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元魔王奮闘の章
飛鳥君について相談してみた
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今までみんなと離れていた席に座っていた飛鳥君が僕の席の二つ隣の空いている場所に座っていた。授業にも真面目に参加して以前のように急にわけのわからないことを言いだしたりすることも無くなっていたので問題は無いはずなのだが、何も問題が無いという事が逆に気になってしまっていた。
自由に席を移動できるという環境では座る場所も自分の意思を表明するものと考えることが出来ると思うのだが、飛鳥君の席の左右にジェニファーさんとエイリアスさん座り飛鳥君の席のすぐ後ろにフランソワーズさんが座るっていた。誰とも関わりたくないのであれば飛鳥君は授業が始まる前に席を移動すると思っていたのに全ての授業が終わるまでその席から動くことは無かった。ただ、誰とも話をしようとしなかった飛鳥君に話しかけようとするものもいなかったのだ。
「戻ってきてくれたのは嬉しいけどさ、今のままじゃ何も変わらないと思うんだよ。飛鳥君に何があったかみんなも気になるよな。僕は明日飛鳥君に何があったのか聞いてみようと思うんだけど、どう思う?」
正樹君は飛鳥君に何かあったのかという好奇心ではなく友達として心配していると思うのだが、真っすぐすぎるその思いは今の飛鳥君には重いのではないかと思ってしまった。
「俺も飛鳥君に何があったのか気になるけど、今はこっちから聞きに行かない方がいいと思うんだよ。俺はこの中で一番付き合いは浅いから飛鳥君の事を知っているとは言えないけど、今の姿を見ているとこっちから無理に距離を詰めるのは良くないと思うんだよ。今は少しずつ歩み寄っていって、飛鳥君が自分から言いたくなった時に聞いた方がいいんじゃないかって思うんだけど。でも、正樹君が言うことも間違いではないと思う」
「そうね。正樹君のいう事もわかるし将浩君のいう事もわかるよ。でも、私達が出来ることって何かあるのかな。昌晃君と愛華ちゃんは飛鳥君と一番仲が良いんだし、その辺はどう思うかな?」
「正直に言うと何もわからない。僕も愛華も飛鳥君とは仲の良い方だとは思うけどさ、学校以外で付き合いはないんだよね。学校の中でも進んで一緒に過ごすって感じでもないし、お互いの事はあんまり詳しく知らないんだよ。家がどこにあるのかって話もしたことないし、中学の話も小学校の話もしたことないからさ。ただ、話が合うってだけで本当に仲が良いってわけではないのかもしれない」
「私も昌晃と同じかも。飛鳥君とは話してて面白いなって思うくらいで表面的な付き合いって感じだったかも。もう少しお互いの事を知りあっていれば頼ってくれたんじゃないかなって思うんだけど、今はそれを後悔してももう遅いのよね」
誰かが悪いというわけではないのだけれど、クラスの中を再び重い空気が包み込んでいた。俺は誰よりも飛鳥君との付き合いが薄いんだと思っていたけれど、仲が良いと思っていた昌晃君も愛華さんも俺達よりも話をしてるくらいの関係でしかないという事だった。だからと言って二人に何かを期待するのも酷だと思うし、正樹君の言う通りに直接聞いてみるのもどうかと思う。
「あの、皆さまがお望みでしたら私達三人で飛鳥さんの身の回りの事を調べますが、いかがいたしましょうか?」
いつもは一歩引いた立場で見守ってくれているフランソワーズさんが珍しく僕たちに提案をしてくれた。飛鳥君のみの周りを調べると言っても探偵のような事を出来るのだろうか。おそらく、フランソワーズさんもジェニファーさんもエイリアスさんもそう言ったことは出来るのだろう。ただ、それを行うという事は正樹君が明日やろうとしている事よりも飛鳥君を傷付ける可能性が高いような気もするのだ。
「そんなことが出来るんですか?」
昌晃君は不安げな表所を浮かべたままフランソワーズさんに質問していた。それに対してフランソワーズさんは表情を変えずに答えたのだ。
「まあ、出来ると思いますよ。たぶん、飛鳥さんに気付かれることなく調べることは出来ると思います。ですが、それをする事で飛鳥さんが今よりも心を閉ざす可能性もありますよ。もちろん、飛鳥さんが本当は皆さんに相談したくて言えないだけだったという可能性もありますし、その場合はより早く問題解決へと至る可能性もありますがね。皆さんが良ければ私達でお調べいたしますが、いかがいたしましょうか?」
俺達はお互いに顔を見合わせていたのだが、その姿はまるで責任を押し付け合うようにも見えてしまった。実際のところ、俺はそんな事をしない方がいいと思っているのだが、飛鳥君が何も教えてくれない以上こちらから調べるのもありなのではないかと思っていたのも事実である。しかし、本当にそんな事をして飛鳥君が喜ぶのだろうかと思う俺もいたのだ。
「僕は飛鳥君の事を調べてもらいたいと思う。これは好奇心から知りたいって事ではなく、友達が無言で助けを求めているからこそ力になりたいって事なんだ。いつも変わってて近づきがたい男ではあるけど、楽しくていいやつだってのはみんなも知ってると思う。そんな飛鳥君が何も言わずにただ黙って授業を受けているのって何か変だと思わないか。今になって思えば、それってもっと自分に話しかけて欲しいという飛鳥君なりのアピールだったんじゃないかと思うんだよ。僕の思い過ごしかも知れないし勘違いかもしれない。でも、飛鳥君はきっと助けてくれってサインを送ってたと思うんだ。だからこそ、僕は飛鳥君に何があったのか出来るだけ調べてもらいたいって思うよ。みんなはどうかな」
昌晃君はみんなに自分の思いを伝えると愛華さんとしばらく見つめ合ってお互いに頷いていた。それは二人の考えが一緒だというサインだったと思うのだが、それに同調したのは沙緒莉さんと陽香さんと真弓さんだった。
「私達も愛華ちゃんと昌晃君と同じように調べてもらいたいって思う。でも、一人でもそんな事をしたら飛鳥君が傷付くって思ってる人がいれば反対するよ。私達は飛鳥君の事なんて全然理解してないけどさ、クラスメートとして心配はしてるんだよ。愛華ちゃん達みたいに好奇心じゃないって言いきれないところはあるけどさ、それ以上に心配はしてるんだよ。急にわけわからないことを言いだしたり言葉遣いが乱暴だったりすることはあるけどさ、本当は優しい人だってみんな知ってるよね。だから、飛鳥君にとって一番いい方法で力になりたいって思うんだよ。みさきちゃん、綾乃ちゃん、正樹君、将浩君、あなた達はどう思うの?」
「僕もみさきも何か調べてもらえるならそうした方がいいと思うよ。でも、将浩君がさっき言ってたこともわかるんだよね。飛鳥君が自分の弱みを見せたくないって性格なのは知っているけどさ、それと同時に自分の事を何も知られたくないって思ってるのも知ってるんだよ。学校ではあんまり話したことは無いけどさ、家が近くみたいで時々近所で会ったりすることもあるんだよね。立ち話を少しするくらいの関係でしかないんだけど、飛鳥君は自分の事は何も教えてくれなかったんだ。僕が嫌われてるだけだったらそれまでなんだけどさ、会って話をしている時は嬉しそうに笑ってくれてたと思うんだよな。他人と話すのは好きだけど自分のことは出来るだけ話したくないって事なんだと思うんだけど、そう考えるといつもわけのわからないことを言っているのも本当の自分を隠すためなんじゃないかって思えてきたんだよね。みさきはどう思うかな」
「私も大体は同じ考えだよ。でも、正樹と話している時と昌晃君と話している時を比べたらさ、昌晃君と話をしている時の方が素なんじゃないかなって思う。昌晃君と話している時は意味の分からない変な事ばっかりなんだって思うけど、昌晃君と話している時の飛鳥君の方が自然な笑顔が出てるって思うんだよね。だから、私は昌晃君が思う方が正しいと思うかも。こんなのって自分の意見じゃないよね。ごめんね」
「そんな事ないよ。みさきさんの考えはよくわかったよ。綾乃さんと将浩君はどう思うかな。やっぱり調べない方がいいと思うかな?」
俺と綾乃以外は飛鳥君に何があったか調べてもらう事を希望している。俺も調べてもらった方がいいとは思うんだけど、それをしてしまうと飛鳥君が自分から何も言えなくなってしまうんじゃないかと思ってしまう。俺はそれが一番良くないんじゃないかと思っているのだけれど、みんなの話を聞いていると一概にそうとも言えないんじゃないかと思えてきた。
俺の考えを皆に言うのは綾乃はどう思っているのか聞いてからでも遅くない。
「綾乃はどう思う?」
「私は皆さんの意見もよく理解出来ますし、理解出来ないところもあります。ですが、私個人の意見として、飛鳥さんに何があったのか知って対策を立ててから飛鳥さんが言い出すのを待っても良いと思ってますよ。とっても卑怯な答えかもしれませんが、こちらから動いても飛鳥さんにそれを悟られないようにするのもありかと思います。他の方にはそんなことは出来ないでしょうが、彼女たちなら苦も無くそれを実践してくれると思うのですが、いかがでしょうか?」
「そうだね。綾乃さんの言う通りだよ。飛鳥君の状況を知ったとしてもソレを本人に伝えなければ飛鳥君にとっては誰も知ってないのと同じことなんだよね。あとで飛鳥君に知られたらもっと怒りそうな気もするけどさ、それが一番いい方法な気がしてきたよ。これだったら将浩君も反対はしないよね?」
この場にいる全員の視線が俺に集中していた。こんなに注目されたのは転校してきたとき以来だと思うのだけれど、俺はこの視線に耐えてまで反対することなんて出来ない。それに、綾乃が言っているように知ったとしてもソレを言わなければ飛鳥君にとっては知られていないという事と一緒なんじゃないかと思えてきた。
「うん、わかった。綾乃が言う通りに出来るならそれでいいと思う。飛鳥君が自分から話しだすまでみんなも黙っているって言うんだったら、俺は問題無いと思うよ。でも、何があったとしても絶対に俺達から飛鳥君に知っているという事を悟られたらダメだからね」
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正樹君は飛鳥君に何かあったのかという好奇心ではなく友達として心配していると思うのだが、真っすぐすぎるその思いは今の飛鳥君には重いのではないかと思ってしまった。
「俺も飛鳥君に何があったのか気になるけど、今はこっちから聞きに行かない方がいいと思うんだよ。俺はこの中で一番付き合いは浅いから飛鳥君の事を知っているとは言えないけど、今の姿を見ているとこっちから無理に距離を詰めるのは良くないと思うんだよ。今は少しずつ歩み寄っていって、飛鳥君が自分から言いたくなった時に聞いた方がいいんじゃないかって思うんだけど。でも、正樹君が言うことも間違いではないと思う」
「そうね。正樹君のいう事もわかるし将浩君のいう事もわかるよ。でも、私達が出来ることって何かあるのかな。昌晃君と愛華ちゃんは飛鳥君と一番仲が良いんだし、その辺はどう思うかな?」
「正直に言うと何もわからない。僕も愛華も飛鳥君とは仲の良い方だとは思うけどさ、学校以外で付き合いはないんだよね。学校の中でも進んで一緒に過ごすって感じでもないし、お互いの事はあんまり詳しく知らないんだよ。家がどこにあるのかって話もしたことないし、中学の話も小学校の話もしたことないからさ。ただ、話が合うってだけで本当に仲が良いってわけではないのかもしれない」
「私も昌晃と同じかも。飛鳥君とは話してて面白いなって思うくらいで表面的な付き合いって感じだったかも。もう少しお互いの事を知りあっていれば頼ってくれたんじゃないかなって思うんだけど、今はそれを後悔してももう遅いのよね」
誰かが悪いというわけではないのだけれど、クラスの中を再び重い空気が包み込んでいた。俺は誰よりも飛鳥君との付き合いが薄いんだと思っていたけれど、仲が良いと思っていた昌晃君も愛華さんも俺達よりも話をしてるくらいの関係でしかないという事だった。だからと言って二人に何かを期待するのも酷だと思うし、正樹君の言う通りに直接聞いてみるのもどうかと思う。
「あの、皆さまがお望みでしたら私達三人で飛鳥さんの身の回りの事を調べますが、いかがいたしましょうか?」
いつもは一歩引いた立場で見守ってくれているフランソワーズさんが珍しく僕たちに提案をしてくれた。飛鳥君のみの周りを調べると言っても探偵のような事を出来るのだろうか。おそらく、フランソワーズさんもジェニファーさんもエイリアスさんもそう言ったことは出来るのだろう。ただ、それを行うという事は正樹君が明日やろうとしている事よりも飛鳥君を傷付ける可能性が高いような気もするのだ。
「そんなことが出来るんですか?」
昌晃君は不安げな表所を浮かべたままフランソワーズさんに質問していた。それに対してフランソワーズさんは表情を変えずに答えたのだ。
「まあ、出来ると思いますよ。たぶん、飛鳥さんに気付かれることなく調べることは出来ると思います。ですが、それをする事で飛鳥さんが今よりも心を閉ざす可能性もありますよ。もちろん、飛鳥さんが本当は皆さんに相談したくて言えないだけだったという可能性もありますし、その場合はより早く問題解決へと至る可能性もありますがね。皆さんが良ければ私達でお調べいたしますが、いかがいたしましょうか?」
俺達はお互いに顔を見合わせていたのだが、その姿はまるで責任を押し付け合うようにも見えてしまった。実際のところ、俺はそんな事をしない方がいいと思っているのだが、飛鳥君が何も教えてくれない以上こちらから調べるのもありなのではないかと思っていたのも事実である。しかし、本当にそんな事をして飛鳥君が喜ぶのだろうかと思う俺もいたのだ。
「僕は飛鳥君の事を調べてもらいたいと思う。これは好奇心から知りたいって事ではなく、友達が無言で助けを求めているからこそ力になりたいって事なんだ。いつも変わってて近づきがたい男ではあるけど、楽しくていいやつだってのはみんなも知ってると思う。そんな飛鳥君が何も言わずにただ黙って授業を受けているのって何か変だと思わないか。今になって思えば、それってもっと自分に話しかけて欲しいという飛鳥君なりのアピールだったんじゃないかと思うんだよ。僕の思い過ごしかも知れないし勘違いかもしれない。でも、飛鳥君はきっと助けてくれってサインを送ってたと思うんだ。だからこそ、僕は飛鳥君に何があったのか出来るだけ調べてもらいたいって思うよ。みんなはどうかな」
昌晃君はみんなに自分の思いを伝えると愛華さんとしばらく見つめ合ってお互いに頷いていた。それは二人の考えが一緒だというサインだったと思うのだが、それに同調したのは沙緒莉さんと陽香さんと真弓さんだった。
「私達も愛華ちゃんと昌晃君と同じように調べてもらいたいって思う。でも、一人でもそんな事をしたら飛鳥君が傷付くって思ってる人がいれば反対するよ。私達は飛鳥君の事なんて全然理解してないけどさ、クラスメートとして心配はしてるんだよ。愛華ちゃん達みたいに好奇心じゃないって言いきれないところはあるけどさ、それ以上に心配はしてるんだよ。急にわけわからないことを言いだしたり言葉遣いが乱暴だったりすることはあるけどさ、本当は優しい人だってみんな知ってるよね。だから、飛鳥君にとって一番いい方法で力になりたいって思うんだよ。みさきちゃん、綾乃ちゃん、正樹君、将浩君、あなた達はどう思うの?」
「僕もみさきも何か調べてもらえるならそうした方がいいと思うよ。でも、将浩君がさっき言ってたこともわかるんだよね。飛鳥君が自分の弱みを見せたくないって性格なのは知っているけどさ、それと同時に自分の事を何も知られたくないって思ってるのも知ってるんだよ。学校ではあんまり話したことは無いけどさ、家が近くみたいで時々近所で会ったりすることもあるんだよね。立ち話を少しするくらいの関係でしかないんだけど、飛鳥君は自分の事は何も教えてくれなかったんだ。僕が嫌われてるだけだったらそれまでなんだけどさ、会って話をしている時は嬉しそうに笑ってくれてたと思うんだよな。他人と話すのは好きだけど自分のことは出来るだけ話したくないって事なんだと思うんだけど、そう考えるといつもわけのわからないことを言っているのも本当の自分を隠すためなんじゃないかって思えてきたんだよね。みさきはどう思うかな」
「私も大体は同じ考えだよ。でも、正樹と話している時と昌晃君と話している時を比べたらさ、昌晃君と話をしている時の方が素なんじゃないかなって思う。昌晃君と話している時は意味の分からない変な事ばっかりなんだって思うけど、昌晃君と話している時の飛鳥君の方が自然な笑顔が出てるって思うんだよね。だから、私は昌晃君が思う方が正しいと思うかも。こんなのって自分の意見じゃないよね。ごめんね」
「そんな事ないよ。みさきさんの考えはよくわかったよ。綾乃さんと将浩君はどう思うかな。やっぱり調べない方がいいと思うかな?」
俺と綾乃以外は飛鳥君に何があったか調べてもらう事を希望している。俺も調べてもらった方がいいとは思うんだけど、それをしてしまうと飛鳥君が自分から何も言えなくなってしまうんじゃないかと思ってしまう。俺はそれが一番良くないんじゃないかと思っているのだけれど、みんなの話を聞いていると一概にそうとも言えないんじゃないかと思えてきた。
俺の考えを皆に言うのは綾乃はどう思っているのか聞いてからでも遅くない。
「綾乃はどう思う?」
「私は皆さんの意見もよく理解出来ますし、理解出来ないところもあります。ですが、私個人の意見として、飛鳥さんに何があったのか知って対策を立ててから飛鳥さんが言い出すのを待っても良いと思ってますよ。とっても卑怯な答えかもしれませんが、こちらから動いても飛鳥さんにそれを悟られないようにするのもありかと思います。他の方にはそんなことは出来ないでしょうが、彼女たちなら苦も無くそれを実践してくれると思うのですが、いかがでしょうか?」
「そうだね。綾乃さんの言う通りだよ。飛鳥君の状況を知ったとしてもソレを本人に伝えなければ飛鳥君にとっては誰も知ってないのと同じことなんだよね。あとで飛鳥君に知られたらもっと怒りそうな気もするけどさ、それが一番いい方法な気がしてきたよ。これだったら将浩君も反対はしないよね?」
この場にいる全員の視線が俺に集中していた。こんなに注目されたのは転校してきたとき以来だと思うのだけれど、俺はこの視線に耐えてまで反対することなんて出来ない。それに、綾乃が言っているように知ったとしてもソレを言わなければ飛鳥君にとっては知られていないという事と一緒なんじゃないかと思えてきた。
「うん、わかった。綾乃が言う通りに出来るならそれでいいと思う。飛鳥君が自分から話しだすまでみんなも黙っているって言うんだったら、俺は問題無いと思うよ。でも、何があったとしても絶対に俺達から飛鳥君に知っているという事を悟られたらダメだからね」
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