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藍那とボーナスステージ 後編

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 俺は何度もイキそうになっていた。たぶん、俺が普通にイクことが出来たのならばこの短時間ですでに干からびるくらいイっていたのだと思う。だが、俺はイキそうになるとその感覚がリセットされてしまうのだ。それは相手が限界まで達して初めて無かったことになるのだ。それまでは何度も何度も俺はイキそうになるという感覚だけを味わい続けていた。正直に言って、頭がおかしくなってしまいそうになっていた。

「魔王アスモさんって本当に何やってもイかないんですね。本当にそうなのか疑問だったんですけど、口でしても手でしごいても足でやってもイかないですよね。もしかして、私の中に入れたいってやつですか?」
「今はそんな事を考えられない。俺に何かしようとするんじゃなくて、俺の好きなようにさせてくれ」
「それって、私に入れたいって事と違うんですか?」
「全然違う。俺の事は責めなくていい。俺に一方的に責めさせてくれ」
「そんなこと言って、私を満足させることなんて出来ると思ってるんですか?」
「それは分かんないけど、このままだと俺の頭がおかしくなりそうなんだよ。だから、俺に責めさせてくれって」
「なんか、さっきまでの冷静さも落ち着きも無くなってますね。映像で見てた魔王アスモさんってもっと余裕があったような気がしたんですけど、今の魔王アスモさんは余裕のかけらも無いですよね。そんなんで私を満足させることなんて出来るんですかね。私はそれが気になっちゃいますよ。でも、少しくらいなら試してもらってもいいかも」

 藍那は喋りながらも俺のモノを舐めてみたり手でしごいていたのだけれど、俺の頼みを聞いてそれらの行動をやめてベッドに横になってくれた。俺は何度もイキそうになって頭がぼーっとしていたのだが、それを何とかこらえて藍那の横に寝そべった。そのまま俺は藍那の頭の下に手を滑り込ませて抱き寄せると、そのまま強く抱きしめた。俺はとにかく落ち着くことが出来るまでは藍那の体を抱きしめていた。普段なら抱きしめていても何かしらいやらしいことを考えてしまうのだが、今の俺はずっとイキそうな感覚を味わい続けていたという事もあって抱き合っているというだけで落ち着くことが出来ていたのだ。
 それは藍那も同じだったようで、今までは自分が満足出来ないためさっさと終わらせていたようなのだが、俺にはそれが通用しなかったという事もあって少しだけ受け身になりかけていたそうだ。でも、受け身になっているとはいえ責めて終わらせてしまおうという考えはあったらしく、俺が責めだしたらすぐに反撃を開始しようとしてたと後で聞いたのだ。俺はこれを聞いた時にただ抱きしめるだけで何もしなかった自分を心から偉いと思ってしまった。

 抱き合っているだけの時間が長くなっていくと、お互いに心境にも変化は現れてくるようで、藍那は自分の体と俺の体の間に入れていた手をそっと抜くと、俺の頭を優しく撫でてくれた。その行動になんの意図があるのかはわからないが、俺も同じように藍那の頭を撫でてあげることにした。驚いたような表情を見せてきた藍那ではあったが、俺の手の動きに合わせて嬉しそうに頭を動かしている姿はまるで小さな子供のようにも見えていた。

「魔王アスモさんの責めって、こんなに優しかったでしたっけ?」
「俺はいつも優しいと思うよ。優しくなかった時なんて無かったと思うけどね」
「そんな事ないと思いますよ。私が見てた時は相手が無理だって言ってるのに魔王アスモさんはやめようとしなかったですからね。あれ、それってさっき私がやってた事と何も変わらないのかもしれないですね。ずっと責められ続けるのってどんな感じだったんですか?」
「正直言うとさ、頭がおかしくなるかと思ったよ。今も若干そんな風に思うところはあるんだけどね。でも、不思議な事にこうしてお前を抱きしめていると落ち着いてくるんだよね。今までこんな気持ちになったことは無かったかもしれないな」
「へえ、そうなんですね。でも、私もこうして魔王アスモさんに抱きしめられてるのって嫌じゃないかもです。終わった後にこうして抱きしめられてるのを見ると羨ましいなって思ってたんですけど、私がお相手をする人ってみんな疲れ果てて眠っちゃってたんですよね。それも、私が満足する前に終わっちゃうんで不完全燃焼なんですよ」
「じゃあ、俺が頑張ってお前を満足させてあげるよ。出来る限りのことはするけど、必ず満足出来るかはわからないけどね」

 俺は藍那から離れると、藍那の腰を浮かせて履いていたパンツを脱がせた。そこにはあまり手入れのされていない自然な感じの庭が広がっていたのだが、そこまで面積も広いわけではないのでほとんどの部分が隠れずに見えていた。俺がいつものように優しく触っていると、藍那の体が少しずつビクンビクンと反応をし始めた。

「あれ、おかしいな。魔王アスモさんに触られるのって、気持ちいいです。今までの誰よりも気持ちいいです」
「気持ち良いなら良かった。そのまま俺に身も心も委ねてね。そうすればきっと大丈夫だからさ」

 俺はそのまま顔を藍那の股の所まで移動させると、息がかかる程度の距離まで近付いてみた。ちょっとだけ指で開いてみたのだけれど、藍那の中は俺が思っているほど濡れてはいなかった。わずかにしっとりとして入るのだけれど、それは気持ちいいからとかではなく最初からそうだったのだろうというような濡れ方ではあった。
 今の状況で指を入れても気持ちいいよりも痛いという事の方が勝ってしまいそうなので、俺はもう少し指を使って刺激をしていったのだが、藍那の状況は一切変わることが無かった。俺のテクニックがどうとかいう問題ではないと思うのだが、藍那にとって気持ちいいばよというのが本当にここなのかという疑問だけは残ってしまった。

「魔王アスモさんの指って、とっても気持ち良いんです。凄く気持ち良いんです。でも、今のままだと私はイケないんです。イキそうなのにイケないんです」
「それって、俺と同じような状況って事?」
「微妙に違うと思いますよ。魔王アスモさんの場合はイキそうになってもそれを止めてるって感じだと思うんですけど、私の場合はイキそうになると時間の流れが変化して快感の波がおさまるまで動かなくなっちゃうんです。魔王アスモさんの指は気持ち良いんですけど、やっぱり動いてくれなくちゃその良さも無くなっちゃうんですよ。私が気持ち良くなっていってもすぐに時間が止まったかのように魔王アスモさんが動かなくなっちゃうんですよ。自分でやってるとそうでもないんですけど、やっぱり時間の流れが遅くなってるようには感じるかもしれないです」
「それをどうにかすればお前も気持ち良くなれるって事か。難しそうだけど何とかしてみようと頑張ってみるよ」

 俺には時間を操る能力も魔法もないのだけれど、何とかなるんだろうという確信はあった。今までもどんな強敵だって何の苦労もなく倒してきたし、サキュバスだってイかせることが出来たんだ。そんな奴らの事を思えば時間を操る能力くらい何とでもなると思えて仕方ない。実際にそれをやるにはどうすればいいのかなんて関係ない。俺が思う通りに藍那を責めてやればいいだけなのだ。
 こんな時には初心に帰って一からやり直すのも手だとは思うのだけれど、藍那にあってまだ一日も経っていないのだ。仮にであった時間に戻ったとしても、その短時間で何が変わるのだろうと思っていても、何も変わるような要素は見当たらなかった。そう言えば、藍那のために出したロープはまだ使えるのではないだろうか。他にも何か使えそうなものがあればいいのだけれど、俺が藍那のために作ることが出来たのはロープだけであった。

 俺は抱きしめたままゆっくりと藍那の肌にロープを馴染ませていった。なるべくきつくならないようにしつつもしっかりと固定はしていく。そんな力加減を維持しながら俺は藍那の体をロープで綺麗に縛ることが出来たのだ。ほぼ初めて縛ったわりには綺麗に出来たと思うし、藍那の自由を奪う事にも成功していたようだ。手と足をロープで固定して両手両足が閉じないように後でベッドの脚に固定する予定だ。

「縛ってもらえるのは嬉しいよ。嬉しいんだけどさ、動けないのはちょっと怖いかも」
「大丈夫。この部屋には誰も入ってこれないからね。ちゃんと結界を張ってあるから安心していいよ」
「そう言う問題じゃないんだけどな。でも、魔王アスモさんがそういうんだったら大丈夫なんだろうね。さっきも優しく抱きしめててくれたし、もう少し信用してみるよ」

 俺は身動きの取れなくなっている藍那をいったんうつぶせ状態にして膝立ちでお尻を突き上げた体勢をとらせた。この時点で藍那の中はさっきよりもしっとりと濡れていたのだけれど、まだ指も入らないような気がしていた。実際に指を入れてみようと思っても第一関節までしか入らず、これ以上無理にやっても痛がるだけなのは明白だった。
 俺に触られるのは気持ちいいとのことなのだが、それが続いても俺の時間が極端に遅くなってしまって藍那に訪れている気持ちの良い波がひいて行ってしまうのだ。それを回避するにはどうすればいいのか、その答えは藍那の時間と俺の時間の流れを一緒にすればいいのだ。だが、それはどうやって行えばいいのか見当なんてつくはずもなかった。
 全く手がかりも見つけられないまま俺は藍那の体に優しく触れていたのだが、どんなに気持ちよさそうな反応を見せていたとしても、ふとしたタイミングで冷静な藍那に戻っているという事が頻発していた。
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