甘い呪縛

瀬楽英津子

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第三話〜眠らない身体

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「あー、背中痛ぇ。バカヤロ、あいつ……」

 眉間を顰める深雪みゆきを横目に、竜馬りょうまは、床に落ちたズボンを拾い、いつものように棚から新しいシーツを取り出した。
 深雪が果てた後、郷田ごうだは、それまで以上に激しくベッドを軋ませ、行為が済むと、部屋の外で立ち尽くす竜馬には目もくれず、さっさと廊下を引き返して行った。
 深雪は、ベッドの上で気を失ったようにぐったりとしていたが、竜馬が部屋に入ると、精液の臭いのついた身体をよろよろと起こし、いかにも虫の居所の悪そうな目付きで竜馬を見た。

「マジあいつ、何なの、野獣? 野生のゴリラなの?」

「お前が、嫌だ、って言わないからだろ。キツいもんはキツいってハッキリ言わなきゃ身体がもたないぜ?」

「なんだよ、俺が言いなりになってるみたいな言い方して。俺だって言うときゃハッキリ言うさ」

「どうだか……」

 お尻の下敷きになったシャツを引っ張り出し、シワを払って深雪の肩に乗せる。まともに見たら郷田の上で揺れていたしなやかな背中を思い出してしまいそうで、竜馬は意識的に深雪から視線を外した。

「着せてよ……」

 甘えた声でねだる深雪を、「自分で着ろ」と突き放し、床に落ちたズボンを拾い上げてベッドの上に置いた。
 深雪は、「ケチ!」と不貞腐れながらも、肩に乗ったシャツを毟り取り、しぶしぶ袖に腕を通した。

「くっそぉ、マジで痛ぇ……。身体デカイんだからちったぁ手加減しろっての!」

 深雪が着替えている隙に、竜馬は、皺くちゃになったシーツを剥がして紙袋に突っ込み、慣れた手付きで新しいシーツに取り替える。いつもの手順に、竜馬の手が迷うことなく次の動作を選び、淡々と作業を進めて行く。
 シーツの交換が済んだら、窓を開けて空気を入れ替え、深雪が着替え終わるのを待って、戸締りを確認してから部屋を出る。
 いつもと同じ、いつもの光景。
 しかしそれはあくまで竜馬の話しであって、深雪はというと、その日の郷田とのセックスの内容によって大きく状態を左右され、軽口を叩きながら着替えられる日もあれば、ベッドに横たわったまま、いつまでも起き上がれない日もあった。
 今日の深雪は比較的元気な方と言えたが、だからと言って身体が傷付いていないわけでは無く、そのダメージは、掠れた声やふとした拍子に見せるしかめっ面、緩慢とした仕草にはっきりと現れていた。

「俺にボヤくぐらいなら郷田に直接言えよ」

「言っても聞かないんだっつーの! あいつの身体、知ってんだろ? あれで押さえ付けられたら抵抗できねぇよ」

「だとしても、諦めてヤらせてるなら言いなりと同じじゃねーか」

「だから抵抗はしてるって! 言いなりっつーのは、何も言わないでされるがまま、ってことだろ? 俺は抵抗してる! だから言いなりじゃねぇ!」

「結果が一緒なら同じだろ」

 不機嫌そうに唇を尖らせる深雪を横目に、カーテンを開けて窓を全開にし、淫猥な臭いの染み付いた空気を入れ替えた。
 深雪はなおも食い付いたが、竜馬に、「はいはい」とあしらわれ、恨めしそうに眉を顰めた。

「… 俺だって、あいつみたいに身体がデカけりゃちゃんと止めれるさ……」

「身体の問題じゃねーよ。てか、そもそも好きな奴に、『イヤ』って言われたらその時点で止めんだろ……」

「エンジン掛かっちまってるんだからしょうがねぇじゃん」

「性欲のエンジンか? どーでもいいけど、そこまで庇うとはずいぶんおめでたいヤツだな。そんなに郷田が好きなのかよ……」

 深雪は、「は?」と、片側の唇に嘲笑めいた笑いを浮かべた。

「誰が郷田を好きだって? てか、俺じゃなくて、向こうが俺を好きなんだろ。郷田は虫除けだって前に言っただろ?」

「虫除けねぇ。その割にはずいぶん庇ってるように思うが……」

「仕方ねーだろ。郷田だって、前みたいに会えなくなって鬱憤溜まってんだから」

 深雪の言う通り、地元では知らない者はいない指定暴力団の組長である父親と敵対勢力との抗争問題の煽りを受け、郷田は、まともに学校にも通えないどころか、人との接触も制限され、深雪を家に呼ぶことも禁じられているという。
 ただでさえやりたい盛りの年齢に加え、深雪にベタ惚れの郷田が、久しぶりに会えた深雪に過剰な欲望を抱くのも無理は無い。
 そもそも、郷田は深雪の恋人であり、深雪もそれを否定はしない。
 郷田のセックスが乱暴だからといって、深雪がそれを拒絶しない限り、二人の行為は恋人同士の愛の行為だ。
 ならば、潔く認めれば良いものを、『好きじゃない』だの、『虫除け』だのと、深雪が郷田との関係を誤魔化すことが問題だった。
 深雪が認めるのなら、竜馬も踏ん切りがつく。
 優柔不断な思わせぶりは甘い毒だ。抜けない毒が竜馬を惑わせ、諦められる筈の想い首の皮一枚で繋ぎとめる。
 深雪の甘い毒に触れるたび、胸の底に追いやった思いがぞわぞわと騒ぎ始め、竜馬は深雪に軽い苛立ちすら覚えた。

「どうでもいいが、俺の前で、身体が痛てぇだの怠いだの愚痴るのは止めてくれ」

「冷てぇな。竜馬にしか言えねーから言ってんのに……」

 ヘイブン。

 竜馬を縛る呪いの言葉が脳裏に浮かび上がる。
 しかし、竜馬は、その言葉をすぐに頭から追い払った。
 
「いいから、とっとと着替えな」
 
 言いながら、換気を終えた部屋の窓を締め、カーテンを引いた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 家に戻ると、夜勤に出掛ける深雪の母親と玄関先で鉢合わせ、竜馬は軽く会釈した。
 女手一人で深雪を育てている深雪の母親は、深雪の手が離れているという理由もあり、主に夜間勤務がメインの介護職員として働いている。
 竜馬の母親とは言うまでもなく古くからの付き合いで、今更気を使う間柄でもなかったが、自分の息子がしょっちゅう家に入り浸っているのはさすがに気が引けるらしく、たまにこうして、田舎から送ってきた野菜などを竜馬の家に届けにくる。
 竜馬の母親としては、高校生の深雪が竜馬の部屋に泊まったところで何ら面倒なことは無かったが、深雪の母親の気遣いだからと、毎回ありがたく受け取っていた。
 深雪の母親は、会釈する竜馬に、「いつもごめんなさいね」と大袈裟な抑揚をつけて言い、後ろに貼り付く深雪の頭を、「いい子にするのよ」とコツンと叩いた。

「んだよ、人のことガキ扱いしやがって……」

 深雪は不貞腐れていたが、竜馬の母親に、「お母さんのくれる野菜は美味しいから嬉しいわ」と言われ、まんざらでもない笑みを浮かべた。

 夕食は、深雪の母親が持ってきた南瓜や茄子を使った夏野菜のカレーを皆で食べ、早めに入浴を済ませて部屋に戻った。

「ほら、飲ませてやるから口開けろ」

 睡眠導入剤を飲ませるのも手慣れたものだ。
 竜馬の言葉に、深雪がいつものように、あーん、と口を開く。
 深雪には、郷田とのセックスで興奮した身体を鎮めるためのリラックス効果のあるサプリメントだと説明してあるが、説明しなくとも、竜馬の差し出すものなら多分深雪は疑いもせず受け入れる。深雪が竜馬を“ヘイブン”と言う理由は、こういう無用心なまでの信頼関係にも現れていた。
 今から、眠らされて身体を好き放題弄られるとも知らず、深雪は竜馬の指先から落ちる小さな錠剤を舌の先で受け止め、ペットボトルのミネラルウォーターで飲み干した。

「深雪? 寝た?」

 二十分も経たないうちに寝息を立て始める深雪に声を掛け、返事が無いことを確認すると、竜馬は、深雪の身体に寄り添い、身体を半分乗り上げながら、薄っすらと赤みの挿す唇に唇を重ねた。
 無理に口を開かせ、熱い舌を、舌の先で前歯をこじ開けながら侵入させた時に呻き声を上げなければ寝入っている証拠だ。
 経験から来る自信を裏付けるように、深雪は、口の中を揉みくちゃにされても静かに瞳を閉じている。
 竜馬は、引っ込んだままの舌を乱暴に絡め取り、柔らかい唇の表面を舐め、唇で挟んで摘んだり吸ったりしながら丹念に味わった。
 唇の次は、胸元に揃えて置いた両手を身体の横に移動させ、タオルケットを剥いで、パジャマの上衣を喉の下までたくし上げる。
 薄桃色の乳首が縁取りの綺麗な乳輪の中央で小さく佇み、竜馬の唇を誘っている。
 吸い寄せられるように、乳輪ごと唇に含み、輪郭をなぞるように舌の先でクルクルと何度も舐め回した。
 深雪の乳首が硬く盛り上がって舌先を跳ね返すと、そのコリコリとした乳首を押し潰して捏ね回し、反対側の乳首を、親指と人差し指で摘み、上下左右に揉みながら隆起させて行く。
 そのまま両方の乳首を舌と指先で責めた後、上体を起こして深雪のズボンを脱がせ、脚を左右に開かせて股の間に腰を据えた。
 いつもなら、身を屈めて迷わずペニスにむしゃぶりつく。
 しかし、深雪の白い全身を見た途端、郷田の上で揺れていたしなやかな背中を思い出し、竜馬は、考えるより先に、深雪の身体をうつ伏せにひっくり返していた。

『ほら、もっと自分で動け』

 頭の中に、郷田の膝の上に乗せられ、郷田の男根を根元まで咥え込みながら背中をピクンと弾ませていた深雪の姿が浮かぶ。
 郷田に揺さぶられ、深雪は、白い喉を弓なりに仰け反らせ、細い顎を突き出しながら泣き喘いでいた。
 その姿が竜馬の頭を占領し、感じたことのない熱い疼きを下腹部に走らせた。
 深雪の、肩幅の狭い、肩甲骨の綺麗に浮き出た均整の取れた背中を見ながら、竜馬は、身体の中心に湧き起こった痺れるような甘い疼きに、自分のパジャマのズボンに手を突っ込み、硬くなり始めたペニスを慌ただしく扱いていた。

『あっ、ダメ……そんなしたら、全部入っちゃ……うっ……』

 喘くたびに、くびれながら動く細いうなじ、小さく竦めた肩。郷田が身体を揺さぶるたび、翼のように浮き出た肩甲骨からお尻にかけてのカーブが妖しいしなをつくり、細いウエストとその下に続く白い臀部が艶かしく前後に動く。
 見る者を誘い惑わすような動きに、頭の中だけでは飽き足らず、深雪の腰を跨いで座り直し、目の前の背中に覆いかぶさった。

「深雪……深雪……」

 両肩の盛り上がった部分に吸い付き、背中一面にキスの雨を降らし、肩甲骨に舌を這わせた。
 背骨に沿って下に下がり、腰の窪みに口付けし、お尻の割れ目の上の方からお尻の間をそっと舐める。
 ペニスは、既にこれ以上ないほど赤黒く腫れ上がり、先端から熱い蜜を滴らせながら熱く滾っている。
 その卑猥な蜜を深雪の太ももの間に塗り付け、用心のため、ハンドクリームを足して太ももの滑りを良くした。
 そうしておいて、深雪の両脚を閉じさせ、再び覆い被さるように上になり、ぴったりと閉じた太ももの間に自分の猛り狂ったペニスをねじ込み激しく動かした。

「あっ……いいっ……深雪……っ」

 深雪の身体が上下に動くほど激しく腰を突き上げながら、背中の窪みに舌を這わす。
 深雪の柔らかい太ももが竜馬のペニスを熱く包み込み、竜馬は、いつもより猛々しく長く射精した。
 
 
 
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「イタズラ電話の相手はどうやら北高の不良だね」

「北高って……」 

「北一高校。電話番号解ってるから、リンク貼ってショートメールでウイルス送り付けてやったらまんまと引っ掛かってくれてね。そこから調べたら、地元のカラーギャングの下っ端っぽかった」

「なんで北高のヤツが……」

「やっぱ、郷田くんのお父さん絡みでしょ。そいつの入ってるカラーギャング、郷田くんのお父さんとこの敵対勢力のコマだから。おおかた、上層部への点数稼ぎで動いてるんじゃない? そんな大人の喧嘩に首突っ込んでも怪我するだけなのに、勘違いして頑張っちゃうヤツがいるんだよな、これが……」

「頑張るって何をだ」

「郷田パパをビビらせる材料だよ。今回の件を推測するなら、深雪姫を拉致って郷田くんをおびき寄せる。んで、助けに来た郷田くんを拉致って郷田パパを脅す。そいつは上層部のために働いたっつーことで、特別にご褒美貰えて、その後も目にかけてもらえる的な……?」

 足の踏み場も無い、相変わらず雑然を絵に描いたようなごちゃごちゃとした部屋で、パソコンに向かいながら比留間ひるまがのんびりした調子で答えた。

 深雪のことで思い悩む一日はとてつもなく長く感じるが、郷田が学校にやってくるまでの一週間はやけに短く感じる。
 今日も郷田は深雪を保健室に連れ込んでいる。
 朝から昼休みの間と終業後の二回。本当は一日中、時間の許す限り一緒にいたいが、深雪の単位の心配をして午後からの授業は出られるようにしているらしい。
 比留間はそれを、郷田の優しさだと言ったが、竜馬は、いつも深雪の身体をまともに歩くことも出来なくなるほど痛めつける男のどこが優しいのだと、比留間の意見には反発を覚えていた。
 そこへ持ってきて、今回のイタズラ電話である。
 深雪は、郷田を“虫除け”だと言ったが、郷田と関わることで生じる危険と虫が寄り付くことの危険を比べたら、どちらの危険が深雪にとっての害なのか、竜馬は考えるようになっていた。

「郷田のせいでなんで深雪が狙われなきゃなんねーんだ……」

 考えたところで納得の行く答えが出るもわけもなく、煮え切らない思いだけが苛立ちとなって竜馬の喉を押し上げた。
 比留間は、竜馬の気持ちなど全く関心が無いと言わんばかりに顔色一つ変えずに答えた。

「狙われるって言っても、所詮、高校生のガキのやることだもの。たとえ深雪姫を拉致れたとしても大したことは出来ないさ」

「そういうことじゃ無ぇんだよ。俺が言いたいのは、関係無い深雪が何でトバッチリ受けんだ、って話しだよ」

「そりゃ恋人だもの」

 比留間は、何を今更とばかりに、つるりと言った。

「深雪姫は郷田くんの恋人なんだから。人質は子供か恋人、ってドラマでも定番じゃん?」 

 恋人、という言葉が竜馬の胸に重くのしかかった。
 確かに深雪は郷田の恋人だ。それは紛れも無い事実であり、周りにも広く認識されている。
 そんな、解りすぎるほど解っていることを、今更面白く思わない自分が滑稽だった。

「郷田なんかのどこがいいんだ……」

 竜馬の口から思わず本音が漏れた。
 比留間は、唇を真一文字に結んで眉間にシワを作る竜馬を見上げて小さく笑った。

「ヤキモチ?」

「誰がヤキモチだ!」

「まぁまぁ。でも郷田くんは君が思ってるほど悪い奴じゃないよ? 事実、郷田くんといるお陰で、深雪姫は、誰からも狙われることなく平穏に暮らしてる」

「狙われたからって何だって言うんだ」

「それは、君が、そういう対象として狙われたことが無いから言えるんだ。自分が男に身体を狙われる、って想像以上に怖いことだよ。特に深雪姫は実際に被害に遭ってるわけだし……」

 まるで、経験があるかのような口ぶりで比留間は言った。
 軽い口調ながら、心の内側に響くような声と、モニター画面を眺める遠い目に、竜馬は、唇の際まで出掛かっていた反論の言葉を喉の奥に飲み込んだ。

「と、とにかく、深雪を巻き込むのはやめてもらいたいてぇんだよ」

 話を終わらせようとしたのは、言い返す言葉が何も見付からなかったからだった。
 比留間の言葉が間違いではないことは解っていた。
 しかし、竜馬には認めるだけの心の余裕が無かった。
 自分の味方をしてもらいたいわけでは無かったが、郷田の味方をされるのは良い気分ではなかった。
 郷田を庇うような言葉を聞かされるたび、『恋人は郷田だ』と言われているような気がして、みぞおちの辺りがシクシク痛んだ。
 そのくせ、郷田を悪く思えば思うほど、『恋人でも無いくせに』と、もう一人の自分が冷やかな言葉を投げつけた。
 自分は深雪の恋人ではない。その事実が、竜馬の気持ちに制限を掛け、言いたいことの半分も伝えられなくしていた。

 その場から逃げるように、竜馬は比留間に勧められて座ったパイプ椅子から立ち上がった。
 ドアに向かって踵を返すと、比留間が、「帰るの?」と声を掛けた。

「今、行ったらまた鉢合わせになっちゃうんじゃない? この前、見たんでしょ?」

 竜馬の脳裏に、先週の深雪と郷田のセックスが赤裸々に甦った。

「なんでその事……」

「君は忘れてると思うけど、僕は、三年生で郷田くんとは友達なんだよ? 悪いことは言わないから、もう少しここで時間を潰してから行きなよ」

 別に構わないさ、とは言えなかった。
 踵を返した身体を元に戻し、竜馬は、再びパイプ椅子に座った。
 先週も、こうして比留間の言うことを聞いておけば良かった。
 思いながら、竜馬は、目の前に置かれたパソコンのキーボードの上に顔を突っ伏した。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





 保健室へ着くと、郷田の姿は何処にも無く、深雪がベッドの上に死んだようにうつ伏せになっていた。

「おっせーよ」

 恨めしそうに寝返りを打つ深雪に近付いて頭をポンと撫でると、すぐさま、起こして、と細い両腕が竜馬の前に伸びる。

「また痛むのか……?」

「痛ぇよ。てか、痛くない時なんか無いっつの!」

「だから、俺に当たらずに本人に言えよ」

 伸ばされた手を取り、上体を引っ張り起こす。
 いつもとは違う竜馬の反応に、深雪は、一瞬面食らったように目を丸め、しかしすぐに顔一杯に悪戯な笑みを浮かべた。

「あれ~! なんか今日めちゃ優しいんですけどぉ~」

「うるさい。いい加減手を離せ」

「冷たぁ~い!」

 腕に絡み付く手をほどき、ベッドの柱に引っ掛かったズボンを深雪の身体の脇に置き、何処かにくしゃくしゃになって放り出されているシャツを探す。
 ベッドの脚元に落ちているのを発見し、拾い上げて埃を払って深雪に渡した後、カーテンを開けて窓を全開にした。

「うへー、蒸し暑っ! もうこれサウナじゃね?」

「いいから、とっとと着替えな」
 
 言いながら、いつもの手順でシーツを替え、換気を終えた部屋の窓を締めてカーテンを引いた。
 エアコンのスイッチを切り、深雪を振り返ると、深雪は、シャツの袖に両腕を通し終えズボンに脚を通していた。
 
「ボタン、留められねぇのか?」

 腕を通したきり、シャツの前をはだけたままでズボンを履く深雪が気になり、思わず声を掛けた。
 深雪は、特に何かを隠す様子もなく、背中を丸めたまま、「ん?」と、顔だけを竜馬に向けた。

「だから……ボタン、何で留めねぇんだ? 手首でも痛めたのか?」

「あ? いや。どうせすぐ外すから、わざとこうしてんの」

 どうして、と言いかけ、竜馬は、はた、と口を噤んだ。
 そう言えば前にも一度こういう事があった。
 あの時は、いつもは早く家に帰りたがる深雪が、珍しく、シャワーを浴びたい、と我が儘を言ったのだった。
 シーズン外れでプールは閉鎖され中に入ることは不可能だったが、深雪に、シャワーを浴びなければ帰れないと涙目で訴えられ、竜馬は、フェンスをよじ登って中に侵入し、内側から鍵を開けて深雪をプールのシャワー室に入れてやった。
 その時も、深雪は、どうせ外すのだからと胸元のボタンを外したまま移動し、シャワー室に着くと、シャツの裾を胸の位置までたくし上げて縛り、竜馬に、「覗くな」と言って中に入って行った。
 深雪がそこで、自分の身体の中に残った男の精液を掻き出していたのだと知ったのはそのすぐ翌日のことだ。
 深雪は、前日の我が儘を竜馬に詫びるとともに、「取れなかったらどうしようかと思った」と、その時の不安な気持ちを再現するかのように怯えた様子で打ち明けた。
 深雪は、精液が体内に残ると激しい腹痛を起こすらしいと何処かのサイトで読み、そうなることを恐れていたようだった。
 おどおどと震える深雪の長い睫毛を見ながら、竜馬は、幼い頃、不安になるたびこうして自分を見上げた深雪のすがり付くような瞳を思い出していた。
 悪いことは重なる。
 よりにもよって、どうして、さっきの今なのか。
 苛ついた気持ちに追い討ちをかけるように、その時の深雪の姿が蘇り、今、目の前にいる深雪に重なった。
 
「ホント……懲りない奴……」

 深雪は、長くしなやかな脚をズボンに通しながら、竜馬の独り言に、「なに?」と反応した。

「シャワーに行くのか?」

「え? ああ、そうだけど……それがどうかした?」

「どうもしねぇけど……。てか、もう、中出しさせないんじゃなかったのかよ」

 聞いたところでどうなるわけでもない、既に済んでしまったことをわざわざ口にする自分に呆れながらも、竜馬は、胸の奥につかえた飲み込めそうで飲み込めない異物のような不快感を吐き出さずにはいられなかった。

「お前、腹痛くなるかも、って泣いてたよな。怖い思いして懲りたんじゃなかったのか? それとももう忘れちまったのか?」

 今、竜馬の目の前にいる深雪は、不安に怯えていたあの頃の深雪ではない。
 今の深雪は、竜馬に涙目で訴えたことなど忘れてしまったかのように、いつもの、誰にも媚びない高貴な猫のような余裕をまとい、平然とした顔で竜馬を見上げている。
 それが無数の冷たいトゲとなって竜馬の心臓を締め付けた。
 人は誰も同じままではいられない。解っていながらも、怒りとも悲しみとも言えない重苦しい感情が胸の中に渦巻いた。

「あんなにピーピー泣いてたくせによくもまぁ簡単に忘れられるよな。そんなんだから、言いなりだって言うんだよ!」

「は? 忘れてねーし。 てか、そもそも泣いてねーし」

「泣いてただろ」

「泣いてねぇよ! てか、なんで竜馬にそこまで言われなきゃなんないんだよ。いきなりキレるとかワケわかんネェ!」

 深雪の鋭い視線が、言葉以上に激しく竜馬の胸を突き刺す。
 深雪は、赤みの挿す唇をキュッと結び、凛とした瞳を憎々しげに尖らせながら、噛み付くように竜馬を見上げている。
 仇でも見るようなキツい視線に、竜馬は、無意識のうちに拳を握りしめていた。

「人の気も知らないで……」

 呻くように漏れた声は、深雪には聞こえていないようだった。
 証拠に、深雪は、竜馬の声には全く反応せず、竜馬からプィと目を逸らすと、履きかけのズボンを乱暴に引き上げ、勢いよくベッドから飛び降りた。

「いててッ……」

 郷田に無理な体位を強いられていたせいだろう。着地するなり、深雪が辛そうに顔を顰めて前方へよろめく。
 瞬間、竜馬の身体が勝手に反応し、深雪の腕を掴んで身体を支えた。
 
「そっと降りないから……」 

 癖と言うより本能的なものだった。
 深雪が声を上げるよりも先に、深雪の異変を察知して身体が勝手に反応する。それは一歩間違えば異常とも取られかねない、誰が見ても明らかに行き過ぎた過剰な庇護であったが、そのお陰で、竜馬は上級生たちから“危ないヤツ”というレッテルを貼られ、深雪の側にいることを暗黙の了解のうちに許されていた。深雪も深雪で、幼い頃からそうされていたせいで、自分が竜馬に過剰に庇護されているとは思っていないようだった。

「離せよ……」

 深雪は、自分を守るために伸ばされた手を、あっさりと振り払った。

「身体、痛ぇくせに無理すんな」

「痛くねぇよ。てか、邪魔だから退いて」

 これもまた本能的に、竜馬は、離れようとする深雪を咄嗟に引き止め、逃げられないよう腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。

「シャワー、行くんだろ? 俺が連れてってやる」

「は? 一人で行けるし……」

「いいから来い!」
 
 捕まえた腕を引っ張り、有無を言わさずプールへ向かう。
 前に連れて来た時とは違う、水泳シーズン真っ只中のプールは、真っ黒に日焼けした水泳部員たちの賑やかな歓声に包まれている。
 活気の溢れる声を背に、部員たちの上げる水飛沫の光の反射をフェンス越しに浴びながら、竜馬は深雪を連れてプールの横を足早に通り過ぎた。
 途中、深雪の姿に気付いた部員たちが深雪を指差し花に群がる蜜蜂のようにざわめき始めたが、それを、更に歩調を速めてやり過ごし、深雪を更衣室へ連れ込み併設されたシャワールームに押し込んだ。

「俺が洗ってやっから服脱げよ」

「え……ちょっと何言って……」

 軽い脅しのつもりだった。
 人の気も知らず、大切な身体を粗末に扱う深雪へのお仕置きのつもりで、深雪を後ろ向きにして壁に追い詰め、片手で両手首を束ねて背中の真ん中で押さえ付け、空いた方の手でズボンのファスナーを下ろして足首に落とした。
 着替えを忘れたのか、どうせ脱ぐからとわざと履かなかったのか、深雪は今日も下着を身に付けておらず、形の良いお尻が、ズボンを下ろしたそばから竜馬の腰の前で弾む。
 恥じらいながら震える白いお尻を見た途端、股間に熱い衝撃が走り、竜馬は思わず手を離した。
 これしきことで、股間が勃ち上がりそうになっている自分に驚く。
 何度も見て触れている筈が、眠っている時とは違う、驚くほど弾力のある艶めかしい身体に、竜馬の頭と言わず身体全体が戸惑いを覚えているかのようだった。
 意識があるということが、これほど重要な意味を持つとは思いもしなかった。
 いや。
 本当は、郷田と深雪のセックスを見た時から感じていた。
 郷田の上で身悶える深雪は、竜馬の前で眠っている時の深雪とはまるで違う、匂い立つような色香を放っていた。
 悦び、恥じらい、拒絶、苦悶、生々しい感情が深雪の肢体をしなやかに踊らせ、身震いするほど妖艶な表情を浮かび上がらせる。
 自分が触れていたのは、ただ投げ出されていただけの意思の無い入れ物であって、本当の深雪ではなかったのだと改めて思い知らされた。
 本当の深雪に触れてみたい。
 吸い寄せられるように、竜馬は、深雪の柔らかいお尻を両手で包み、少しづつ力を加えてゆっくり握り潰した。

「ちょっ……何すんだ、バカっ!」

 深雪は咄嗟にお尻を引いて身体を強張らせた。
 竜馬の異変に動揺しているのだろう。逃げようと思えば逃げられるものを、両手を耳の横に上げて壁に手を付き、額を擦り付けるようにして身を竦めている。
 反撃らしい反撃もしなかった。
 竜馬は、無抵抗な深雪の背中にぴったりと貼り付き、肩に顎を乗せて、お尻の肉を持ち上げて円を描くように揉みしだいた。

「やめろって! 一体どうしちゃったんだよ! おいっ、竜馬!」
 
 汗ばむうなじに鼻先を埋め、片方の手を、お尻の横から脇腹へと滑らせ、はだけたシャツを開きながら胸元へと忍ばせた。

「あっ! いっ……」

 背中がビクンと跳ね上がったのは指先が小さな胸の突起に触れたからだ。
 郷田とのセックスの余韻が残っているせいか、深雪の乳首は、偶然触れただけの竜馬の指先にすら敏感に反応し、薄桃色の膨らみをたちまち硬く縮み上がらせる。
 ろくに愛撫も受けないうちから乳首を尖らせる自分を恥じるように、深雪は、壁についた手をギュッと握り締め、顔を隠すように下を向いた。

「も……やだ……マジで、やめろって!」
 
 いつもは勝気な深雪が珍しく気弱な様子で訴えかける。
 しかし、深雪の声は竜馬の耳には殆ど届いていなかった。
 竜馬は、今、自分の手の中で自分の指先に素直に反応する深雪に心を奪われていた。
 深雪が自分の愛撫によって、これまで見たこともないような顔をするのがたまらなく官能を刺激する。
 屈辱に顔を真っ赤にしながら肩を震わせる姿も嗜虐心を程よく刺激し欲情を煽った。

「頼むよ……。俺、何か竜馬の気に障るようなことしたなら謝るからっ……あっ、つッ……」

 硬くなった乳首を親指と人差し指で摘み、両脇をコリコリと揉み潰した。
 身体の奥がカッと熱くなり、頭が熱に浮かされたようにぼぉーっとする。
 深雪が、「ヤダ、ヤダ」と激しく首を振っているのも気付かなかった。竜馬はただ欲望の赴くままに、もぞもぞと身体をくねらせる深雪を抱き寄せた。

「竜馬! やだよ……もう、やっ……やめろったら!」

 片手で乳首を摘みながら、お尻を揉んでいた手を横に滑らせ、そのまま前へ持って行く。

「ひィィッ! あっ……」

 ペニスは乳首への刺激で既に堅くなり始めていた。
 芯を持ったペニスを手のひらに握り込み、親指と中指でカリ首を摘んで人差し指を立てて持ち、人差し指の腹で先端をくりくりと円を描くように撫で回した。

「やっ……バカっ! そんなとこっ……あぁっ……あぁぁっ……」

 次第に先端が濡れてくるのを指先に感じる。
 乳首を摘むリズムに合わせて裏筋の溝を中指で引っ掻くと、深雪のペニスが手の中でググッと持ち上がり、先端に当てた指がどんどんヌメり気を帯びてくる。
 滴る蜜を竿に撫で付け、滑りを良くした状態で表面の皮を激しく上下に擦った。

「ああああっ、やだ……やめて……お願い……竜馬ぁあっ……」

 カリ首に指を引っ掛けて擦り上げ、ペニスが肥大し反り返ったところで、力を加えて、畳み掛けるようにズンズンと扱き上げる。
 深雪の喘ぎ泣く声が肩越しに耳に絡み付き、興奮を抑えられず、シャツの襟を顎の先でズラして首の付け根に吸い付いた。

「やだやだ! やだってば……そんなしたらイッちゃう……」

「イケよ……」

「やだぁ……だめっ、ぁっ、イクっ、イッちゃう……からぁ……ッ」

 叫んだのとどちらが早かったか、深雪のペニスが竜馬の手の中でビクビクと脈を打ち、ガクンと腰を折りながら精液を迸らせた。
 竜馬は、深雪の首筋に顔を埋めながら、イッたばかりの深雪のペニスを優しく扱き、先端に残った精液を手で拭った。

「も……やだ……うぅっ……なんでこんな……ぅっ……」

 深雪は、両脇を締めて肩を小さく縮め、壁にすがり付くようにして啜り泣いている。
 ふいに、幼い頃の深雪の姿が蘇った。
 今でこそ勝気で小生意気な印象しか受けない深雪であったが、幼い頃はよく泣く子供で、ちょっとしたことで泣いては竜馬に助けを求めてきた。
 その度に、竜馬は深雪の頭を撫でて慰めた。深雪が泣いている姿を見ると自分まで悲しい気持ちになって泣いてしまう。自分が泣くと、深雪も釣られてますます泣いてしまうそれが解っていたので、竜馬は一刻も早く深雪を泣き止ませようと必死で頭を撫でたのだった。
 そして、今また深雪は泣いていた。
 竜馬は、幼い頃そうしたように、深雪を泣きませようと背後から抱き締めて頭を撫でた。
 すると、

「いやだっ!!」

 途端に、深雪が激しく身をよじり、反動で振り上げた手が竜馬の鼻に当たり、その焼け付くような痛みに竜馬はようやく我に返った。

「深雪……」

 深雪は、竜馬を振り払った拍子にバランスを崩し、タイル張りの床にへたり込んでいた。

「なんだよこれ……。なに考えてんだよ……」

 竜馬は茫然と立ち尽くした。
 深雪の蒼ざめ怯える顔を見た途端、頭に昇った血が冷水を浴びせられたかのように急激に冷め、熱に浮かされていた頭が一気に覚醒した。
 取り返しのつかないことをしてしまった、と思った。
 自分のしでかしてしまったことに自分自身で愕然とする。
 無かったことにしてしまいたかった。
 時が戻ればいい。
 狼狽え見上げる深雪の赤く潤んだ瞳を見ながら、竜馬は、込み上げる焦りを必死で抑えた。

「冗談だ……」

 努めて冷静に、竜馬は言った。
 しらばっくれるのには慣れている。いつものように知らん顔をすればいい。深雪を眠らせて身体を弄んだ後、何事も無かったように幼馴染みの顔に戻るように。
 信じられないものでも見るかのように見上げる深雪に、竜馬は、ゆっくりと言った。

「冗談だよ。別に深い意味はない……」

 深雪は、一瞬引き攣った笑いを浮かべ、しかしすぐに怒りとも悲しみとも言えない悲痛な表情を浮かべた。

「冗談……だって? バカにすんな! やっていい冗談と悪い冗談があるだろう!」

「ごめん……でもホントに……」

「……たのに……」

 言い終わらないうちに深雪の声に遮られ、竜馬は言葉を止めた。
 深雪の態度の全てが、この一件を無かったことには出来ないと訴えかけている。
 いつもの誤魔化しは通用しないのだと、竜馬自身も認めるさるを得なかった。
 深雪は床の上で膝を抱えて背中を丸め、顔を膝の間に隠すように埋めた。

「俺の……たった一つの……だったのに。俺の……」

 ヘイブン。

 竜馬は、心の中で言葉を繰り返した。
 深雪が掛けた呪いの言葉。
 深雪が与えた役割。
 呪縛を解いたのは自分か。深雪自身か。
 知ったところで答えは変わらない。絶望にも似た虚無感に包まれながら、竜馬はただ立ち尽くした。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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