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離島編

第三十三話 神様と繋がる

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 神様と真白先生を見守る忍ちゃんは何か深刻な顔で考え事をしているようだ。すぐ隣にいる私にも聞こえないような小さな声で何かを呟いていた。
『忍ちゃん、何か気になる事でもあった?』
「え、いや。そう言うわけじゃないんですけど、あんな風にしたらいいのかって。でも、僕はあんな風に鵜崎先生を受け入れることが出来そうにないと思うんです。神様と人間ってやっぱり違うもんなんですかね」
『そんな事ないと思うよ。私も自分に経験があるわけじゃないからちゃんとしたことは言えないけど、人間だって全員が全員最初からエッチを最後まで出来るわけじゃないからね。忍ちゃんと一緒で何回か試しても真白先生のが入らない人もいたよ』
「そうなんですか。その人ってちゃんと最後までエッチしたんですか?」
『うん、ちょっと時間はあけたけど最後までしてたよ。私は別に見たかったわけじゃなかったけど、真白先生がそう言うことをしてる時もずっと一緒にいないといけないからね』
「大変ですね」
 私と忍ちゃんは同じタイミングで大きなため息をついたのだけれど、その意味はきっと違うんだろうな。
 真白先生を見ても私には何も変わっていないようにしか見えないのだけれど、忍ちゃんは真白先生を見ながら顔を赤くしたり口をあけたまま固まっていたりしていた。私には見えないのは神様の力のなせる業なのだろう。普段は真白先生がエッチをしている姿を見たくないって思ってはいたはずなのに、こうして私だけ見えない状況というのはちょっとだけ見てみたいと思ってしまうのが不思議な感じだった。

「わかりました。僕はしてもらうばっかりで受け身になりすぎていたんだと思います。神様みたいに自分からもっと行った方が良いって事ですよね。鵜崎先生が動けなくなるくらい僕から行っちゃった方が良いって事だったんですね」
「それはどうだろうね。アタシは君よりも経験があるからそうしているだけであって、君みたいに何も経験がない人は黙って受け身になっていた方が良いと思うよ。それにさ、君がアタシみたいにするのって無理だと思うんだよね。君は普通の人間だからアタシと違って押し寄せて来る快楽に逆らうことが出来ないと思うよ。あの子って今までアタシが相手をしたどの人間よりも凄かったと思うけど、君みたいなうぶな子はきっと五分ともたないんじゃないかな。こればっかりは我慢しようとしても我慢出来るようなモノでもないしね」
 相変わらず私には見えないのだけれど、すぐそこに神様がいるのだろう。忍ちゃんは視線を少しだけ上にあげながら真剣な表情を向けているのだった。
「そっちの幽霊ちゃんはさ、あの子のパートナーなんだろ。アタシの姿を見えるようにしたいんだけど、幽霊ちゃんは近々成仏しようって思ってたりする?」
『成仏しようとは思ってないですけど、それが何か関係あるんですか?』
「まあね、今の幽霊ちゃんがあの子と繋がってる状態なのは自分でもわかってると思うけど、そこに今だけアタシが割り込むことになるんだよね。アタシとも繋がりが出来ることでアタシの姿を見れることになるんだけどさ、その代償としてしばらくの間この世界に残らないといけないんだよね。と言ってもさ、あの子と違ってアタシとは離れても別の場所にいても大丈夫って話だから安心してね。姿が見えて声が聞こえてちょっとだけあたしと繋がるだけだからさ。どうかな、アタシとちょっとだけ繋がってみない?」
 私は成仏したいと思ってはいないので問題はないのだけれど、そんな事をして大丈夫なのだろうか。何か良くないことが隠されているような気もするのだけれど、正直に言ってしまえばそんな事は気にせずに神様の姿を見てみたいという思いはある。
 なぜなら、今まではどんな相手と何回エッチをしても真白先生は優しくティッシュを差し出したり相手を抱きしめていたりしていたのに、今はもうぐったりとしてピクリとも動かなくなってしまっているのだ。
『あの、一つ気になるんですけど、真白先生って死んでませんよね?』
「それは大丈夫だよ。ほら、虚ろな目だけどこっちをちゃんと見てるだろ。今までは一方的に責めるだけだったと思うんだけど、今回はアタシが一方的に責めてみたからね。それというのもさ、アタシのココって自由自在に変形させることが出来るんだよ。さらに、アタシは神様だから相手の考えもわかっちゃうってわけ。あの子がどうして欲しいのか完璧に理解しているんだ。でも、毎回毎回完璧にしちゃうとつまんないと思うんで、アタシは時々見当違いな場所を適当な強さで刺激したりもしてるんだよ。そうした方が気持ちいいところがより気持ち良くなるって思うしね。何より、あの子は今までそれを相手にたくさんやってきたみたいだからね。そんな事をされると自分がどんな感じになるのか経験出来て良かったんじゃないかな」
 今まで数多くのエッチを見てきたのだけれど、真白先生は相手のして欲しい事だけをしているわけではなかったと思う。神様の言う通りで、時々違う場所を刺激して相手が油断してることもあったと思うけど、その後は的確な位置を完璧に責めぬいていたのだ。
 それが逆の立場になったわけなのだけど、意外なことに真白先生は相手を責めるのは得意なのに責められるのは苦手何だと知ることになった。これを見て忍ちゃんも真白先生の事を責めようと考えたみたいだけど、神様の言う通りで忍ちゃんにそんな事が出来るはずがないと思っている。
「じゃあ、幽霊ちゃんとアタシは今からちょっとの時間だけ繋がることになるからね。幽霊に深呼吸しろなんて言わないけど、もう少しリラックスしてくれた嬉しいかも。全身の力を抜いてアタシを見てね。今は見れてないかもしれないけど、声のする方をじっと見てるんだよ。さあ、このまま目を閉じてゆっくり十数えてみようか。その後はゆっくりと目を開けるんだよ」
 目を閉じながらも、最後に私が目を閉じた時の事を思い出していた。私が最後に目を閉じたのは真白先生と出会った時までさかのぼる。
 鵜崎家の女性に囲まれて真白先生と面会をしたのだけれど、その時の私はこれから何が始まるのかわからない恐怖で体に変な力も入っていたし、目も閉じて何も見ないようにしていたのだ。
 幽霊にとって鵜崎家とは敵対してはいけない存在でしかないのだけれど、何でもかんでも無条件に成仏させているという事でもないという事はしばらく経ってから知ることになるのだった。
 こうして今みたいに真白先生と一緒にいられるのはなぜなのかわかりませんが、今みたいに楽しい時間が続けばいいなと思っています。

「じゃあ、ゆっくりを目を開けてごらん。アタシの姿がちゃんと見えるといいんだけど」
 さっきよりもハッキリと神様の声が聞こえてきた。
 神様の言葉に従ってゆっくりと目を開けると、そこには薄紫色の長い髪で瞳は濃い紫色をした女性が私をじっと見ていた。
「どうだ、アタシの姿がちゃんと見えているかな?」
『はい、ちゃんと見えてます。思っていたよりも若くて綺麗なんですね』
「いきなりお世辞は良くないな。でも、その気持ちは受け取っておくことにするよ。でもね、アタシは神様だから相手の望む姿にもなれるって事だからね」
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