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離島編
第三十五話 成仏しかけたヒナミ
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私が神様と繋がった時間はほんの少しの間だけだったのだけど気が付いた時には何もかもが終わっていたのだった。
神様と感覚を共有するという事が私にとって思っている以上に負担が大きかったのかと思っていたのだけれど、実際は負担がかかっていたのではなく成仏しかけていたという事だったらしい。私はまだ成仏なんてしたくないという思いがあるのだけれど、神様の力に叶うはずもなく私は本当に点に召されるところだったようです。
『何で真白先生は私を助けてくれたんですか?』
「なんでって、俺にはまだヒナミが必要だからね。それ以外には理由もないけど」
『そんな事言ってくれるなんて嬉しいじゃないですか。でも、それって本音だったりする可能性ありますか?』
「本当なんだけどな。でも、神様に触ってる時に何となくヒナミの事を感じることが出来たと思うんで、それは良かったなって思うよ」
『ちょっと待ってください。それって、私に触ることが出来たって事ですか?』
「直接触ったわけじゃないんで何となくそうなんじゃないかなって思っただけなんだけどね。でも、神様とも忍ちゃんとも違う感じだったからそうなんじゃないかなって思っただけだしね。でもさ、その感覚もほんの少しの時間だけだったから気のせいかもしれないんだよ」
『気のせいでもいいんですけど、私も真白先生触れられた感覚ってのを味わってみたかったです。で、さっきから気になってたんですけど、私達は今どこにいるんですか?』
「どこって、今は鵜崎家の本邸だよ。ヒナミを呼び戻すために紗雪の力を借りることになったからね。紗雪だけじゃなくて叔母さん達にも協力してもらったんだけどさ、うまく言って良かったよ」
『そうだったんですね。でも、助けてもらって嬉しいですよ。お礼を言わないとですね』
私にとって鵜崎家の人達は真白先生と紗雪ちゃん以外はあまりいい印象を持っていなかったのだけれど、私をこの世界に戻してくれたという事実に感謝をしてもどう返していいのかわからなかった。
『それで、紗雪さん達はどこにいるんですか。直接お礼を言いたいんですけど』
「紗雪なら学校に行ってるよ。たぶんもう少しで帰ってくると思うけどね。叔母さん達なら今頃飛行機とヘリを乗り継いで鳥島に向かってるんじゃないかな。余計な事をした神様を封印してくるって言って出て行ったからね。あの人達にかかれば神様も悪霊もそんなに違いが無いのかもしれないってさ。まあ、実際に封印したりなんかはしないんじゃないかなって思うよ。俺が毎日送っていたレポートの内容がほぼ亀島で取れた海産物の報告になってたからね。それと酒を楽しみに行ったってのが本音だと思うよ」
『そんなに気軽に行けるような場所じゃないと思うんですけど。でも、真白先生は色々と不完全燃焼に終わって大丈夫なんですか?』
真白先生は私の言葉を聞いて何かを思い出そうとしているのか腕を組んで目を閉じていた。眉間に力が入っているのが見てわかるのだけれど、そんなに悩むような事でもあったのかと私は不思議に思っていた。
「まあ、不完全燃焼と言えばそうなんだけどさ、俺の力じゃどうする事も出来なかっただろうしね。あとは叔母さん達に任せるのが正解なんだと思うよ。鳥島の秘密もわかったのだって俺にそこまで期待はしていなかったと思うからね。たぶんだけど、俺が亀島に行かされた目的ってあの島に住んでる人の霊感を高めてからヒナミと一緒に現地の幽霊とコンタクトを取らせようってだけだったと思うからね。ヒナミがいなければ何も出来ないってのもあるしね」
『そんな事ないですって。真白先生って私以外の幽霊は見れなくても神様とか精霊とかは見れるじゃないですか。私には見えないものが見えるんだから何も出来ないってことは無いと思いますって』
なんだか悲しそうな顔をしている真白先生を抱きしめたいと思ってしまった。でも、今の私は真白先生に触れることは出来ないし、真白先生も私に触れることなんて出来ないのだ。それをお互いに理解しているからなのか、二人で見つめ合ったままぎこちない笑顔を交わしてしまっていたのだ。
『それと、どうして忍ちゃんとは最後までエッチ出来なかったんですかね。真白先生は経験豊富なんで出来そうなのになって思ってたんですけど、なんで最後までしなかったんですか?』
「それはさ、ちょっとした理由があったんだよね。別にやろうと思えば最後まで行けたと思うんだけどな。でも、ずっと小さい声で『お母さんごめんなさい。お母さんごめんなさい』って言われ続けたらそう言うことを続けられる感じじゃなくなったって言うのがあるんだよね。あと、忍ちゃんって意外と筋肉質なんでガッチリと閉じられていたってのもあるんだろうな。いれたらどんな感触だったのか気にはなるけどさ、あんまり無理矢理ってのは俺も好きじゃないからね」
私には聞こえない声でそんな事を言ってたなんて思いもしなかったですね。でも、その気持ちは何となくわかるような気がしてますよ。私のお母さんがどんな人だったのかなんて覚えてもいないですけど、私にも何かあったらお母さんに話しかけてしまうような気もしてますね。そんな事をぼんやりと考えてはいたのですけど、私のお母さんってどんな人だったんでしょうね。
神様と感覚を共有するという事が私にとって思っている以上に負担が大きかったのかと思っていたのだけれど、実際は負担がかかっていたのではなく成仏しかけていたという事だったらしい。私はまだ成仏なんてしたくないという思いがあるのだけれど、神様の力に叶うはずもなく私は本当に点に召されるところだったようです。
『何で真白先生は私を助けてくれたんですか?』
「なんでって、俺にはまだヒナミが必要だからね。それ以外には理由もないけど」
『そんな事言ってくれるなんて嬉しいじゃないですか。でも、それって本音だったりする可能性ありますか?』
「本当なんだけどな。でも、神様に触ってる時に何となくヒナミの事を感じることが出来たと思うんで、それは良かったなって思うよ」
『ちょっと待ってください。それって、私に触ることが出来たって事ですか?』
「直接触ったわけじゃないんで何となくそうなんじゃないかなって思っただけなんだけどね。でも、神様とも忍ちゃんとも違う感じだったからそうなんじゃないかなって思っただけだしね。でもさ、その感覚もほんの少しの時間だけだったから気のせいかもしれないんだよ」
『気のせいでもいいんですけど、私も真白先生触れられた感覚ってのを味わってみたかったです。で、さっきから気になってたんですけど、私達は今どこにいるんですか?』
「どこって、今は鵜崎家の本邸だよ。ヒナミを呼び戻すために紗雪の力を借りることになったからね。紗雪だけじゃなくて叔母さん達にも協力してもらったんだけどさ、うまく言って良かったよ」
『そうだったんですね。でも、助けてもらって嬉しいですよ。お礼を言わないとですね』
私にとって鵜崎家の人達は真白先生と紗雪ちゃん以外はあまりいい印象を持っていなかったのだけれど、私をこの世界に戻してくれたという事実に感謝をしてもどう返していいのかわからなかった。
『それで、紗雪さん達はどこにいるんですか。直接お礼を言いたいんですけど』
「紗雪なら学校に行ってるよ。たぶんもう少しで帰ってくると思うけどね。叔母さん達なら今頃飛行機とヘリを乗り継いで鳥島に向かってるんじゃないかな。余計な事をした神様を封印してくるって言って出て行ったからね。あの人達にかかれば神様も悪霊もそんなに違いが無いのかもしれないってさ。まあ、実際に封印したりなんかはしないんじゃないかなって思うよ。俺が毎日送っていたレポートの内容がほぼ亀島で取れた海産物の報告になってたからね。それと酒を楽しみに行ったってのが本音だと思うよ」
『そんなに気軽に行けるような場所じゃないと思うんですけど。でも、真白先生は色々と不完全燃焼に終わって大丈夫なんですか?』
真白先生は私の言葉を聞いて何かを思い出そうとしているのか腕を組んで目を閉じていた。眉間に力が入っているのが見てわかるのだけれど、そんなに悩むような事でもあったのかと私は不思議に思っていた。
「まあ、不完全燃焼と言えばそうなんだけどさ、俺の力じゃどうする事も出来なかっただろうしね。あとは叔母さん達に任せるのが正解なんだと思うよ。鳥島の秘密もわかったのだって俺にそこまで期待はしていなかったと思うからね。たぶんだけど、俺が亀島に行かされた目的ってあの島に住んでる人の霊感を高めてからヒナミと一緒に現地の幽霊とコンタクトを取らせようってだけだったと思うからね。ヒナミがいなければ何も出来ないってのもあるしね」
『そんな事ないですって。真白先生って私以外の幽霊は見れなくても神様とか精霊とかは見れるじゃないですか。私には見えないものが見えるんだから何も出来ないってことは無いと思いますって』
なんだか悲しそうな顔をしている真白先生を抱きしめたいと思ってしまった。でも、今の私は真白先生に触れることは出来ないし、真白先生も私に触れることなんて出来ないのだ。それをお互いに理解しているからなのか、二人で見つめ合ったままぎこちない笑顔を交わしてしまっていたのだ。
『それと、どうして忍ちゃんとは最後までエッチ出来なかったんですかね。真白先生は経験豊富なんで出来そうなのになって思ってたんですけど、なんで最後までしなかったんですか?』
「それはさ、ちょっとした理由があったんだよね。別にやろうと思えば最後まで行けたと思うんだけどな。でも、ずっと小さい声で『お母さんごめんなさい。お母さんごめんなさい』って言われ続けたらそう言うことを続けられる感じじゃなくなったって言うのがあるんだよね。あと、忍ちゃんって意外と筋肉質なんでガッチリと閉じられていたってのもあるんだろうな。いれたらどんな感触だったのか気にはなるけどさ、あんまり無理矢理ってのは俺も好きじゃないからね」
私には聞こえない声でそんな事を言ってたなんて思いもしなかったですね。でも、その気持ちは何となくわかるような気がしてますよ。私のお母さんがどんな人だったのかなんて覚えてもいないですけど、私にも何かあったらお母さんに話しかけてしまうような気もしてますね。そんな事をぼんやりと考えてはいたのですけど、私のお母さんってどんな人だったんでしょうね。
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