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マーちゃん中尉試練の七番勝負開幕
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栗宮院うまな中将がいない初めての週末はマーちゃん中尉にとって楽しい時間とはならなかった。イザー二等兵が近くにいる時は平和な時間となっているのだが、イザー二等兵が入隊試験のために試験会場へ行っているときはずっと栗鳥院松之助とその一味がマーちゃん中尉のそばにずっと張り付いているのだ。特に何をしてくるわけでもないのだが、イザー二等兵が戻ってくるまでずっと近くに栗鳥院松之助一団がいることでストレスを感じていたのだ。
何か言いたいことがあるなら言ってほしいと思ってマーちゃん中尉が話しかけても無視をされてしまうし、イザー二等兵に頼んで話を聞いてきてもらおうとしてもイザー二等兵が戻ってきた時には栗鳥院松之助達は姿を消しているのだ。
「そんな事があるんだ。マーちゃんが松之助に好かれてるってことかもしれないね。ほら、男子って好きな子にちゃんと思いを伝えられないって言うし、そんな感じなんじゃないかな」
「さすがにそれはないでしょ。俺もあいつも男同士なんだよ」
「それは価値観が古いよ。今の時代は見た目の性別なんて気にしてたらダメだって。そんな考えだと真実の愛を見逃してしまうかもしれないよ」
「そんな愛が真実の愛だったら俺はまがい物の愛でいいよ。そんなこと言ってるイザーちゃんは真実の愛とやらは見つけてるのかな?」
「そういう発言はセクハラになるから言わない方が良いよ。いくらマーちゃんでも節度をもって付き合ってほしいかな。ほら、親しき中にも礼儀ありって言うでしょ。でもね、私はうまなちゃんの事は好きでも真実の愛とは呼べるようなモノじゃないかも。同じ釜の飯を食った戦友的な愛情かな。あ、マーちゃんの事は別にそういうの感じてないから。勘違いしないでね。同じ部隊にいるただの知り合いって感じかな。友達でも家族でも恋人でもないただの仲間って存在かも」
イザー二等兵が自分に対して恋愛感情を抱いているとは思っていなかったマーちゃん中尉ではあったが、そこまでハッキリ言われてしまうと逆に今後の付き合いが楽になったように思えた。
今日のエキシビジョンマッチをどうしようか考えているタイミングで栗鳥院松之助とその一行がマーちゃん中尉達のもとへとやってきた。なぜかその後ろにはカメラクルーもそろっていたので撮影もしているようだ。
「栗宮院うまな中将がいなくて困っているようだね。うんうん、今後のエキシビジョンマッチをどうしたらいいのか決まらなくて困っているのか。そうかそうか、入隊試験の受験者は栗宮院うまな中将がビデオメッセージで送ってくれているから問題ないんだね。でも、その後に行うエキシビションマッチは君たち二人で決めないといけないという事で困っているのか。毎回毎回君たち二人が同じような戦いをしていては見ている方も飽きてしまうというモノだもんな。よし、そこまで困っているのだったら、この栗鳥院松之助が君たちに力を貸してあげようじゃあないか」
突然の出来事に驚いて言葉も出ないマーちゃん中尉ではあった。イザー二等兵も少し驚いていたようではあるのだが、勝手に入ってきた栗鳥院松之助とその一味に向かって怒ってもいるようだった。
「あの、勝手に入ってくるのも非常識だと思うんですけど、それ以上にカメラを回してるのってどうなんですか。私たちはあなた方に撮影していいなんて許可は出してないんですけど。水城アナウンサーも宇藤さんもそんなことをしたらダメだってわかっててやってるんですよね?」
イザー二等兵の言葉を聞いて驚いた表情を浮かべたのは水城アナウンサーと宇藤さんであった。栗鳥院松之助とその一味は二人と目を合わせないように視線を外しているのだが、水城アナウンサーに肩を掴まれた栗鳥院松之助は至近距離に相手がいるのにもかかわらず目を合わそうとしなかった。
「ちょっと待ってくださいよ。私たちはマーちゃん中尉の許可を得ているという事でここにカメラを持ってやってきたんですよ。それなのに、許可をとってないってどういうことですか。栗鳥院松之助さんと言えどもさすがにそれは良くないと思いますよ」
「いや、これは三番隊副隊長補佐として許可してるから問題ないことだし。そっちだって今後のエキシビションマッチについて話し合いをするって言ったら嬉しそうについてきたじゃない」
「そんなのついていくに決まってるじゃないですか。誰だって気になるところですからね。松之助さんからそんな話が出てくるって事は三番隊が絡んでるのかなって思っちゃいますよ。でも、その辺も話はついてなかったって事なんじゃないですか?」
話の流れを何となく掴んだマー君中尉ではあったが、先に反応したのはイザー二等兵だった。全てを理解したとでもいうような表情をマーちゃん中尉に見せてから栗鳥院松之助に説明を求めていた。
「わかりました。松之助さんが私たちのために力を貸してくれるという事なんですね。それならこちらも協力させていただきますよ。一つ確認させていただきたいのですが、来週から松之助さんが選んだ人たちとマーちゃん中尉が勝負をするという事で間違いないですよね?」
イザー二等兵の言葉を聞いてゆっくりと頷く栗鳥院松之助。そして、固い握手を交わす二人。そんな二人を魂が抜けたかのように脱力したまま見つめていたマーちゃん中尉ではあったが、この週末こそは平穏無事に何事もなく過ごしておこうと心に誓ったのだった。もしかしたら、週明けにはうまなちゃんが帰ってきてこの話がなかったことになるという事にも期待はしていたのであった。
何か言いたいことがあるなら言ってほしいと思ってマーちゃん中尉が話しかけても無視をされてしまうし、イザー二等兵に頼んで話を聞いてきてもらおうとしてもイザー二等兵が戻ってきた時には栗鳥院松之助達は姿を消しているのだ。
「そんな事があるんだ。マーちゃんが松之助に好かれてるってことかもしれないね。ほら、男子って好きな子にちゃんと思いを伝えられないって言うし、そんな感じなんじゃないかな」
「さすがにそれはないでしょ。俺もあいつも男同士なんだよ」
「それは価値観が古いよ。今の時代は見た目の性別なんて気にしてたらダメだって。そんな考えだと真実の愛を見逃してしまうかもしれないよ」
「そんな愛が真実の愛だったら俺はまがい物の愛でいいよ。そんなこと言ってるイザーちゃんは真実の愛とやらは見つけてるのかな?」
「そういう発言はセクハラになるから言わない方が良いよ。いくらマーちゃんでも節度をもって付き合ってほしいかな。ほら、親しき中にも礼儀ありって言うでしょ。でもね、私はうまなちゃんの事は好きでも真実の愛とは呼べるようなモノじゃないかも。同じ釜の飯を食った戦友的な愛情かな。あ、マーちゃんの事は別にそういうの感じてないから。勘違いしないでね。同じ部隊にいるただの知り合いって感じかな。友達でも家族でも恋人でもないただの仲間って存在かも」
イザー二等兵が自分に対して恋愛感情を抱いているとは思っていなかったマーちゃん中尉ではあったが、そこまでハッキリ言われてしまうと逆に今後の付き合いが楽になったように思えた。
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「栗宮院うまな中将がいなくて困っているようだね。うんうん、今後のエキシビジョンマッチをどうしたらいいのか決まらなくて困っているのか。そうかそうか、入隊試験の受験者は栗宮院うまな中将がビデオメッセージで送ってくれているから問題ないんだね。でも、その後に行うエキシビションマッチは君たち二人で決めないといけないという事で困っているのか。毎回毎回君たち二人が同じような戦いをしていては見ている方も飽きてしまうというモノだもんな。よし、そこまで困っているのだったら、この栗鳥院松之助が君たちに力を貸してあげようじゃあないか」
突然の出来事に驚いて言葉も出ないマーちゃん中尉ではあった。イザー二等兵も少し驚いていたようではあるのだが、勝手に入ってきた栗鳥院松之助とその一味に向かって怒ってもいるようだった。
「あの、勝手に入ってくるのも非常識だと思うんですけど、それ以上にカメラを回してるのってどうなんですか。私たちはあなた方に撮影していいなんて許可は出してないんですけど。水城アナウンサーも宇藤さんもそんなことをしたらダメだってわかっててやってるんですよね?」
イザー二等兵の言葉を聞いて驚いた表情を浮かべたのは水城アナウンサーと宇藤さんであった。栗鳥院松之助とその一味は二人と目を合わせないように視線を外しているのだが、水城アナウンサーに肩を掴まれた栗鳥院松之助は至近距離に相手がいるのにもかかわらず目を合わそうとしなかった。
「ちょっと待ってくださいよ。私たちはマーちゃん中尉の許可を得ているという事でここにカメラを持ってやってきたんですよ。それなのに、許可をとってないってどういうことですか。栗鳥院松之助さんと言えどもさすがにそれは良くないと思いますよ」
「いや、これは三番隊副隊長補佐として許可してるから問題ないことだし。そっちだって今後のエキシビションマッチについて話し合いをするって言ったら嬉しそうについてきたじゃない」
「そんなのついていくに決まってるじゃないですか。誰だって気になるところですからね。松之助さんからそんな話が出てくるって事は三番隊が絡んでるのかなって思っちゃいますよ。でも、その辺も話はついてなかったって事なんじゃないですか?」
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