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離島編
第三十話 声の主
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どうやら気付いたんですが、チャンポン麺が好きだという声の主の姿を見ることが出来ないのは私だけみたいです。忍ちゃんに見えるというのはわかるのですが、真白先生にまで見えているのに私には見えていない問うのはある意味恐怖すら感じてしまいました。
『あの、真白先生にも忍ちゃんにも見えているみたいなんですけど、私には声しか聞こえてないんですよ』
「俺には見えるのにヒナミには見えないって、普段とは逆でなんか面白いな」
『面白くないですよ。もしかして、真白先生と忍ちゃんで私の事をからかってるんじゃないですか。そうだったとしたら、ちょっと怒りますよ』
「そんな事しないよ。僕も誰かいるって言われて初めて気づいたから。それまでも話はしてたと思うんだけど、僕と鵜崎先生とヒナミちゃん以外に誰かいるなんて思わなかったもん。でも、そうなると僕は何で知らない人と話をしているのに知っている人だと思って普通に話をしてたんだろう?」
「それはね、アタシが君達の仲間だと思われてたからなんじゃないかな。自分でもわからないんだけど、アタシって昔から出来上がってる輪の中に溶け込むのが上手かったんだよね。たぶん、誰とでも仲良くなれるタイプだったと思うんだよ。でも、そんなアタシも最近はずっと一人ぼっちで寂しかったんだよね。友達ができやすいタイプだってのは自分でも知ってる分さ、誰もやってこないってのは寂しいことでもあるんだよ。君達はこの島にやってきて仲良くしてくれるんじゃないかなって思ってたんだけど、どういうわけなのかアタシの方じゃなくて神社の方へ行こう行こうとするからさ、そっちじゃなくてこっちに来てくれないかなって思ってたんだよね」
「ごめんなさい。僕はあなたの言っている事が一つも理解出来ません。どういうことですか?」
「まあ、あんまり気にしなくても大丈夫だよ。アタシは別に君達に危害を加えようなんて思ってないからさ。この島にくる人間は誰でも大歓迎だからね。でも、君達はアタシに興味がないみたいな感じで神社の方へばっかり行っちゃうんだなって思うとちょっと悲しくなっちゃうよね」
「ちょっといいかな。あっちの方とか神社の方とか言っている意味が分からないんだけど。この島ってこの頂上まで行く道は一つしかなくて、枝分かれしてる道なんて無かったと思うんだよね。俺達は何度もこの島に来てその様子もビデオにおさめて確認もしてるんだけど、君の言ってる感じだと一本道ではないって事になるとおもんだ。それって、どういうことなのかな?」
「君達にはさ、この島って鳥居がたくさんある道を通ってここまで一本道だと思ってるって事だよね。それは正しいけど間違いなんだよ。君達は普通にいつも通りに鳥居を抜けてここまで来てると思ってるのかもしれないけど、色々なくぐり方をする事でその道は変化し続けているんだよね。アタシの所にくるには女性が先にここまで着て男性を待ってればいいって事なんだけどさ、そう言う感じの人って今までほとんどいなかったんだよね。大抵の人は頂上までほぼ一緒にやってくることになると思うんだけど、そうなるとこの島にいた神様のところに行くことになるんだよ。ほら、君達が何度も見たあの小さい祭殿みたいな場所だよ。一人でこの島に上陸した人は例外なくそこに行っちゃうんだけどね」
私にはこの声の主の姿が見えないので本当にここに居るのかという事が信じられないのですが、真白先生と忍ちゃんの視線が重なっているのでそこに何かがいるという事は本当なんでしょう。ですが、その姿が私には見えていないので信じられないんですよね。私も幽霊だというのに、そこに誰かがいるという事を信じられないのは変な話かもしれないですね。
「あの、それだと僕たちが最初に来た時に見た八基の鳥居がある場所はどういう時に行けるんでしょうか?」
「ああ、あれは簡単だよ。幽霊の君が一番多く鳥居をくぐればいいだけなんだ。同じところを何度もくぐっていいし、一番最初の鳥居を言ったり期待してくぐっててもいいんだからね。誰かが幽霊の君よりも先に頂上に行ったとしても、幽霊の君が鳥居をその人より多くくぐればその場所に行けるってわけさ。でも、幽霊の君がいる時にはあまりお勧めできないね」
「どうしてお勧めできないんですか?」
「それはね。あの鳥居の結界を破られると幽霊である君はあの妖怪に食べられてしまうんだよ。あれは恐ろしい妖怪だけど、人間には全くの無害だから君達は安心していいからね」
人間には無害だと言われて忍ちゃんはホッとしているようなんですが、そこの人の言う事をそんな簡単に信じてもいいのでしょうか。私は声しか聞こえていないのでわかりませんが、そんなに納得させるような見た目をしてるって事なんでしょうかね。
「ちょっといいかな。その、幽霊を食べる恐ろしい妖怪がいるってのはわかったんだけど、どうしたらあの結界を破ることが出来ちゃうのかな」
「良い質問だね。でも、その答えはアタシも正確には知らないんだ。あくまでもあいつが言ってることなんで本当かどうかはわからないという事を理解したうえで聞いてくれよ。あの妖怪はね、自分を抑えるために自ら結界を張って自由に動けないようにしてるらしいよ。その理由なんだけど、以前はこの島にやってくる幽霊を手当たり次第に食べていたそうなんだ。でも、幽霊にだって限りはあるわけだし、手当たり次第に食べていけば幽霊だっていなくなっちゃうって事だろ。つまり、この島にもあっちの島にも幽霊がいないって言うのはそう言うことなんだよ」
「それって、僕のお母さんもばあちゃんもその妖怪に食べられたって事ですか?」
「どうだろうね。君のお母さんやおばあちゃんの事をアタシは知らないんでハッキリとは言えないけどさ、その可能性もあるし食べられる前に成仏したって可能性もあるんじゃないかな。君達がここに最初に来た時に二人くらい幽霊がいたんだけど、あの妖怪に呼ばれる前に成仏していたみたいだからね。あの時の幽霊が君の家族だったとは知らなかったな」
この話を本当に信じていいのかわかりませんが、忍ちゃんは何となくホッとしているようでした。真白先生はその話を信じ切ってはいないようですが、この辺りに幽霊がいないという事の理由がそれなんだったら納得出来るとでも思っていそうですね。
私は、声は聞こえるのに姿の見えないこの人の事を信じることなんてとてもできませんでした。幽霊を食べる妖怪なんて聞いたことがないですからね。
『あの、真白先生にも忍ちゃんにも見えているみたいなんですけど、私には声しか聞こえてないんですよ』
「俺には見えるのにヒナミには見えないって、普段とは逆でなんか面白いな」
『面白くないですよ。もしかして、真白先生と忍ちゃんで私の事をからかってるんじゃないですか。そうだったとしたら、ちょっと怒りますよ』
「そんな事しないよ。僕も誰かいるって言われて初めて気づいたから。それまでも話はしてたと思うんだけど、僕と鵜崎先生とヒナミちゃん以外に誰かいるなんて思わなかったもん。でも、そうなると僕は何で知らない人と話をしているのに知っている人だと思って普通に話をしてたんだろう?」
「それはね、アタシが君達の仲間だと思われてたからなんじゃないかな。自分でもわからないんだけど、アタシって昔から出来上がってる輪の中に溶け込むのが上手かったんだよね。たぶん、誰とでも仲良くなれるタイプだったと思うんだよ。でも、そんなアタシも最近はずっと一人ぼっちで寂しかったんだよね。友達ができやすいタイプだってのは自分でも知ってる分さ、誰もやってこないってのは寂しいことでもあるんだよ。君達はこの島にやってきて仲良くしてくれるんじゃないかなって思ってたんだけど、どういうわけなのかアタシの方じゃなくて神社の方へ行こう行こうとするからさ、そっちじゃなくてこっちに来てくれないかなって思ってたんだよね」
「ごめんなさい。僕はあなたの言っている事が一つも理解出来ません。どういうことですか?」
「まあ、あんまり気にしなくても大丈夫だよ。アタシは別に君達に危害を加えようなんて思ってないからさ。この島にくる人間は誰でも大歓迎だからね。でも、君達はアタシに興味がないみたいな感じで神社の方へばっかり行っちゃうんだなって思うとちょっと悲しくなっちゃうよね」
「ちょっといいかな。あっちの方とか神社の方とか言っている意味が分からないんだけど。この島ってこの頂上まで行く道は一つしかなくて、枝分かれしてる道なんて無かったと思うんだよね。俺達は何度もこの島に来てその様子もビデオにおさめて確認もしてるんだけど、君の言ってる感じだと一本道ではないって事になるとおもんだ。それって、どういうことなのかな?」
「君達にはさ、この島って鳥居がたくさんある道を通ってここまで一本道だと思ってるって事だよね。それは正しいけど間違いなんだよ。君達は普通にいつも通りに鳥居を抜けてここまで来てると思ってるのかもしれないけど、色々なくぐり方をする事でその道は変化し続けているんだよね。アタシの所にくるには女性が先にここまで着て男性を待ってればいいって事なんだけどさ、そう言う感じの人って今までほとんどいなかったんだよね。大抵の人は頂上までほぼ一緒にやってくることになると思うんだけど、そうなるとこの島にいた神様のところに行くことになるんだよ。ほら、君達が何度も見たあの小さい祭殿みたいな場所だよ。一人でこの島に上陸した人は例外なくそこに行っちゃうんだけどね」
私にはこの声の主の姿が見えないので本当にここに居るのかという事が信じられないのですが、真白先生と忍ちゃんの視線が重なっているのでそこに何かがいるという事は本当なんでしょう。ですが、その姿が私には見えていないので信じられないんですよね。私も幽霊だというのに、そこに誰かがいるという事を信じられないのは変な話かもしれないですね。
「あの、それだと僕たちが最初に来た時に見た八基の鳥居がある場所はどういう時に行けるんでしょうか?」
「ああ、あれは簡単だよ。幽霊の君が一番多く鳥居をくぐればいいだけなんだ。同じところを何度もくぐっていいし、一番最初の鳥居を言ったり期待してくぐっててもいいんだからね。誰かが幽霊の君よりも先に頂上に行ったとしても、幽霊の君が鳥居をその人より多くくぐればその場所に行けるってわけさ。でも、幽霊の君がいる時にはあまりお勧めできないね」
「どうしてお勧めできないんですか?」
「それはね。あの鳥居の結界を破られると幽霊である君はあの妖怪に食べられてしまうんだよ。あれは恐ろしい妖怪だけど、人間には全くの無害だから君達は安心していいからね」
人間には無害だと言われて忍ちゃんはホッとしているようなんですが、そこの人の言う事をそんな簡単に信じてもいいのでしょうか。私は声しか聞こえていないのでわかりませんが、そんなに納得させるような見た目をしてるって事なんでしょうかね。
「ちょっといいかな。その、幽霊を食べる恐ろしい妖怪がいるってのはわかったんだけど、どうしたらあの結界を破ることが出来ちゃうのかな」
「良い質問だね。でも、その答えはアタシも正確には知らないんだ。あくまでもあいつが言ってることなんで本当かどうかはわからないという事を理解したうえで聞いてくれよ。あの妖怪はね、自分を抑えるために自ら結界を張って自由に動けないようにしてるらしいよ。その理由なんだけど、以前はこの島にやってくる幽霊を手当たり次第に食べていたそうなんだ。でも、幽霊にだって限りはあるわけだし、手当たり次第に食べていけば幽霊だっていなくなっちゃうって事だろ。つまり、この島にもあっちの島にも幽霊がいないって言うのはそう言うことなんだよ」
「それって、僕のお母さんもばあちゃんもその妖怪に食べられたって事ですか?」
「どうだろうね。君のお母さんやおばあちゃんの事をアタシは知らないんでハッキリとは言えないけどさ、その可能性もあるし食べられる前に成仏したって可能性もあるんじゃないかな。君達がここに最初に来た時に二人くらい幽霊がいたんだけど、あの妖怪に呼ばれる前に成仏していたみたいだからね。あの時の幽霊が君の家族だったとは知らなかったな」
この話を本当に信じていいのかわかりませんが、忍ちゃんは何となくホッとしているようでした。真白先生はその話を信じ切ってはいないようですが、この辺りに幽霊がいないという事の理由がそれなんだったら納得出来るとでも思っていそうですね。
私は、声は聞こえるのに姿の見えないこの人の事を信じることなんてとてもできませんでした。幽霊を食べる妖怪なんて聞いたことがないですからね。
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