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〜第七章 ファーブラ・神々の参戦〜

129話✡︎✡︎言い聞かせる✡︎✡︎

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 ユリナの放った水の鳥はユリナの気持ちを載せて凄まじい速さで、僅か一日でバータリスに届いた。
 エレナはその知らせを聞いて直ぐにバータリスに集まっていた国王達と各国の主だった者集めて訴える。


「私達の戦いは既に始まっています!
既にケンタウロス族の国は滅ぼされ、今辺境地域で巨人族とミノタウロス族が戦っています‼︎
彼らを助けることは出来ないでしょう……

我らが援軍を送っても悲くも間に合いません、ならば我らに出来ることは何か‼︎
彼らの死を無駄にしない為にも!

我らは力を結束し!巨人族の侵攻を食い止めるしかありません!

例え我がセレス一国でも、私は戦いを挑みます……」

 エレナは余りにも早すぎる敵の攻撃に支度が整っては居なかった。
 まさに地上全体から見れば、奇襲による先制攻撃を受けたようなものである……その為に、弱気を感じさせる言葉であったが、深く息を吸い号令を発した!


「出来るか解らない!出来るとは言えないが!

出来なくはない‼‼︎


我らが行うは!

奇跡そのものだ‼︎


全ての兵と!
民が!

力を合わせても!


勝てないかも知れない……


だが!何もしなければ‼︎


滅びるだけだ!


私はもう一度言おう!


出来るか解らない!出来るとは言えないが!出来なくはない‼‼︎


それは奇跡と言う言葉が!
そこにあるからだ‼︎‼︎


解るか!戦わなくては勝てない!

戦わなければ滅びる!

勝たなければ!我らの地上が滅びる‼︎‼︎
皆よ!奇跡を摑み取れ‼︎‼︎」


 エレナはまるで自分にも言い聞かせるように号令をかけた、一瞬その場が静まり返り静寂が支配する。


 王達は気付かなかった、それは女王が発する言葉ではない、エレナは英雄として号令をかけたのだ、女王としてではなく、最前線に立ち自ら剣を振る意志を溢れさせていた。


その静寂を破る声がする。


「何をしているのです!
早くパルセスに魔法で伝えなさい!
戦の支度を迅速にする様に!
支度が出来た部隊から出陣する様に伝えなさい!
我らが一族の力を見せてやるのです‼︎

セレスの英雄エレナが戦場に出るのです‼︎
遅れてはなりません‼︎‼︎」

 フェルミンが護衛に指示をだす声が響く、その様子に各国は驚く、セレスと同等の国力を持つパルセスが立ち上がった。
 商人気質なドワーフの国が最初に動いたのだ、そして王達はやっと気づいた、エレナが女王として後方指揮するのでは無く、英雄として戦場に出ると言う事に‼︎‼︎


「フェルミン女王、我らはアグドも参戦するドワーフの鍛えた武器を譲って貰いたい。」
ベルガルがフェルミンに言う。
「我らの魂を込めて鍛えた武器を全ての兵に送りましょう」
フェルミンは礼を取り応える。

 その次に最大の軍事大国であったアグドが意志を見せる、その流れに乗り多くの国が戦の準備を進める使者を放って行く。


 エレナはフェルミンに救われた、王達の挙動に不安があった、勝ち目の無い戦争に各国が兵を出すだろか?
 余りにも早過ぎるニヒルの攻撃にユニオンとしての体制は整って居なかった。
 その為に自ら英雄として戦場に立つと宣言したのだが、その意図を理解したのは、フェルミンとベルガル位だった。
 フェルミンが声をあげ、絶望的な戦いに僅かな光を照らし、各国をまとめたのだ……




「エレナ女王、集結は何方に?」
フェルミンが聞いた時、エレナは即答する。

「クリタス平原に集結せよ‼︎
敵は北から現れる!
北への入り口、クリタスを守れなければ‼︎
敵が分散してしまいます‼︎

戦場が拡大すれば我らが不利!
地上世界の力を一点に集結し敵を迎え撃て‼︎‼︎」


「フッ、おあつらいむきじゃないか……
クリタス平原、ようはあの時を繰り返さなければいいんだろ?」
トールが聞く……
「えぇ……」
エレナが微笑んで静かに答えた。

「トルミア女王、俺にクリタス軍を預けてくれ……」
トールがトルミアに願い出る。

「何を言われるのですか、トール様は我らゴブリンの英雄、思う存分戦って下さい。
トール様がトール様らしく戦って下さい……

私と兵達はそれを望んでいます。」


トールは深くトルミアに礼をした。
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