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危険な兄と妹編
忍者と短刀
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寄り道をして帰るのは高校生になって初めての事だったのだが、俺はこの町の事をほとんど知らないのだと思い知らされた。登下校は常に車で送迎してもらっていたし、どこかへ行くにも人通りの多い場所しか行ったことが無かったのだ。美桜ちゃんに誘われるまま路地を奥へ奥へと進んでいくのだが、どう見ても普通の住宅街でしかないのでこのまま進んでいっても良いのかという気持ちになってしまっていた。
何度も角を曲がって進み、美桜ちゃんに連れてきてもらわなければ絶対に見つけることが出来ないような場所に派手な外観の建物が突然現れたのだ。曲がり角を何度か曲がった記憶はあるのだが、その後はずっと直線を道なりに歩いていたはずなのに、目の前に突然現れたその店は周囲に比べてあまりにも奇妙で不気味な配色をした建物であった。ここが何かの店だと言われてもわからない人も多いのだろうが、申し訳程度に小さな看板がここが古道具屋であるという事を知らせていたのだ。
「随分変わった感じの建物だね。周りの家と比べてもひと際浮いているというか、かなり独特な色遣いをしているな」
「そうですよね、普通はそう思いますよね、私も兄貴に連れてきてもらった時はお兄さんと同じような反応でした。あの時は本当に入るのが嫌だなって思ってたんですけど、一度中に入れば面白いところだなって思いましたよ。さあ、お兄さんも一度中に入ってあの時の私の気持ちを味わってください」
俺は美桜ちゃんに背中を押されながら店のドアを開けて中へ入ったのだが、店内は外観と比べていたってシンプルな作りになっていた。簡素な造りの棚がいくつも並んでいるのだが、物が多い割には圧迫感も少なく逆に開放感があるようにも思えた。
棚を一つ一つ見ていてはどんなに時間があっても足りないと思えるほど色々なものが並べられているのだが、そのどれもが俺の好奇心をくすぐってくるのだ。いや、俺くらいの年頃の男子だったら誰でもワクワクしてしまうようなオモチャが並べられているのだ。ただ、不思議なことのどれを見ても値札が付いていないのだ。棚ごとに値段が別れているのかと思っていたのだが、果物でもカットするような小さなナイフと宝石がたくさんついた短剣が同じ棚に並んでいたりと理解出来ないことが多いのだ。だが、そんな事は関係なくこの店に並んでいる商品は俺の心を掻き乱していた。
「どうですか、お兄さんはこの店気に入りました?」
「まだほとんど見てないけどさ、結構いいと思うよ。男心をくすぐるというか、興味をそそられるものがいっぱいあるね。あそこにある日本刀とか中世の騎士がもってそうなサーベルとかさ、触ってみたいけど触れるのがちょっと怖いなって思うようなモノばかりだよね」
「やっぱりこういうのって剣道やってるとか関係なく好きなんですね。男子ってやっぱりこういう力の象徴みたいなものって好きなんですね。でも、お兄さんに相応しいものってここにはないかもしれないですね」
「そうかな。意外とあの大きい剣とか似合うんじゃないかな。ちょっと持ってみようかな」
「お兄さんは触らない方がいいと思いますよ。だって、その剣って実際に使用されてたやつですからね」
「実際に使用されてたって、どういうこと?」
「そのまんまの意味ですよ」
美桜ちゃんの話ではここで売られている物は全て本当に使用されたものばかりだそうだ。使用されたというのがどういう意味なのだろうと考えてみたのだが、それは俺が想像したような事に使われたものだという事だった
そんなものがなんでこんな場所で普通に売られているのか疑問に思ってしまったのだが、それはこの店の主人ですら知らないそうだ。ここの主人も飛鳥君や昌晃君と一緒で前世の記憶がハッキリ残っているらしく、その当時は世界を股に掛けた武器商人だったそうなのだ。その名残でこの店を開いているという事なのだが、不思議なことにここに並んでいる武器がどこからやってくるのかわからないらしい。何かが売れるといつの間にか違うものが補充されているという不思議な現象が起こっているとのことだ。
この店の中にあるのは確かに売り物なのだが、それはお金で売買されているという事ではない。この店にある道具が買い手を探して勝手に買っていくという事だ。代金はその時の客によってまちまちだという事なのだが、参考までに聞いた一番高額な商品はどこかの世界の王族を滅ぼした際に使われた大きな槍が四十億円以上の価格で買われたことがあったらしい。その槍を買ったのが誰なのかは教えてもらうことは出来なかったのだが、主人が見た限りではこの世界の住人ではないように思えたとのことだ。
「それにしても、ここにあるのが全部本物だったとして、どうして美桜ちゃんがこの店に俺を連れてきたの?」
「なんとなくですよ。お兄さんに相応しい武器って何なのかなって興味があったってのと、私が頼んでた短刀が出来たって連絡来たから取りに来たんです。一人でここに来るのってちょっと怖かったりしますしね」
「その気持ちはなんとなくわかるけどね。で、俺に相応しい武器ってなんだと思ったの?」
「それを決めるのは私じゃなくてお兄さんなんですよ。さっきの大剣じゃなくてもっとシュッとした方がお兄さんには似合ってると思うんですけどね。もしかしたら、今はまだピンと来たのが無いだけで後から見つかるって事もあるかもしれないですからね。私の兄貴は何十回もここに通ってるのにいまだに見つけてないって言ってますし、お兄さんもそれくらいかかっちゃうかもしれないですね」
「そういう美桜ちゃんは何回目で見つけたの?」
「私ですか。私は一目見てこれだって気付きました。気付いたって言うよりは向こうからアピールしてたんじゃないかなって思ったんですよ。それくらいピンとくるものがありましたからね」
「それだったら俺はまだ何も見付けてないかも。そもそも、俺に相応しい武器なってあるのかも疑問だけどね」
「まあ、普通に生きてたら見つからないって言ってましたよ。そもそも、この店を見付けることも出来ないみたいですからね」
あんなに目立つ外観の店を見付けられないなんてことがあるのだろうか。普通に考えればどう考えても目立っている店なんだから見落とすことなんてないと思うのだが、俺がこの店に気付いたのはいつだったのかおもいだしてみよう。
どんなに思い出そうとしても俺にはこの店が突然目の前に現れて驚いた記憶しかないのだ。曲がり角いくつも曲がってここへ来た記憶はあるのだが、この店の前は五分くらい直線をただただ歩いていた記憶があるのだ。直線の突き当りに突然現れたこの店に気付いたのは本当に目の前にたどり着いた時なのだ。隣の家と比べても一階分は屋根が高いこの店にずっと気付かなかったのは謎なのだが、あんなに目立つ外観で大きい建物をずっと見落としていたという事は俺に何か異常があるのではないかと思えるような出来事だったのだ。
「見付けることが出来ないってのは、俺がこの店の目の前に来るまで気付かなかったってのと何か関係あるのかな?」
「あるんじゃないですかね。私も聞いた話なんで本当なのかわからないですけど、この店にある道具に呼ばれた人じゃないとたどり着けないって言われました。私の場合は短刀に呼ばれたって事らしいんですけど、兄貴は道場の先輩に連れてきてもらったって言ってましたよ。ただ、連れてくる相手がここに相応しくない時はたどり着けないとも言われたそうなんですよ。それを聞いて兄貴も私もちょっと嬉しかったんですけどね」
「それってさ、俺もここに相応しくない人ではないって事なんだよね?」
「そういう事だと思いますよ。じゃあ、私の短刀を見に行きましょうよ。そろそろここのご主人が持ってきてくれる頃だと思いますからね」
奥の扉がゆっくり開いたのだが、扉が開ききる前に狭い隙間を強引に若い男性がすり抜けて出てきた。相内先生と同じくらいか少し若いくらいの男は俺には目もくれずに美桜ちゃんのもとへと歩み寄ると、嬉しそうな顔をして持っていた手提げ袋から何かを包んだ布を取り出していた。男はその布を優しく抱きしめていたのだが、その姿は赤ん坊を抱いているお父さんのように見えていた。
「結構お待たせしちゃったね。ちゃんと魂を抜いてきたから大丈夫だよ。これについていた悪い魂は封印してきたからね。でも、それは使っちゃダメだからね。持っているだけで使わないってのは約束だよ。それを使っちゃうと、君は君じゃなくなってしまうんだからね」
男の言っていることが何一つ理解する事が出来なかったのだが、男から布を受け取った美桜ちゃんはとても嬉しそうに微笑んでいた。美桜ちゃんも我が子を抱いているかのように優しく丁寧にその布を抱きしめていたのだが、ある程度抱きしめるとその布をカバンから教科書を全て取り出して布をの奥の方へとしまい込んでいた。
「ん、君は、一体誰なんだい?」
美桜ちゃんの行動を全て見届けた後で男は俺に初めて気づいたかのような態度で話しかけてきた。
俺は簡単に自己紹介をすると、男はあまり興味がないようなそぶりで俺から視線を外していたのだった。
「君に相応しいものが見つかるかはわからないけれど、ゆっくりしていくと良いよ。いくら探しても見つからない時は何も見つからないんだけどね」
その言葉を聞いて俺は意地でも何か見つけてやろうと思ったのだった。
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「随分変わった感じの建物だね。周りの家と比べてもひと際浮いているというか、かなり独特な色遣いをしているな」
「そうですよね、普通はそう思いますよね、私も兄貴に連れてきてもらった時はお兄さんと同じような反応でした。あの時は本当に入るのが嫌だなって思ってたんですけど、一度中に入れば面白いところだなって思いましたよ。さあ、お兄さんも一度中に入ってあの時の私の気持ちを味わってください」
俺は美桜ちゃんに背中を押されながら店のドアを開けて中へ入ったのだが、店内は外観と比べていたってシンプルな作りになっていた。簡素な造りの棚がいくつも並んでいるのだが、物が多い割には圧迫感も少なく逆に開放感があるようにも思えた。
棚を一つ一つ見ていてはどんなに時間があっても足りないと思えるほど色々なものが並べられているのだが、そのどれもが俺の好奇心をくすぐってくるのだ。いや、俺くらいの年頃の男子だったら誰でもワクワクしてしまうようなオモチャが並べられているのだ。ただ、不思議なことのどれを見ても値札が付いていないのだ。棚ごとに値段が別れているのかと思っていたのだが、果物でもカットするような小さなナイフと宝石がたくさんついた短剣が同じ棚に並んでいたりと理解出来ないことが多いのだ。だが、そんな事は関係なくこの店に並んでいる商品は俺の心を掻き乱していた。
「どうですか、お兄さんはこの店気に入りました?」
「まだほとんど見てないけどさ、結構いいと思うよ。男心をくすぐるというか、興味をそそられるものがいっぱいあるね。あそこにある日本刀とか中世の騎士がもってそうなサーベルとかさ、触ってみたいけど触れるのがちょっと怖いなって思うようなモノばかりだよね」
「やっぱりこういうのって剣道やってるとか関係なく好きなんですね。男子ってやっぱりこういう力の象徴みたいなものって好きなんですね。でも、お兄さんに相応しいものってここにはないかもしれないですね」
「そうかな。意外とあの大きい剣とか似合うんじゃないかな。ちょっと持ってみようかな」
「お兄さんは触らない方がいいと思いますよ。だって、その剣って実際に使用されてたやつですからね」
「実際に使用されてたって、どういうこと?」
「そのまんまの意味ですよ」
美桜ちゃんの話ではここで売られている物は全て本当に使用されたものばかりだそうだ。使用されたというのがどういう意味なのだろうと考えてみたのだが、それは俺が想像したような事に使われたものだという事だった
そんなものがなんでこんな場所で普通に売られているのか疑問に思ってしまったのだが、それはこの店の主人ですら知らないそうだ。ここの主人も飛鳥君や昌晃君と一緒で前世の記憶がハッキリ残っているらしく、その当時は世界を股に掛けた武器商人だったそうなのだ。その名残でこの店を開いているという事なのだが、不思議なことにここに並んでいる武器がどこからやってくるのかわからないらしい。何かが売れるといつの間にか違うものが補充されているという不思議な現象が起こっているとのことだ。
この店の中にあるのは確かに売り物なのだが、それはお金で売買されているという事ではない。この店にある道具が買い手を探して勝手に買っていくという事だ。代金はその時の客によってまちまちだという事なのだが、参考までに聞いた一番高額な商品はどこかの世界の王族を滅ぼした際に使われた大きな槍が四十億円以上の価格で買われたことがあったらしい。その槍を買ったのが誰なのかは教えてもらうことは出来なかったのだが、主人が見た限りではこの世界の住人ではないように思えたとのことだ。
「それにしても、ここにあるのが全部本物だったとして、どうして美桜ちゃんがこの店に俺を連れてきたの?」
「なんとなくですよ。お兄さんに相応しい武器って何なのかなって興味があったってのと、私が頼んでた短刀が出来たって連絡来たから取りに来たんです。一人でここに来るのってちょっと怖かったりしますしね」
「その気持ちはなんとなくわかるけどね。で、俺に相応しい武器ってなんだと思ったの?」
「それを決めるのは私じゃなくてお兄さんなんですよ。さっきの大剣じゃなくてもっとシュッとした方がお兄さんには似合ってると思うんですけどね。もしかしたら、今はまだピンと来たのが無いだけで後から見つかるって事もあるかもしれないですからね。私の兄貴は何十回もここに通ってるのにいまだに見つけてないって言ってますし、お兄さんもそれくらいかかっちゃうかもしれないですね」
「そういう美桜ちゃんは何回目で見つけたの?」
「私ですか。私は一目見てこれだって気付きました。気付いたって言うよりは向こうからアピールしてたんじゃないかなって思ったんですよ。それくらいピンとくるものがありましたからね」
「それだったら俺はまだ何も見付けてないかも。そもそも、俺に相応しい武器なってあるのかも疑問だけどね」
「まあ、普通に生きてたら見つからないって言ってましたよ。そもそも、この店を見付けることも出来ないみたいですからね」
あんなに目立つ外観の店を見付けられないなんてことがあるのだろうか。普通に考えればどう考えても目立っている店なんだから見落とすことなんてないと思うのだが、俺がこの店に気付いたのはいつだったのかおもいだしてみよう。
どんなに思い出そうとしても俺にはこの店が突然目の前に現れて驚いた記憶しかないのだ。曲がり角いくつも曲がってここへ来た記憶はあるのだが、この店の前は五分くらい直線をただただ歩いていた記憶があるのだ。直線の突き当りに突然現れたこの店に気付いたのは本当に目の前にたどり着いた時なのだ。隣の家と比べても一階分は屋根が高いこの店にずっと気付かなかったのは謎なのだが、あんなに目立つ外観で大きい建物をずっと見落としていたという事は俺に何か異常があるのではないかと思えるような出来事だったのだ。
「見付けることが出来ないってのは、俺がこの店の目の前に来るまで気付かなかったってのと何か関係あるのかな?」
「あるんじゃないですかね。私も聞いた話なんで本当なのかわからないですけど、この店にある道具に呼ばれた人じゃないとたどり着けないって言われました。私の場合は短刀に呼ばれたって事らしいんですけど、兄貴は道場の先輩に連れてきてもらったって言ってましたよ。ただ、連れてくる相手がここに相応しくない時はたどり着けないとも言われたそうなんですよ。それを聞いて兄貴も私もちょっと嬉しかったんですけどね」
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「そういう事だと思いますよ。じゃあ、私の短刀を見に行きましょうよ。そろそろここのご主人が持ってきてくれる頃だと思いますからね」
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「ん、君は、一体誰なんだい?」
美桜ちゃんの行動を全て見届けた後で男は俺に初めて気づいたかのような態度で話しかけてきた。
俺は簡単に自己紹介をすると、男はあまり興味がないようなそぶりで俺から視線を外していたのだった。
「君に相応しいものが見つかるかはわからないけれど、ゆっくりしていくと良いよ。いくら探しても見つからない時は何も見つからないんだけどね」
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