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第二部

第六話 天才科学者とお姉さん ボーナスステージ後編

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 触られるのが好きなのかと思えば触られるのを拒否されてしまう。直接触るのがダメなのかと思えば耳を触るのは催促されている。カルナの考えが分からないまま恐る恐るいろいろな部分を触って確かめてわかったことが一つだけある。それは、普段から見えている部分は触っても平気だという事だ。
 耳や頭を触るのは平気なのにうなじを触られるのは嫌みたいだし、手を握るのは大丈夫なのに二の腕を触ろうとすると拒否されてしまう。見えない部分を触るのはダメだという事なのだが、そうなるとこれから先をどうしたらいいのだろうかと思ってしまう。
「カルナは触られるの嫌なのかな?」
「嫌じゃ、ないですけど、恥ずかしいです」
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。これから俺がカルナに何をするかわかってるよね?」
「なんとなくはわかってますけど、やっぱり恥ずかしいです。人前で服を脱ぐ経験がないのでどうしたらいいのかわからないんです」
「人前で脱いだことがない?」
 全く想像もしていなかったのだけど、恥ずかしがり屋もここまでくると本物だと感心してしまった。世の中にはいろいろな趣味の人がいるしそれは理解しているつもりなのだけど、今まで人前で一度も服を脱いだことがないというのは予想が出来なかった。というよりも、そんなことが可能なのだということに驚かされてしまった。
 そうなると、俺が責める場所も限定されてしまうことになるな。服を脱がずに最後までできるのかという問題があると思うのだが、カルナが履いているのはかなりタイトなパンツスーツなので脱がさずに挿入するというのは不可能だろう。挿入するだけだったら可能かもしれないけれど、その状態で上手に動けるとは思えないのだ。制限された動きで満足させろという圧力なのかもしれないが、少しだけその問題に対する政界のヒントが欲しいと思ってしまった。
「服を脱がないってのはカルナの考えだとして、脱がずにどうすればいいのかな?」
「あの、このまま抱き合って寝るだけじゃ、ダメですよね?」
「まあ、最後までしたいって気持ちはあるけど、カルナがそっちでいいって言うんだったらそうするよ。でも、カルナはそれでいいのかな?」
 困った顔で俺を見つめてくるカルナは本当に迷っているようだ。青海青梅が俺とどんなことをしていたか話くらいは聞いていると思う。お互いにとってそれは悪い話ではないと思うけれど、貞操観念という観点から見てみるとカルナにとっては良くない話だったという可能性もあるのだ。
「良いとか悪いとかじゃなくて、私はどうしたらいいんですか。青海青梅姉さんの話を聞いて興味自体はあるんですけど、怖いって思いもあるんです。私、男性との経験って無いんでどうしたらいいのかがわからないんです」
「男性との経験って事は、女性とは経験があるって事なのかな?」
 ちょっとだけ意地悪な聞き方をしてしまったかもしれないな。こんな風に聞いたところで女性との経験も無いって言われるのが関の山だろう。女性同士が好きな人も多くいると思うけれど、どう考えてもそういう事ではないんだろうな。
「はい、女性としかエッチなことはしたことないんです。男の人に誘われたこともあるんですけど、服を脱ぐことが出来ないんでどうしてもその期待に応えられないんですよ」
「え、マジで?」
 この世界に来てから一番間の抜けた顔をしていた自覚がある。それくらい驚いてしまっていた。いや、これは本当の事なのか確かめる必要があるんじゃないか。そう思って色々と質問してみることにしよう。
「女性同士で経験があるって事は、女性の前だと服を脱ぐのも平気だって事なのかな?」
「いえ、女性の前でも恥ずかしいです。家族の前だったら平気かもしれないですけど、私にはもう家族と呼べる関係の人はいないですから」
「でも、紐畔亭羊仗や三賛斎青海青梅は家族って呼べる存在じゃないの?」
「家族ではないと思います。羊仗先生も青海青梅姉さんも他の子たちもみんないい人だとは思うんですが、家族と呼べるほど繋がりを持ててないと思うんですよ。私が臆病だからみんなと打ち解けられていないってだけの話なんですけど」
「俺は青海青梅と打ち解けられたと思うんだけどな。俺の独りよがりかもしれないけどさ」
 なんて軽口をたたいてみたんだけど、カルナは俺の予想に反して目を輝かせて近づいてきた。その行動がまるで小さな子供みたいで愛おしく感じてしまっていたのだ。
「あの、それってどうやったら出来たんですか。私も青海青梅姉さんと打ち解けたいって思ってるんですけど、いざ青海青梅姉さんの前に行くと緊張して思ってることの半分も伝えらえないんです。どうやったらそんな風に打ち解けられるようになるんですか?」
「どうやったらって言われてもな。俺がしたことなんて青海青梅を満足させたことくらいだからな。それ以上でもそれ以下でもないと思うよ」
「ええ、それだけですか。それだけでいいんだったら、私も青海青梅姉さんと家族になってるって言ってもいい事になるんですけど。青海青梅姉さんの弱いところって全部知ってると思うんでアスモさんと話が合うかもしれないですね」
「でも、カルナは服を脱がないのにそういう事って出来ちゃうわけ?」
「出来ますよ。私が脱がなくても青海青梅姉さんをきもちよくさせることは出来ますからね。それに、羊仗先生が作ってくれた小型のオモチャもたくさんありますから。刺激が強すぎてあんまり長時間は出来ないですけどね。気持ち良すぎてたくさん出ちゃうこともあったりしますから」
「たくさん出るって、何が?」
「そんな恥ずかしいこと言わせないでくださいよ。言わなくてもわかってるくせに」
 まあ、わかってはいるんだよ。わかってるのに言ってもらいたい時だってあるよね。カルナの口から何が出るのか言ってもらいたいだけなんだ。
「あれ、ズボンをはいたままでイっちゃったらズボンがビショビショになっちゃうんじゃない?」
「羊仗先生が作ってくれたこのパンツとパンツは吸水性がとんでもないんで大丈夫ですよ。どんだけ噴いても安心なんです。って、何言ってんだろ、私」
 顔を真っ赤にしたカルナは俺と目を合わせることが無くなってしまった。でも、そんなに吸水性が凄いんだったら洗濯をするときはどうするんだろうと思ってしまったのは内緒にしておこう。
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