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第三章〜戦士の国アグド〜

54話✡︎創世神話✡︎

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 最初に無から生まれたのは創世二大神のクロノスとアインであった。

 彼らは破壊と創造を司り、愛を育み最初に地上を作られた。

 そして地上の寂しさを見て、最初の命、巨人を生み出す。

 その時クロノスとアインの意思を嘲笑うかの様に冥界が生まれてしまう。

 冥界は巨人族と争うが巨人族はこれに敗れる。


 クロノスは涙を初めて知り世界を無に返される。

そして冥界もまた消える……


 アインが全ての始まり……
無から生まれる闇を統べる女神をクロノスとの間に生み出す……

 不思議と全く姿の違う双子で、闇の女神オプスと光神ルーメンが生まれた。

 その二人の神を二大神と呼んだ


 そしてまた地上を産み出され、巨人族を送る。

 冥界が命と共にまた生まれた……


 クロノスとアインは闇の女神オプスを地上と冥界狭間に送り、冥界を闇で包ませる。

 暗黒の闇を抜け出す冥界の力のある者を、光神ルーメンが討ち取り、ようやく地上が守られた。


 闇の女神オプスは全ての冥界の者を、地上に通さない為に、メドゥーサ、ドッペル、サイクロプスなどの魔族を産み出される。


 冥界の力は時折しか地上に届かなくなる。


 そして、それを見てクロノスとアインは
地上を彩る為に、水、風、大地、炎の四神が産み出される、
 二大神と四神を合わせて、六大神と言われるようになった。


 その神々は地上を彩る為に様々な命を産み出され、地上は命溢れる楽園となる……


 闇の女神オプスはその地上の美しさを心から愛し。
 弟の光神ルーメンと力を合わせ、地上に送り物をする。


 そして夜空の星々の輝きが産まれた。



 エレナ達は今までの事を思えば驚かない話しだったが、ベルガルは驚きを隠せない話しだった。


「では何故?そのドッペルが我らの王を?」
ベルガルは静かに聞いた。
 ピリアは今の世界が何故五大神といってるかをベルガルに説明した。
 死竜が闇の女神を捕らえてしまった事で、闇の眷属の一部が暴走してしまったことも話した。

 そしてかつて六大神の象徴、六芒星を掲げたユニオンの存在も伝える。
 その中でゴブリン達の国クリタスが、最大勢力を持ち、今クリタス山脈の地下都市トールがその生き残りの可能性がある事をも全て説明した。


「そんな時代が、あったのか……
その時代には我が一族も、今の哀しみは無かったのだろうな……」
ベルガルは初めて知る歴史に想いを馳せていた。
 意外と彼は戦う事以外にも、関わっている様で一族の哀しみは深いようで、寂しげな顔を見せている……

「その私達が見た記憶の石板で、グーダっていうオークがこう言ってたよ。

我らは助け合い、支え合う事を誓った。
悲しみも苦しみも分かち合うと誓っただろ

って……」
とユリナが言うとベルガルは驚いた、そして後ろから声が聞こえた。

「オーバーロードグーダを知っているのか?」
シェラドが来た。

「オーバー……ロード?」
ユリナが初めて聞く名に首を傾げる。

「オーバーロードはオーク族の最強を表す意味よ、私がもつエヴァスと同等の力をあらわすの、ウィースは力を表しその時代の王を指すの……

だからウィースガルムはこの時代の正真正銘の王だったの」
エレナがユリナとカナに教えたが、それと同時に疑問が産まれた。

オーバーロードがオーク族の最強、でもオーク族の王の選び方はその時代で最も強いオークがなる……つまりオーバーロードこそが王のはず……そう皆が疑問に思った。

そして今までの話を、ベルガルがシェラドに伝えると……
「なるほどな……つまりエレナ達はユニオンを作ろうとしているのか。」
シェラドは察しが早い。

「我らがそれに興味が無い訳では無い、ただ長老どもがな……」
シェラドが酒を飲みながら話す。
「あぁ、あいつらは間違いなく邪魔になる。」
ベルガルが言う。
「邪魔になる?なんで?」
ユリナが聞く。

「まずその話をすれば、確実に奴らがユニオンの党首になる事を要求するだろう……

仮にユニオンの話をせずに、同盟の話をしても不平等な同盟を要求するだろうな……
見え見えだ、奴らは欲に溺れすぎだ」
ベルガルが説明するとシェラドも頷く。

「ちょっと待って長老って一体なんなの?」
ユリナが聞く。

「長老院と正確には言う、何かと言えば我が一族は多数の部族から成り立つ、それを十万年前にはじめて繋ぎ纏めたのが……
オーバーロード・グーダだ。

グーダ無き後に、騒乱が訪れ各部族の長老が集まり一族を纏めたのが始まりだ。
歴代の王で力ある者が現れれば、長老院はそれに従い支えて来たが。
この五千年の記録を見れば、好き勝手にやってやがる」
ベルガルが苛立っている。

「じゃあ…国が纏まって無いってこと?」
ユリナが驚きながら聞く。

「あぁ、完全に二分されてはいないが、長老院は国政を担っている勢力で既に富と権力しか考えて無い。
あんな物は無い方がいいに決まってる。」
ベルガルが苛立ってるようだ、壺ごと酒を飲みはじめる。

「まぁ、この国は変わるさ軍を統制してる側の王、その次に力があるのはジェネラルだ、シェラドが心を決めてくれたからな。
お前達のおかげだ改めて礼を言うぞ」
そうベルガルは言い砦に戻って行った……



 エレナは今の話を聞いて、すぐに長老院がセレスで言うエルド宮の様な物だと理解したが、セレスの場合は王宮が絶対的な力を持ち、名君と言われるシンシルが統治している為に、セレスの平和があるのだと再認識していた……
 それと同時に(尊い者達)を託され未来で女王になった時、シンシルの様にセレスを統治出来るか、僅かだがプレッシャーを覚えでいた。
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