そして彼は魔王となった

葉月

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始まり

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 天気がいいなぁ。
 原っぱも気持ちいいんだけど、今日はそこの木の枝で昼寝しようかな。
 ん? 誰か来たぞ。
 空色だ。空色の髪の毛の男の子。少年って感じだな。目の色はすみれ色。綺麗きれいだなー。あと、小さな女の子と、よろい着た背の高いやつ。
どんどん近づいてくる。

 オイラに何か用か? あぁ。オイラはこの辺に住んでる地霊ちれいで、リトってんだ。
 レシェスさまが言うには、ノームっていう種類らしいぞ。
 鏡がくもって困ってたから会いに来た? 何だそりゃ?
 それと、銀の龍についても何か知らないか。だって?
 知らないかも何も……。
 オイラ…オイラ……。
 うぇえ。うぇえぇぇえ。うわあああああああああぁ………ん。
 オ、オイラ、一度だって忘れたことないよぉ! レシェスさまぁ……。

――うぅ…ごめん。つい、涙が止まらなくなって。
 え? あ、うん。そうそう。レシェスさまは銀の龍だったんだよ。
 ……何処どこにいるのかはわかるんだけどわかんないんだ。世界中探しまわったよ。
 今までレシェスさまと一緒に歩きまわったところは、全部回ったけど、何処にでもいて、どこにもいない。
 行けるところはほんとに全部行ったから、あとは行けない場所くらいさ。
 オイラあんまり力強くないから、荒れた大地を肥沃ひよくな大地に変えたり、島をいくつか復活させるくらいしか出来なかった。壊れた場所もあちこち直して回ったよ。
 だから、居場所のことは何にも情報持ってないね。
 ん? レシェスさまと一緒にいた時の話を聞きたい?
 んー、いいけど……。
 ちょっと長くなるけど、大丈夫?
 うん、そっか。わかった。
 どこから話そうかな。
 オイラが拾われたあたりから話して、レシェスさまから聞いた話も混ぜて話すことにしよう。
 その方がわかりやすいかな。
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