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獣人編
獣人 第四話
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聖騎士団団長は私が思っていたよりもおじさんだった。私のパパと同じくらいの年齢だという事を考えると、見た目は若いのかもしれないけれど、それでもおじさんとしか思えなかった。
「初めまして。私は聖騎士団団長のノエラと申します。貴殿は正樹殿の恋人と聞いておりますが、それは間違いないだろうか?」
「初めまして。私はまー君の恋人のみさきです。まー君から聞いていると思いますが、直接会いに行くことが出来ないので悲しい日々を送っています。まー君は元気ですか?」
「正樹殿はいたって元気ですよ。私としても恋人同士のお二人が同じ時を過ごせることを願っているのですが、事情を聴いていますのでそれだけは避けていただきたいと思っております。それは心苦しいのですが、ご理解いただけると幸いです」
「まー君がどう思っているのかわからないので私は会いに行かないんですけど、ホントの事を言うとまー君は会いたいって言ってましたか?」
「正樹殿はみさき殿に会いたいと言っておられたようですよ。私は直接聞いたわけではないのですが、私の娘が正樹殿からそのような事を言われたと聞いております。二人の事情を知っている娘も会えない二人の事を思って悲しんでいるのですがね」
「あなたのお嬢さんって、魔法を使えるんですか?」
「ええ、それなりには使えると思いますよ。私の妻の事はご存じだと思いますが、将来的には妻を凌ぐ才能を持っているのではないかと期待しております。ただ、本人にその意思は無いようなので無理強いはさせられないのが親としてよりも武人として辛いところですが」
「あの、それだけの可能性を秘めているってことは、私達に呪縛をかけた神を呼び出してもらう事って出来ないですかね?」
「私は魔法の事について明るくないので正確な事はわかりませんが、以前魔導士たちの力を結集させたことがあったのです。その時に記録された魔法エネルギー量は数字上だけなら世界を破壊させることが出来る程度には集まっていたと思うのですが、正樹殿の話では神を自称するものは何のリアクションも示さなかったそうです。それが何を意味するのかは分かりませんが、正樹殿は自分が攻撃されたことよりもそちらの事の方が残念だったとおっしゃってましたよ」
「そうなんですな。まー君も私と一緒で二人で会っても問題なくなる方法を探しているってことなんですよね。私はまー君みたいに魔法関係は全然わからないんで違う方向から攻めてみたいと思うんですけど、聞いてもらってもいいですか?」
「もちろん。そのために来たのですから、いくらでもお話を伺いますよ」
私は自分でもちゃんと理解していないんだけど、魔獣と獣人の違いを説明した。私と団長さんの間に獣人の人を入れて説明をしてもらったんだけど、いまいち魔獣と獣人の違いが判らなかった。
私も団長さんも説明されても違いが判らなくて困っていたのだけれど、お付きの人の提案で獣人には聖騎士団風の甲冑を付けてもらう事でその問題は解決しそうだった。
「そんな方法で解決するなんて私は思いつきませんでしたよ。さすが聖騎士団の方ですね。機転が利くというか考えが柔軟というか」
「そうですね。私もそこに気付くことは無かったのですが、同じ甲冑を着て戦うのは士気も上がりそうですし、案外いい作戦かもしれませんよ。それで、魔獣を討伐するとどんな利点があるのでしょうか?」
「彼らの話では、魔獣は群れで行動するものは多少いるらしいのですが、ほとんどの者が三体ほどのグループを組んで行動しているようなのです。そんな感じなので一網打尽にするというわけにはいかなそうなので、見つけた魔獣を手あたり次第駆除していたが蹴ると助かります。私達も見つけ次第駆除するのですが、最終的にはどんな手を使ってでも魔獣をこの地から殲滅させたいのです。それはどうしてかと言いますと、魔獣というのは見境なく何でも襲うそうなのですが、彼ら獣人は出来ることなら人間と共存したいそうなのです。ただ、今まではその方法がわからなかっただけとのことで、ちゃんと説明すれば理解してもらえるので、困ったことがあればお互いに助け合えるような世の中を築けるのではないかと考えているそうですよ」
「みさき殿はソレについてどうお思いでしょうか?」
「正直に言いますと、私はこの世界にいる人間と獣人がどうなろうと知ったことではないのですが、まー君があなた達に手を貸している現状を見るに、この世界で何かいいことをしたらその見返りじゃないですけど、いいことが帰ってくるんじゃないかなって思っているんですよ。私は戦うことが専門みたいになっちゃってるんでその辺はハッキリとは言えないですけど、まー君が私に会いに来てくれるまではまー君の助けになるようなことをしようと思っているだけですよ」
「なるほど。正樹殿もみさき殿と同じような事をおっしゃっていたことがありますよ。お互いに素晴らしい関係を築いているんですな。では、次回からは協力して魔獣討伐といきましょうか」
「ちなみに、そちらはどれくらいの戦力を出していただけるのでしょうか?」
「そうですね。出来ることなら魔導士旅団と正樹殿の力も借りたいのですが、そうなってしまうと国の防衛網が破綻してしまう恐れもあるのでして、しばらくは我々聖騎士団の手の空いているもののみという形になると思います」
「助かります。ちなみに、魔導士とまー君を防衛に回すような敵がいたりするんですか?」
「不確定要素が多いので断定は出来ないのですが、聖騎士や魔導士旅団では対処しきれないような謎の敵が南西にある丘陵地帯に現れているという情報があるのです。こちらから調査に向かった際に攻撃を受けることはあったのですが、近付かなければ特に問題はないと現状判断しているのです」
「不確定要素という事は、その条件が変わって襲ってくる可能性もあると考えているのですか?」
「襲ってくるかもわからないですし、襲ってこないのかもしれません。ただ、生き残った者の情報では、私の娘位の年頃の少女が非常に強い攻撃を繰り出してきたと言っていました。これもまだ未確認情報ではあるのですが、似顔絵を作成したところ、その少女は正樹殿の妹君に似ているのではないかという話も出ているのです。ちなみに、本日その似顔絵を持参いたしているので、ご覧いただいてもよろしいでしょうか?」
私はその手渡された似顔絵を見たのだが、確かにまー君の妹の唯ちゃんに似ているような気がする。でも、唯ちゃんはもっと体つきが大人しかったような気もしているんだけど、成長期とはいえ成長しすぎなような気がしてならない。
「あの、これを見てまー君はなんて言ってたんですか?」
「妹に似ているけど、なんとなく違うような気もしている。とおっしゃっておりました。みさき殿はどう思われますか?」
「私もまー君の妹の唯ちゃんに似ているように思えるんですけど、この絵だけじゃ判断できないですね。そうだ、私がこの似顔絵の人に会いに行ってくるので、皆さんは気兼ねなく魔獣を狩っていてもらえませんか?」
「なるほど。正樹殿は防衛力の要となっておりますし、手の空いているものでまともに戦えそうなのはみさき殿だけかもしれませんね。しかし、みさき殿のようなうら若き女性を一人で死地へと旅立たせてしまうのは騎士として、男として見過ごせません。その際は私もお供したいのですが、いかがでしょうか?」
「私はどっちでもいいんですけど、まー君の許可をとってもらえますか?」
「その事ならご安心を、正樹殿はそうなることを見越してあらかじめ私にみさき殿に同行する許可をくださっております。ちなみに、私にはみさき殿の邪魔をするなとのお言葉を承りました」
まー君は私の性格をちゃんと理解しているんだね。本当はまー君に会いたい気持ちでいっぱいなんだけど、とても強くなった唯ちゃんに協力してもらえれば私とまー君にかけられている呪縛もなんとかなるかもしれないよね。
それにしても、この似顔絵って顔の特徴よりも胸を強調し過ぎじゃないかなって思っちゃうよね。
「初めまして。私は聖騎士団団長のノエラと申します。貴殿は正樹殿の恋人と聞いておりますが、それは間違いないだろうか?」
「初めまして。私はまー君の恋人のみさきです。まー君から聞いていると思いますが、直接会いに行くことが出来ないので悲しい日々を送っています。まー君は元気ですか?」
「正樹殿はいたって元気ですよ。私としても恋人同士のお二人が同じ時を過ごせることを願っているのですが、事情を聴いていますのでそれだけは避けていただきたいと思っております。それは心苦しいのですが、ご理解いただけると幸いです」
「まー君がどう思っているのかわからないので私は会いに行かないんですけど、ホントの事を言うとまー君は会いたいって言ってましたか?」
「正樹殿はみさき殿に会いたいと言っておられたようですよ。私は直接聞いたわけではないのですが、私の娘が正樹殿からそのような事を言われたと聞いております。二人の事情を知っている娘も会えない二人の事を思って悲しんでいるのですがね」
「あなたのお嬢さんって、魔法を使えるんですか?」
「ええ、それなりには使えると思いますよ。私の妻の事はご存じだと思いますが、将来的には妻を凌ぐ才能を持っているのではないかと期待しております。ただ、本人にその意思は無いようなので無理強いはさせられないのが親としてよりも武人として辛いところですが」
「あの、それだけの可能性を秘めているってことは、私達に呪縛をかけた神を呼び出してもらう事って出来ないですかね?」
「私は魔法の事について明るくないので正確な事はわかりませんが、以前魔導士たちの力を結集させたことがあったのです。その時に記録された魔法エネルギー量は数字上だけなら世界を破壊させることが出来る程度には集まっていたと思うのですが、正樹殿の話では神を自称するものは何のリアクションも示さなかったそうです。それが何を意味するのかは分かりませんが、正樹殿は自分が攻撃されたことよりもそちらの事の方が残念だったとおっしゃってましたよ」
「そうなんですな。まー君も私と一緒で二人で会っても問題なくなる方法を探しているってことなんですよね。私はまー君みたいに魔法関係は全然わからないんで違う方向から攻めてみたいと思うんですけど、聞いてもらってもいいですか?」
「もちろん。そのために来たのですから、いくらでもお話を伺いますよ」
私は自分でもちゃんと理解していないんだけど、魔獣と獣人の違いを説明した。私と団長さんの間に獣人の人を入れて説明をしてもらったんだけど、いまいち魔獣と獣人の違いが判らなかった。
私も団長さんも説明されても違いが判らなくて困っていたのだけれど、お付きの人の提案で獣人には聖騎士団風の甲冑を付けてもらう事でその問題は解決しそうだった。
「そんな方法で解決するなんて私は思いつきませんでしたよ。さすが聖騎士団の方ですね。機転が利くというか考えが柔軟というか」
「そうですね。私もそこに気付くことは無かったのですが、同じ甲冑を着て戦うのは士気も上がりそうですし、案外いい作戦かもしれませんよ。それで、魔獣を討伐するとどんな利点があるのでしょうか?」
「彼らの話では、魔獣は群れで行動するものは多少いるらしいのですが、ほとんどの者が三体ほどのグループを組んで行動しているようなのです。そんな感じなので一網打尽にするというわけにはいかなそうなので、見つけた魔獣を手あたり次第駆除していたが蹴ると助かります。私達も見つけ次第駆除するのですが、最終的にはどんな手を使ってでも魔獣をこの地から殲滅させたいのです。それはどうしてかと言いますと、魔獣というのは見境なく何でも襲うそうなのですが、彼ら獣人は出来ることなら人間と共存したいそうなのです。ただ、今まではその方法がわからなかっただけとのことで、ちゃんと説明すれば理解してもらえるので、困ったことがあればお互いに助け合えるような世の中を築けるのではないかと考えているそうですよ」
「みさき殿はソレについてどうお思いでしょうか?」
「正直に言いますと、私はこの世界にいる人間と獣人がどうなろうと知ったことではないのですが、まー君があなた達に手を貸している現状を見るに、この世界で何かいいことをしたらその見返りじゃないですけど、いいことが帰ってくるんじゃないかなって思っているんですよ。私は戦うことが専門みたいになっちゃってるんでその辺はハッキリとは言えないですけど、まー君が私に会いに来てくれるまではまー君の助けになるようなことをしようと思っているだけですよ」
「なるほど。正樹殿もみさき殿と同じような事をおっしゃっていたことがありますよ。お互いに素晴らしい関係を築いているんですな。では、次回からは協力して魔獣討伐といきましょうか」
「ちなみに、そちらはどれくらいの戦力を出していただけるのでしょうか?」
「そうですね。出来ることなら魔導士旅団と正樹殿の力も借りたいのですが、そうなってしまうと国の防衛網が破綻してしまう恐れもあるのでして、しばらくは我々聖騎士団の手の空いているもののみという形になると思います」
「助かります。ちなみに、魔導士とまー君を防衛に回すような敵がいたりするんですか?」
「不確定要素が多いので断定は出来ないのですが、聖騎士や魔導士旅団では対処しきれないような謎の敵が南西にある丘陵地帯に現れているという情報があるのです。こちらから調査に向かった際に攻撃を受けることはあったのですが、近付かなければ特に問題はないと現状判断しているのです」
「不確定要素という事は、その条件が変わって襲ってくる可能性もあると考えているのですか?」
「襲ってくるかもわからないですし、襲ってこないのかもしれません。ただ、生き残った者の情報では、私の娘位の年頃の少女が非常に強い攻撃を繰り出してきたと言っていました。これもまだ未確認情報ではあるのですが、似顔絵を作成したところ、その少女は正樹殿の妹君に似ているのではないかという話も出ているのです。ちなみに、本日その似顔絵を持参いたしているので、ご覧いただいてもよろしいでしょうか?」
私はその手渡された似顔絵を見たのだが、確かにまー君の妹の唯ちゃんに似ているような気がする。でも、唯ちゃんはもっと体つきが大人しかったような気もしているんだけど、成長期とはいえ成長しすぎなような気がしてならない。
「あの、これを見てまー君はなんて言ってたんですか?」
「妹に似ているけど、なんとなく違うような気もしている。とおっしゃっておりました。みさき殿はどう思われますか?」
「私もまー君の妹の唯ちゃんに似ているように思えるんですけど、この絵だけじゃ判断できないですね。そうだ、私がこの似顔絵の人に会いに行ってくるので、皆さんは気兼ねなく魔獣を狩っていてもらえませんか?」
「なるほど。正樹殿は防衛力の要となっておりますし、手の空いているものでまともに戦えそうなのはみさき殿だけかもしれませんね。しかし、みさき殿のようなうら若き女性を一人で死地へと旅立たせてしまうのは騎士として、男として見過ごせません。その際は私もお供したいのですが、いかがでしょうか?」
「私はどっちでもいいんですけど、まー君の許可をとってもらえますか?」
「その事ならご安心を、正樹殿はそうなることを見越してあらかじめ私にみさき殿に同行する許可をくださっております。ちなみに、私にはみさき殿の邪魔をするなとのお言葉を承りました」
まー君は私の性格をちゃんと理解しているんだね。本当はまー君に会いたい気持ちでいっぱいなんだけど、とても強くなった唯ちゃんに協力してもらえれば私とまー君にかけられている呪縛もなんとかなるかもしれないよね。
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