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4話

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リンゼム国にも春が来る。

「モーント」
「なんでしょうか」

今はお茶の時間だ。日が暮れる夕方に紅茶を飲むのが好きなのだ。横にはいつも通り、橙色の風にサラサラな髪をなびかせながらモーントが立っていた。たった一人の大切な執事。

「さすがにもう暖かくなってきたわね。気持ちいいわ」
「わたくしもそう思います。程よい気候ですね」

モーントは微笑む。

「メミロン様、お菓子はいかがでしょうか」
「……いらないわ」
「たまには甘いものも必要ですよ」

そう言って目の前にマカロンが降り立った。

「モーントはお節介が上手ね」
「程々でございます」

マカロンは紅茶に合うからお菓子の中では1番好きだ。ほんとにお節介。

「メミロン様は夕暮れがお好きなのですか?」
「……わかってるでしょ」
「……ふふ。わたくしは存じ上げません」
「言ってないもの」

そう言って夕焼けを見つめる。いつもは眩しすぎて見ることが出来ない太陽がこの時だけは、輝きを闇に混じえ、私に寄り添った存在になるのだ。……なって欲しいだけなのだ。

「そんなにわたくしを見つめてどうされました?」
「……いいえ、あなたはあなただって言い聞かせてたのよ」
「そうでございますか」

本当は太陽は裏に回っただけで、輝きは変わらないのに。

「メミロン様、そろそろお戻りの時間でございます

「……わかったわ」

わざと、ドレスをなびかせてみた。

「……御手を」
「………」

闇は闇だ。しかし太陽はいつもどこかを照らし続けている。今日も然り、明日も然り。信じて進んで行くしかないのだ。

不老不死のお姫様と執事の日常
4日目
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