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第16話 怪しい二人
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「あの、お二人の考えは素晴らしいものだと思うんですけど、ボクとしては命をそんなに軽く考えない方がいいんじゃないかなって思うんですよ。生き返ることが出来るって言うのがあったとしても、みんなやっぱり死ぬのは怖いんじゃないかなって思うんです」
「確かに、私たちは命を軽く見過ぎているのかもしれないね」
「なるほど、珠希ちゃんの言う通りかもしれないな。この学校にいると死んでも生き返るのが当たり前だと思ってしまっているのだけど、それはどう考えても普通ではないんだよね。長いことこの学校にいるとそんな事も忘れてしまうんだね」
「それでも、やはり私たちは死ぬことを前提に作戦を練らなくてはいけないんだよ。数で優っているという利点を生かすにはソレが一番だと思っているからね。レジスタンスみたいに連携が取れていると自爆特攻なんてやらなくてもいいんだけど、サキュバスの性質上どうしても他人と連携をとるというのは難しいんだよ。私たちがこうして学校に通っているのも社会性を学ぶためという事もあるんだよ」
「私たちと違ってサキュバスは一緒にいればいるほど他者と関わらないようになるもんね。普通の人間だったら仲間の癖を理解してより良い関係を築こうと思うところを、サキュバス達は自分の強みを生かすことしか考えていないところもあるよね。うまなちゃんみたいに何でも出来るサキュバスを見ているからってのもあるんだろうけど、他の生物と比較してもうまなちゃんは最も完成された生き物と呼んでも過言ではないと思うかな」
栗鳥院柘榴に褒められている事もあって栗宮院うまなは機嫌も良くなっていた。
戦況が膠着したまま今日の抗争が終わりを迎えようとしているのだが、それに関しては特に何も思うところはないようだ。
「そろそろ今日の授業も終わるし、あの子たちの反省会に参加してこないとね。高校生になって最初の戦闘で感じたこともあるだろうし、ちょっと楽しみだな」
「反省会?」
「珠希ちゃんは抗争に参加することが無いからわからないと思うけど、抗争は授業が終わるまでの時間に限るって決められているんだよ。サッカーとかラグビーみたいに終了時刻が決まってるんだけど、どうしても勝負を付けたいってときは三十分に限って延長が認められているんだ。今回は三十分じゃ決着もつかないと思うんで延長は無いと思うんだけどね。延長が無い分、今回の戦闘で感じた改善点や反省点なんかを話し合ったりするんだよ。私とうまなちゃんがその会議に参加することになってるんだけど、珠希ちゃんが興味あるんだったらどっちかに参加してもいいんだよ。どっちかに肩入れするって事じゃなくて、どんな感じなのか見に行くってだけの話だから深く考えなくても大丈夫だからね」
「そんな簡単に誘っちゃダメだよ。珠希ちゃんがどっちかについちゃうって事になったら大変なことになっちゃうかもしれないからね。一年生の子たちが勘違いしちゃうかもしれないでしょ」
「そうだよ、会長もうまなちゃんも自分が何でも出来るからって気軽にとんでもないことをやりがちなんだよ。どうせこの後の報告会でもとんでもないアドバイスをして明日の午前中には勝負を付けようって思ってるでしょ。そんなのは一年生の子たちにとって良くないんですからね」
「おやおや、私たちは何故か怒られちゃってるみたいだね」
「私たちは単純に頑張ればできることを教えてあげようと思ってるだけなんだけどね」
「うまなちゃんと会長が簡単に出来るってだけで、誰にでも簡単に出来るわけじゃないってのを理解してくださいよ」
「去年も二人が考えた作戦のせいで初日に七割の戦力を失ったんですからね。しかも、一列に並んで最高火力の攻撃をするっていうバカな作戦のせいで味方の方が被害が大きいって最高に頭が悪い作戦ですよ」
「いや、攻撃をするときが一番無防備になるんだから防御を固めておくものでしょ。それを怠っていたあの子たちに問題があると思うんだけど」
「その考えは間違っていないと思いますけど、それが出来るのはうまなちゃんと会長だけですよ。そもそも、校舎内で最高火力の攻撃をしたところで効果なんてほとんどないんですけどね。守る事よりも攻める事の方が楽しいってのは理解出来ますけど、戦闘ってそんな単純なコトで勝てるわけないんだっていい加減理解してくださいよ」
「それは理解してるって、あくまで校内で行われる抗争の時だけの戦い方なんで大目に見てよ。ほら、本番の時はちゃんと戦力も理解して戦況も把握して完璧に撃退してたでしょ。だから大丈夫だって」
「普段と違う事を本番でやって現場は混乱してたの覚えてますよね?」
「そうだったかな。多少は混乱してたってところもあったかもしれないけど、こちらに死者は出てなかったから結果的には良かったって事でいいんじゃないかな」
イザーと鈴木愛華は同時に大きなため息をついてから栗宮院うまなと栗鳥院柘榴に対して詰め寄っていた。
「それはうまなちゃんが誰も実行出来ないような作戦を立てて一人で突っ込んでいったからだよね。レジスタンス側の入り口でも会長が同じことやってたみたいですけどね。うまなちゃんと会長のせいで、定期的に襲ってきてた外敵も襲ってこなくなってるんだよ」
「会長が普段は専守防衛を徹底しているみんなに総攻撃の命令を出して混乱させたの忘れたとは言わせませんよ。自分から攻める事なんてほとんどない私たちがどうしたらいいのか迷ってるときに、会長は一人で勝手に戦って相手を全滅させてたんですからね。滅多にない外敵の襲来もそれを最後に一年以上ないんですからね」
工藤珠希の知らないことがあまりにも多すぎるのだが、そもそもがサキュバスの存在する学校と言う時点で普通ではないと諦めるべきなのかもしれない。
そんな状況の工藤珠希とは違い、工藤太郎はその全てを受け入れて理解しているのであった。
「確かに、私たちは命を軽く見過ぎているのかもしれないね」
「なるほど、珠希ちゃんの言う通りかもしれないな。この学校にいると死んでも生き返るのが当たり前だと思ってしまっているのだけど、それはどう考えても普通ではないんだよね。長いことこの学校にいるとそんな事も忘れてしまうんだね」
「それでも、やはり私たちは死ぬことを前提に作戦を練らなくてはいけないんだよ。数で優っているという利点を生かすにはソレが一番だと思っているからね。レジスタンスみたいに連携が取れていると自爆特攻なんてやらなくてもいいんだけど、サキュバスの性質上どうしても他人と連携をとるというのは難しいんだよ。私たちがこうして学校に通っているのも社会性を学ぶためという事もあるんだよ」
「私たちと違ってサキュバスは一緒にいればいるほど他者と関わらないようになるもんね。普通の人間だったら仲間の癖を理解してより良い関係を築こうと思うところを、サキュバス達は自分の強みを生かすことしか考えていないところもあるよね。うまなちゃんみたいに何でも出来るサキュバスを見ているからってのもあるんだろうけど、他の生物と比較してもうまなちゃんは最も完成された生き物と呼んでも過言ではないと思うかな」
栗鳥院柘榴に褒められている事もあって栗宮院うまなは機嫌も良くなっていた。
戦況が膠着したまま今日の抗争が終わりを迎えようとしているのだが、それに関しては特に何も思うところはないようだ。
「そろそろ今日の授業も終わるし、あの子たちの反省会に参加してこないとね。高校生になって最初の戦闘で感じたこともあるだろうし、ちょっと楽しみだな」
「反省会?」
「珠希ちゃんは抗争に参加することが無いからわからないと思うけど、抗争は授業が終わるまでの時間に限るって決められているんだよ。サッカーとかラグビーみたいに終了時刻が決まってるんだけど、どうしても勝負を付けたいってときは三十分に限って延長が認められているんだ。今回は三十分じゃ決着もつかないと思うんで延長は無いと思うんだけどね。延長が無い分、今回の戦闘で感じた改善点や反省点なんかを話し合ったりするんだよ。私とうまなちゃんがその会議に参加することになってるんだけど、珠希ちゃんが興味あるんだったらどっちかに参加してもいいんだよ。どっちかに肩入れするって事じゃなくて、どんな感じなのか見に行くってだけの話だから深く考えなくても大丈夫だからね」
「そんな簡単に誘っちゃダメだよ。珠希ちゃんがどっちかについちゃうって事になったら大変なことになっちゃうかもしれないからね。一年生の子たちが勘違いしちゃうかもしれないでしょ」
「そうだよ、会長もうまなちゃんも自分が何でも出来るからって気軽にとんでもないことをやりがちなんだよ。どうせこの後の報告会でもとんでもないアドバイスをして明日の午前中には勝負を付けようって思ってるでしょ。そんなのは一年生の子たちにとって良くないんですからね」
「おやおや、私たちは何故か怒られちゃってるみたいだね」
「私たちは単純に頑張ればできることを教えてあげようと思ってるだけなんだけどね」
「うまなちゃんと会長が簡単に出来るってだけで、誰にでも簡単に出来るわけじゃないってのを理解してくださいよ」
「去年も二人が考えた作戦のせいで初日に七割の戦力を失ったんですからね。しかも、一列に並んで最高火力の攻撃をするっていうバカな作戦のせいで味方の方が被害が大きいって最高に頭が悪い作戦ですよ」
「いや、攻撃をするときが一番無防備になるんだから防御を固めておくものでしょ。それを怠っていたあの子たちに問題があると思うんだけど」
「その考えは間違っていないと思いますけど、それが出来るのはうまなちゃんと会長だけですよ。そもそも、校舎内で最高火力の攻撃をしたところで効果なんてほとんどないんですけどね。守る事よりも攻める事の方が楽しいってのは理解出来ますけど、戦闘ってそんな単純なコトで勝てるわけないんだっていい加減理解してくださいよ」
「それは理解してるって、あくまで校内で行われる抗争の時だけの戦い方なんで大目に見てよ。ほら、本番の時はちゃんと戦力も理解して戦況も把握して完璧に撃退してたでしょ。だから大丈夫だって」
「普段と違う事を本番でやって現場は混乱してたの覚えてますよね?」
「そうだったかな。多少は混乱してたってところもあったかもしれないけど、こちらに死者は出てなかったから結果的には良かったって事でいいんじゃないかな」
イザーと鈴木愛華は同時に大きなため息をついてから栗宮院うまなと栗鳥院柘榴に対して詰め寄っていた。
「それはうまなちゃんが誰も実行出来ないような作戦を立てて一人で突っ込んでいったからだよね。レジスタンス側の入り口でも会長が同じことやってたみたいですけどね。うまなちゃんと会長のせいで、定期的に襲ってきてた外敵も襲ってこなくなってるんだよ」
「会長が普段は専守防衛を徹底しているみんなに総攻撃の命令を出して混乱させたの忘れたとは言わせませんよ。自分から攻める事なんてほとんどない私たちがどうしたらいいのか迷ってるときに、会長は一人で勝手に戦って相手を全滅させてたんですからね。滅多にない外敵の襲来もそれを最後に一年以上ないんですからね」
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