ・ガンスミス
#----------------------------------------------
これはどうやら俺のステータスらしい。色々とそれっぽいものが書いてあるが、数値関連がほとんど測定不可になっていて何だか気味が悪かった。
(というか、称号:救世主ってなんなんだよ……)
幾らファンタジーRPGでも「救世主」だなんて、今は流行らないものだ。しかし、それを見たリアンとクレアの二人は驚きでその表示から目が離せないようだった。
「何よこれっ、知らないスキルばっかりだし、能力値はほとんど測定不可じゃない!」
「お、おかしいですね……こんなことは今まで無かったのですが……」
受付嬢が再びステータスを開示しても、結果は変わらない。
「二人の場合はどうなるんだ?」
「リアンは剣士ですし、私のほうが分かりやすいと思いますよ。ほら」
#----------------------------------------------
名前:クレア・フライハイト
EXP:1802
称号:中級魔術師
種族:ヒューマン
HP:120
MP:250
スタミナ:242
STR:4
ATT:15
DEF:5
INT:23
《スキル》
・ファイアボール ・メテオレイン ・コレクタ
・ウィンドカッター ・ウィンドシア ・魔法攻撃+
#----------------------------------------------
こっちは数値がはっきり出ていた。クレアもそれを確認して、異常がないことを認めてこくりと頷いた。
しばらくクレアは思案顔になっていたが、何かを決心したようで「よし」と独り言ちて、俺の方を向いた。
「タクミさん、ちょっとお話があります」
「お、おう」
クレアは真剣な表情で俺の手を取る。女の子に手を掴まれるなんて、そうそうないことで、それだけでドキッとしてしまう。
「私達のパーティーに入ってくれませんか」
「ちょちょ、ちょっと待ってよ!」
クレアの提案をかき消すようにリアンは大声を張る。
「勝手なこと言わないでよ! 誰がこんな得体のしれない奴をパーティーに入れるわけ!?」
「しかし、オートガードとスキャンは高位魔法です。記憶を無くしていたとしても、彼は高位魔法の使い手です。パーティーに居れば、もっと高ランクのクエストにも挑めるようになりますし、私達も成長が……」
「アタシはこんなチンチクリンに学ぶことなんて無いわよ」
酷い言い草だ。二人が言い合っているうち、俺は先の戦闘のときの感覚を思い出していた。感覚さえ分かれば、魔法はいくらでも使えるはずだ。パーティーなんかに入らなくても一人で自由に生きていけるんじゃないだろうか。
そう思って、俺は二人の口論に割って入ることにした。
「別に入れたくないなら、入れてもらわなくても良いぜ。足手まといになりそうだしな」
「分かってるじゃない! ほら、クレア、本人もこう言ってるんだし――」
「特にこの剣士がな」
そういって、リアンの方を指差すと彼女は一瞬で顔を真っ赤にして怒り出した。
「なんですってっ!?」
「他人に不寛容なのは、弱い自分が認められない証拠だ」
「あ、あんたねえ……!!」
これで愛想を尽かして、一人にさせてくれるはずだ。そう思っていたが、リアンは人差し指で俺を指して「ここで待ってなさいよ!!」と言って、何処かに行ってしまった。
「はぁ、あんな見え見えの挑発に乗るだなんて……」
クレアはリアンの去っていった方を見ながら、そう呟くのであった。
この世界は中世くらいの発展度合いで、魔駒と呼ばれる魔物が出てきて以来抵抗できなかった王侯貴族の国々は滅び、一部の強力な私軍を持つ君主国と大量の冒険者を擁するギルドが権力を握ったらしい。
そして、魔術に関してだがこの国の人間は殆ど使えるようだが、その範囲は通常は生活魔法に限られ、そして鍛錬をしても中級魔法が習得の限界らしい。
さっきの戦闘で俺が使った「オートガード」とやらは、どうやらその中級魔法の一段階上――高位魔法と呼ばれるもので、これはずっと昔に滅びた古代魔法として現代においては存在しないはずのものらしいのだ。
「ほら、ついたわよ」
リアンの声に釣られて、地面を見ていた視線を上げる。
目の前に現れたのは違法建築が如く、増築に増築を加えたような高層建築であった。大きく開いた出入り口からは剣を佩いたり、ポーションを腰に付けた冒険者じみた連中が出入りして、盛況を見せている。
ギルド・アンヌール――リアンとクレアが所属するギルドらしい。
中に入ってリアンが受付に手を振ると、受付嬢はニコッと笑顔で返してきた。リアンは彼女と一言二言言葉を交わすと、こちらに振り返った。
「タクミ、ちょっと彼女の前に立ってみて?」
「ん、ああ」
言われたとおり、受付嬢の前に立つと額の前に手をかざされた。少し暖かい感覚を覚えた瞬間、彼女の左に何やらデータのようなものが浮かび上がってきた。
#----------------------------------------------
名前:キンザキ タクミ
EXP:測定不可
称号:救世主
種族:ヒューマン
HP:測定不可
MP:測定不可
スタミナ:測定不可
STR:測定不可
ATT:測定不可
DEF:測定不可
INT:測定不可
《スキル》
・自動翻訳 ・オートガード ・近接攻撃+
・収納魔法 ・スキャン ・ガンスミス
#----------------------------------------------
これはどうやら俺のステータスらしい。色々とそれっぽいものが書いてあるが、数値関連がほとんど測定不可になっていて何だか気味が悪かった。
(というか、称号:救世主ってなんなんだよ……)
幾らファンタジーRPGでも「救世主」だなんて、今は流行らないものだ。しかし、それを見たリアンとクレアの二人は驚きでその表示から目が離せないようだった。
「何よこれっ、知らないスキルばっかりだし、能力値はほとんど測定不可じゃない!」
「お、おかしいですね……こんなことは今まで無かったのですが……」
受付嬢が再びステータスを開示しても、結果は変わらない。
「二人の場合はどうなるんだ?」
「リアンは剣士ですし、私のほうが分かりやすいと思いますよ。ほら」
#----------------------------------------------
名前:クレア・フライハイト
EXP:1802
称号:中級魔術師
種族:ヒューマン
HP:120
MP:250
スタミナ:242
STR:4
ATT:15
DEF:5
INT:23
《スキル》
・ファイアボール ・メテオレイン ・コレクタ
・ウィンドカッター ・ウィンドシア ・魔法攻撃+
#----------------------------------------------
こっちは数値がはっきり出ていた。クレアもそれを確認して、異常がないことを認めてこくりと頷いた。
しばらくクレアは思案顔になっていたが、何かを決心したようで「よし」と独り言ちて、俺の方を向いた。
「タクミさん、ちょっとお話があります」
「お、おう」
クレアは真剣な表情で俺の手を取る。女の子に手を掴まれるなんて、そうそうないことで、それだけでドキッとしてしまう。
「私達のパーティーに入ってくれませんか」
「ちょちょ、ちょっと待ってよ!」
クレアの提案をかき消すようにリアンは大声を張る。
「勝手なこと言わないでよ! 誰がこんな得体のしれない奴をパーティーに入れるわけ!?」
「しかし、オートガードとスキャンは高位魔法です。記憶を無くしていたとしても、彼は高位魔法の使い手です。パーティーに居れば、もっと高ランクのクエストにも挑めるようになりますし、私達も成長が……」
「アタシはこんなチンチクリンに学ぶことなんて無いわよ」
酷い言い草だ。二人が言い合っているうち、俺は先の戦闘のときの感覚を思い出していた。感覚さえ分かれば、魔法はいくらでも使えるはずだ。パーティーなんかに入らなくても一人で自由に生きていけるんじゃないだろうか。
そう思って、俺は二人の口論に割って入ることにした。
「別に入れたくないなら、入れてもらわなくても良いぜ。足手まといになりそうだしな」
「分かってるじゃない! ほら、クレア、本人もこう言ってるんだし――」
「特にこの剣士がな」
そういって、リアンの方を指差すと彼女は一瞬で顔を真っ赤にして怒り出した。
「なんですってっ!?」
「他人に不寛容なのは、弱い自分が認められない証拠だ」
「あ、あんたねえ……!!」
これで愛想を尽かして、一人にさせてくれるはずだ。そう思っていたが、リアンは人差し指で俺を指して「ここで待ってなさいよ!!」と言って、何処かに行ってしまった。
「はぁ、あんな見え見えの挑発に乗るだなんて……」
クレアはリアンの去っていった方を見ながら、そう呟くのであった。
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