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第二部

第二部最終話 うまなとイザーとやつれた男

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 二人が再会した時にはけたたましく蝉が鳴いていたと思うのだが、今は外の景色もすっかりと白くなっていた。この地特有の現象なのか、昨日まで暑かったと思っていたら翌朝には雪が積もっているという事も頻繁に起きていたのだ。当然、その逆もまた然りである。
「アスモちゃんはまだ寝ちゃってるのかな?」
「うん、昨日もちょっとやり過ぎちゃったみたいで今もぐっすりと眠ってるよ。今日はさすがにイザーちゃんもアスモ君を休ませてあげるんだよね?」
「そうしたいのはやまやまなんだけどさ、昨日の晩に聞こえてきたうまなちゃんの雄叫びにも似た喘ぎ声を聞いてたら私もちょっと試したいことが出来ちゃったんだよね。うまなちゃんが何をしてたかはわからないけど、声だけ聴いてたら色々と想像して面白いことを考えちゃったんだよね」
「ええ、何それ。ちょっと恥ずかしいけど気になるかも。ねえ、今日だけ見に行ってもいいかな?」
「ダメだよ。覗きはしないって二人で決めたでしょ。その約束を守ることだけが先生との決め事でもあるんだからね。それを破ったら私たちはアスモちゃんと離れ離れになっちゃうんだってわかってるのかな?」
「わかってはいるけどさ、やっぱりアスモ君とイザーちゃんがどんなことをしているのか気になっちゃうんだよ」
 先生が用意したこの家は三人で住むには少し手狭ではあるが、基本的に魔王アスモデウスは栗宮院うまなかイザーと一緒に過ごしているので問題はなかった。ただ、問題があるとすれば魔王アスモデウスが起きている間はどちらかが体を求めてくるという事だけだ。そんな魔王アスモデウスはいつの間にか身を守るために冬眠にも似た睡眠方法を会得していたのである。
「それにしてもさ、アスモ君って良く寝るようになったよね。私たちが起こさなかったら一週間以上も寝たままになっちゃうってのも驚いたよね」
「そうだね。でも、普通の人間はそんなに寝ることが出来ないと思うんだ。もしかしたら、先生がアスモちゃんの体の事を気遣ってそんな風にしたのかもね。やっぱりうまなちゃんが激しく求めすぎてるから先生も色々と考えてしまってるのかもよ」
「イザーちゃんだって強制的に射精させる手コキってのを面白がって何回も試してたでしょ。次の日のアスモ君のオチンチンが赤くなって大変だったんだからね。アレはあんまりやらない方が良いと思うよ」
「あの時しかやってないよ。だって、あの後はアスモちゃんのチンチンが勃起しなくなっちゃったからね。回復するまで半日くらい無駄な時間を過ごしちゃったからね。そんなに待つことになるんだったら最初にしないで最後に試してみたらよかったかもね」
「ちょっと、そんなことしたら私の時にアスモ君のオチンチンが大きくならないじゃない。そんなことしたらイザーちゃんが相手でも容赦しないからね」
「冗談だって、そんなことしないよ。アスモちゃんの事は二人で楽しむって決めてるんだからね。でも、今までずっと見てきただけの事も大体はやりつくしたんじゃないかな。他に何かやり残したことってあるかな?」
「アスモ君が他の人達としてたことは大体同じことやったと思うんだけど、アスモ君と知り合う前に見てたことはまだやってないかな。イメージプレイとかちょっとおもしろそうだなって思うよ。ほら、この世界にない職業でもアスモ君がもともといた世界にはある職業のロールプレイとかしたら面白いんじゃないかな」
「それは面白そうだね。でも、それの用意するのとか大変そうじゃない?」
「大変だとは思うけど、先生ももともとアスモ君と同じ星出身だし何とかなるんじゃないかな。私たちの知らない仕事とか学校の事とかいろいろと教えてもらういい機会になるかもしれないよ」
 サキュバスでも考えないような恐ろしいことをサラッと行っていた二人ではあるが、今以上に魔王アスモデウスの体をもてあそぼうと計画をしているのである。一人で何も気づかずに寝ている魔王アスモデウスの体が心配ではあるが気持ちよさそうに寝ているので起こして逃がすのもかわいそうだと思ってしまう。と言っても、栗宮院うまなとイザーの手から魔王アスモデウスを逃すことなどほぼ不可能なのである。ただ一つだけある逃げる手段というのは先生の協力を仰ぐことなのだが、先生はそんなことを絶対にすることはないのだ。魔王アスモデウスのために先生が何かをするという事はほぼあり得ないと思って間違いないのだ。
「じゃあ、これからもう少しだけアスモ君の体を使って楽しいことをしていかないとね」
「そうだね。夏の終わりくらいまでみんなに隠れて良いことしてようか」
「でも、さすがにいつも同じようにするってのは飽きちゃうかもしれないし、先生に頼んで私とイザーちゃんの二人でアスモ君の相手を出来るようにしてもらうのもいいかもしれないね」
「それはいい考えだと思う。さっそく先生に連絡してこようかな」

 男の夢を叶えたと言える状況にいる魔王アスモデウスではあったが、それと同時にこの世の地獄も味わってしまっているのかもしれない。
 どんなに強くても自分より圧倒的に強い相手の前では何も抵抗することが出来ないのだ。自分より圧倒的に強い人物が二人もいるのであれば逃れることなど叶わぬ夢だと悟ってしまったのだろう。
 魔王アスモデウスと栗宮院うまなとイザーの淫靡で過激な時間は永遠に続いていくのかもしれない。だが、それを私たちは見ることは出来ないのだ。
 少なくとも、全年齢に向けて公表されるべき事象ではないという事なのである。
 以前よりも体が細くなっている魔王アスモデウスが目を覚ましたのだが、その瞳の奥には以前よりも強い光が灯っているように見えていたのであった。
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みんなの感想(1件)

penpen
2022.04.20 penpen

性魔王?

釧路太郎
2022.04.20 釧路太郎

penpen様 感想ありがとうございます

完結するまで読んでいただけるとありがたいです
性に貪欲な魔王になると思います

解除
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