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小学生編
金髪姉妹と地味な男 第5話(全10話)
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最初の休憩所が見えてくると、アリスがこちらに大きく手を振って迎え入れてくれた。
先に着いていた三人も十分に休憩がとれたみたいで僕が到着するとすぐに出発しようとしていた。
「ソフィー、マサは今着いたばっかりなんだから少し休ませてあげなよ」
「あれ、アリスってお兄さんの事を名前で呼ぶようになったの?最近は何だか仲が良いからなぁ。そういうことか」
そのまま三人でひそひそと何かを企んでいる感じだったので、僕は自転車を降りてベンチに腰掛けることにした。
「お兄さん、私たちも名前で呼んでもいい?」
「うーん、ダメ」
僕が即答すると三人は楽しそうに笑っていたが、アリスは心配そうにこちらを見ていた。
僕の空いている両隣に美波ちゃんとナナちゃんが座って目の前にソフィアさんが立っていた。
いつの間にかアリスが僕の後ろに立っていたようで、女子小学生に完全に包囲される形となってしまった。
「お兄さんの許可なんていらないんだけど、勝手に呼べばいいだけだし」
ソフィアさんがそう言うと他の二人もそれに同調していて、僕の事を名前で呼んでいた。
時計を見ていたソフィアさんがもう少しで十一時になると言ったので、休憩所を出発する時間が十一時に決定した。
僕の横に座ったアリスはまたソフィアさんの事で謝ってきたのだけれど、僕は本当に気にしていないので大丈夫だよと軽くヘルメットを撫でてあげた。
アリスさんが僕に抱き着いてきたのだけれど、その時には十一時を過ぎていたらしく三人の姿はなくなっていた。
僕達は正午に付けばいいかなくらいのペースでゆっくりと自然を満喫しながらサイクリングを楽しんでいたのだが、勢いよく飛び出した三人が視界から消えるのはコーナーが続く箇所だけでほとんど視界に捉えることが出来た。
もっとも、三人が特別遅いわけではなくもともと鉄道が通っていた道なので長い直線が多いからなのだが、一定のペースで楽しく走り続ける僕達とは違って三人はかなりペースが乱れている感じだった。
動物園に着く前ではあるが、サイクリングロード沿いには飼われている牛や馬の他に野生の狐や丹頂鶴などもいたのでアリスは終始テンションが高かった。
一つ目の休憩所を通り過ぎて少し進んだところで、最初の脱落者である美波ちゃんと合流することになった。
「私はあの二人と違ってあんまり体力ないんで、こっちに混ぜてもらってもいいですか?」
「もちろん、ソフィーのワガママで困らせてばかりでごめんね」
アリスと美波ちゃんはお互いに運動よりも勉強が好きなタイプなので気が合うみたいだった。
その後も続く直線の遠くに先行する二人の姿を見ながら僕達が動物園前最後の休憩所に着いた時には、間もなく正午を迎える時刻になっていた。
僕が前の二人にお寿司を奢る話はきっと消えたともうのだけれど、油断してはいけない。
正午を少し過ぎたくらいに動物園の駐輪場に着いたのだが、先行している二人の自転車が見当たらなかった。
サイクリングロードはゴールが動物園じゃないので途中で一か所曲がらないといけない場所があるのだけれど、伝え忘れていたみたいだった。
動物園のある方向に向けて目立つ看板がいくつも設置されているので見落とす方が悪いのだと思って待っていると、僕達がついてから十分後くらいに二人が到着した。
僕達三人は駐車場にある売店でソフトクリームを食べながら待っていたので、それほど待たされた感じはなかったのだけれど、遅れてきた二人は道を間違えた罪を僕に擦り付けようとしていた。
それを一蹴したのはアリスと美波ちゃんだった。
先に着いていた三人も十分に休憩がとれたみたいで僕が到着するとすぐに出発しようとしていた。
「ソフィー、マサは今着いたばっかりなんだから少し休ませてあげなよ」
「あれ、アリスってお兄さんの事を名前で呼ぶようになったの?最近は何だか仲が良いからなぁ。そういうことか」
そのまま三人でひそひそと何かを企んでいる感じだったので、僕は自転車を降りてベンチに腰掛けることにした。
「お兄さん、私たちも名前で呼んでもいい?」
「うーん、ダメ」
僕が即答すると三人は楽しそうに笑っていたが、アリスは心配そうにこちらを見ていた。
僕の空いている両隣に美波ちゃんとナナちゃんが座って目の前にソフィアさんが立っていた。
いつの間にかアリスが僕の後ろに立っていたようで、女子小学生に完全に包囲される形となってしまった。
「お兄さんの許可なんていらないんだけど、勝手に呼べばいいだけだし」
ソフィアさんがそう言うと他の二人もそれに同調していて、僕の事を名前で呼んでいた。
時計を見ていたソフィアさんがもう少しで十一時になると言ったので、休憩所を出発する時間が十一時に決定した。
僕の横に座ったアリスはまたソフィアさんの事で謝ってきたのだけれど、僕は本当に気にしていないので大丈夫だよと軽くヘルメットを撫でてあげた。
アリスさんが僕に抱き着いてきたのだけれど、その時には十一時を過ぎていたらしく三人の姿はなくなっていた。
僕達は正午に付けばいいかなくらいのペースでゆっくりと自然を満喫しながらサイクリングを楽しんでいたのだが、勢いよく飛び出した三人が視界から消えるのはコーナーが続く箇所だけでほとんど視界に捉えることが出来た。
もっとも、三人が特別遅いわけではなくもともと鉄道が通っていた道なので長い直線が多いからなのだが、一定のペースで楽しく走り続ける僕達とは違って三人はかなりペースが乱れている感じだった。
動物園に着く前ではあるが、サイクリングロード沿いには飼われている牛や馬の他に野生の狐や丹頂鶴などもいたのでアリスは終始テンションが高かった。
一つ目の休憩所を通り過ぎて少し進んだところで、最初の脱落者である美波ちゃんと合流することになった。
「私はあの二人と違ってあんまり体力ないんで、こっちに混ぜてもらってもいいですか?」
「もちろん、ソフィーのワガママで困らせてばかりでごめんね」
アリスと美波ちゃんはお互いに運動よりも勉強が好きなタイプなので気が合うみたいだった。
その後も続く直線の遠くに先行する二人の姿を見ながら僕達が動物園前最後の休憩所に着いた時には、間もなく正午を迎える時刻になっていた。
僕が前の二人にお寿司を奢る話はきっと消えたともうのだけれど、油断してはいけない。
正午を少し過ぎたくらいに動物園の駐輪場に着いたのだが、先行している二人の自転車が見当たらなかった。
サイクリングロードはゴールが動物園じゃないので途中で一か所曲がらないといけない場所があるのだけれど、伝え忘れていたみたいだった。
動物園のある方向に向けて目立つ看板がいくつも設置されているので見落とす方が悪いのだと思って待っていると、僕達がついてから十分後くらいに二人が到着した。
僕達三人は駐車場にある売店でソフトクリームを食べながら待っていたので、それほど待たされた感じはなかったのだけれど、遅れてきた二人は道を間違えた罪を僕に擦り付けようとしていた。
それを一蹴したのはアリスと美波ちゃんだった。
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