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離島編
第二十七話 鳥島の探索を開始します
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忍ちゃんの声が変になってしまった場所を中心に見て回ったのだが、他の場所と比べて何か特別変ったところは見られなかった。鳥居も一つ一つは微妙に違うのは確認しているけれど、明らかに他と違うというようなところは見つけられなかったのだった。私から見てもそんなものは見当たらなかったし、真白先生も忍ちゃんも変わったところは見つけられなかったのだ。
「僕の声が変に途切れ途切れになってたのってここですよね。他の場所では普通だったのに、この辺で喋ってる時だけ変な感じになってたのはおかしいですよね。今だって鵜崎先生が僕の事を撮ってくれてますけど、たぶんカメラもスマホも異常なんてないですよね。あの時はたまたま僕の声だけ変になるようなエラーがあったって事も考えにくいですし、この場所に何かそうなるような原因があると思ったんですけどね。でも、パッと見た感じエラーを起こさせるようなものは見当たらないですし、そんなものがあったとしても僕だけ声が変になるのも不自然ですからね。鵜崎先生も忍ちゃんも何か変わった感じとかしてないですよね?」
「俺はさっぱり何も感じてないな。ヒナミは相変わらず他の幽霊の気配すら感じてないの?」
『そうですよ。痕跡すら感じられないです。幽霊が全くいない場所って極端な場所が多いんですよね。霊場として極端に力が貯まりすぎているとか、逆に枯渇し過ぎて幽霊として存在出来ないとかありますもん。私がこうして存在している事でこの場所が霊的な力の枯渇も強すぎるという事もない証拠になると思うんですよ。力が強すぎても弱すぎても私達幽霊ってこの世界に存在することが出来ないですからね。ちょうどいい感じだと力のない人の前にも出ることが出来るんですけど、そう言う場所って普通の人はやってこないんで幽霊ばっかりになっちゃうんですよ。でも、それだけ幽霊が集まっちゃうとその場所が力を持ちすぎちゃって幽霊すら寄り付かなくなっちゃうこともあったりするんです。そんな場所って、幽霊が気軽に立ち寄れなくなっていって神様が遊びにくるみたいな感じだそうですよ。私も詳しくは知らないですけど、そんな事があるってのは聞いたことがありますからね』
「それってさ、誰かに聞いたって事なの?」
『はい、そうですよ。真白先生が鵜崎家のお姉さん方に力の使い方を教わっている時に私も幽霊が立ち寄ってはいけない場所とかしてはいけない事とか教えてもらってましたからね。力のない人って幽霊を見ると条件反射的に除霊をしちゃおうとするらしいんで、私が無害な幽霊だよって事をアピールしないと危険だって事も教えてもらったんですよね。その時にアピールするのにこの鵜崎家公認の幽霊である証を見せなさいって言われてるんですよ』
私の手のひらにうっすらと浮かんでいる印は鵜崎家の人間に付き従っている幽霊だという証拠になるそうだ。本来であればその印は真白先生に突けてもらう必要があるみたいだけれど、当時の真白先生にそんな事をする力が無かったので代わりに真白先生の妹である紗雪さんにつけてもらったのだ。
刺青なんかとは違ってただ握手をしてもらっただけでこの印をつけてもらえたのだが、本来であればもっと時間をかけて準備をしないとここまでハッキリと印が浮かんだりしないらしい。私にはそこまでハッキリと印が見えているわけではないので意識してみなければわからない事なのだが、霊能力がある人が見ると一目で鵜崎家のしるしだという事がわかってしまうそうなのだ。
「何それ、そんなの俺も知らなかったんだけど。いつの間にそんなの付けてたのさ」
『真白先生が鵜崎家でいろいろ学んでいた時ですね。その時に紗雪さんからつけてもらったんですよ』
「その時って、紗雪はまだ小さかったと思うんだけどな。そんな時から霊能力者として天才的な力を持ってたって事なんだもんな。鵜崎家の女性ってだけでそれだけの力を持ってるのも凄いと思うけどさ、それをちゃんと使いこなせてるのも凄いよな。俺だったらたぶんだけど、その力を持て余して無駄に疲れてたと思うよ。どれだけ頑張っても俺に出来ないことを紗雪は簡単にやってしまうんだよな。この前だってその前だっていつだって俺は紗雪に助けられてきたし。だからこそ、今回は紗雪の力には頼らずに自分の力で解決したいって思ってるんだけど、幽霊がいないんじゃ俺もヒナミもどうすることも出来ないんだもんね」
「でも、鵜崎先生が来てから今までわからなかったことも色々知れたんで良かったと思いますよ。鵜崎先生とヒナミちゃんが亀島に来て最初に鳥島を見た時に見えた人が僕のお母さんかばあちゃんかもしれないってのは驚きました。それに、この鳥島に来た時にも頂上にあった鳥居の中に幽霊が閉じ込められてたってのもわかりましたしね」
「その鳥居なんだけどさ、本当に俺達が見たのかな。何となくだけど、現実世界のモノではなかったんじゃないかなって思うんだよね。でも、そうなると俺と忍ちゃんがそんな催眠にかかることはあったとしてもさ、幽霊であるヒナミには何の影響も与えられないと思うんだよな」
『私が見たのが忍ちゃんの家族の人かはわかりませんが、行動の特徴が一致してるって伝八さんは言ってましたね。それだけで決めつけることなんて出来ないと思いますけど、その可能性は高いと思うんですよね。でも、そうなると、あの人がどこにいるのか探して聞かないとダメなんですよね。本当に、この島のどこに隠れているんでしょうね』
私達は忍ちゃんの声がおかしくなった場所を中心に鳥島の頂上へと向かっているのだ。島の端を歩いているという事もあって海からの風にさらされてしまっているのだけれど真白先生も忍ちゃんも全身に風を受けても平然としているのでそこまで強い風は吹いていないようだ。
これからどれくらい荒れるのかわからないけれど、真白先生も忍ちゃんもあまり心配はしていないように見える。風を遮ることが出来るような場所は頂上にある社くらいだと思うのだけれど、あの小さな社に二人も入って大丈夫なのだろうか。いや、私を入れると三人になってしまうと思うけれど、真白先生と忍ちゃんがエッチな事をし始めたら私はどこにも逃げ場がないような予感がしていた。
ふと忍ちゃんを見てみたのだが、その表情はまるでこれから大人への階段を上るために全てを受け入れているようにも見えたのだ。だが少しだけ落ち着いて欲しい。神聖なる社の中でそのような事をしてしまうと神罰がくだってしまうのではないだろうか。少なくとも、私が神様の立場であれば良い気はせず、二人に対して憎しみの感情が芽生えてしまうような予感はしていたのだった。
「僕の声が変に途切れ途切れになってたのってここですよね。他の場所では普通だったのに、この辺で喋ってる時だけ変な感じになってたのはおかしいですよね。今だって鵜崎先生が僕の事を撮ってくれてますけど、たぶんカメラもスマホも異常なんてないですよね。あの時はたまたま僕の声だけ変になるようなエラーがあったって事も考えにくいですし、この場所に何かそうなるような原因があると思ったんですけどね。でも、パッと見た感じエラーを起こさせるようなものは見当たらないですし、そんなものがあったとしても僕だけ声が変になるのも不自然ですからね。鵜崎先生も忍ちゃんも何か変わった感じとかしてないですよね?」
「俺はさっぱり何も感じてないな。ヒナミは相変わらず他の幽霊の気配すら感じてないの?」
『そうですよ。痕跡すら感じられないです。幽霊が全くいない場所って極端な場所が多いんですよね。霊場として極端に力が貯まりすぎているとか、逆に枯渇し過ぎて幽霊として存在出来ないとかありますもん。私がこうして存在している事でこの場所が霊的な力の枯渇も強すぎるという事もない証拠になると思うんですよ。力が強すぎても弱すぎても私達幽霊ってこの世界に存在することが出来ないですからね。ちょうどいい感じだと力のない人の前にも出ることが出来るんですけど、そう言う場所って普通の人はやってこないんで幽霊ばっかりになっちゃうんですよ。でも、それだけ幽霊が集まっちゃうとその場所が力を持ちすぎちゃって幽霊すら寄り付かなくなっちゃうこともあったりするんです。そんな場所って、幽霊が気軽に立ち寄れなくなっていって神様が遊びにくるみたいな感じだそうですよ。私も詳しくは知らないですけど、そんな事があるってのは聞いたことがありますからね』
「それってさ、誰かに聞いたって事なの?」
『はい、そうですよ。真白先生が鵜崎家のお姉さん方に力の使い方を教わっている時に私も幽霊が立ち寄ってはいけない場所とかしてはいけない事とか教えてもらってましたからね。力のない人って幽霊を見ると条件反射的に除霊をしちゃおうとするらしいんで、私が無害な幽霊だよって事をアピールしないと危険だって事も教えてもらったんですよね。その時にアピールするのにこの鵜崎家公認の幽霊である証を見せなさいって言われてるんですよ』
私の手のひらにうっすらと浮かんでいる印は鵜崎家の人間に付き従っている幽霊だという証拠になるそうだ。本来であればその印は真白先生に突けてもらう必要があるみたいだけれど、当時の真白先生にそんな事をする力が無かったので代わりに真白先生の妹である紗雪さんにつけてもらったのだ。
刺青なんかとは違ってただ握手をしてもらっただけでこの印をつけてもらえたのだが、本来であればもっと時間をかけて準備をしないとここまでハッキリと印が浮かんだりしないらしい。私にはそこまでハッキリと印が見えているわけではないので意識してみなければわからない事なのだが、霊能力がある人が見ると一目で鵜崎家のしるしだという事がわかってしまうそうなのだ。
「何それ、そんなの俺も知らなかったんだけど。いつの間にそんなの付けてたのさ」
『真白先生が鵜崎家でいろいろ学んでいた時ですね。その時に紗雪さんからつけてもらったんですよ』
「その時って、紗雪はまだ小さかったと思うんだけどな。そんな時から霊能力者として天才的な力を持ってたって事なんだもんな。鵜崎家の女性ってだけでそれだけの力を持ってるのも凄いと思うけどさ、それをちゃんと使いこなせてるのも凄いよな。俺だったらたぶんだけど、その力を持て余して無駄に疲れてたと思うよ。どれだけ頑張っても俺に出来ないことを紗雪は簡単にやってしまうんだよな。この前だってその前だっていつだって俺は紗雪に助けられてきたし。だからこそ、今回は紗雪の力には頼らずに自分の力で解決したいって思ってるんだけど、幽霊がいないんじゃ俺もヒナミもどうすることも出来ないんだもんね」
「でも、鵜崎先生が来てから今までわからなかったことも色々知れたんで良かったと思いますよ。鵜崎先生とヒナミちゃんが亀島に来て最初に鳥島を見た時に見えた人が僕のお母さんかばあちゃんかもしれないってのは驚きました。それに、この鳥島に来た時にも頂上にあった鳥居の中に幽霊が閉じ込められてたってのもわかりましたしね」
「その鳥居なんだけどさ、本当に俺達が見たのかな。何となくだけど、現実世界のモノではなかったんじゃないかなって思うんだよね。でも、そうなると俺と忍ちゃんがそんな催眠にかかることはあったとしてもさ、幽霊であるヒナミには何の影響も与えられないと思うんだよな」
『私が見たのが忍ちゃんの家族の人かはわかりませんが、行動の特徴が一致してるって伝八さんは言ってましたね。それだけで決めつけることなんて出来ないと思いますけど、その可能性は高いと思うんですよね。でも、そうなると、あの人がどこにいるのか探して聞かないとダメなんですよね。本当に、この島のどこに隠れているんでしょうね』
私達は忍ちゃんの声がおかしくなった場所を中心に鳥島の頂上へと向かっているのだ。島の端を歩いているという事もあって海からの風にさらされてしまっているのだけれど真白先生も忍ちゃんも全身に風を受けても平然としているのでそこまで強い風は吹いていないようだ。
これからどれくらい荒れるのかわからないけれど、真白先生も忍ちゃんもあまり心配はしていないように見える。風を遮ることが出来るような場所は頂上にある社くらいだと思うのだけれど、あの小さな社に二人も入って大丈夫なのだろうか。いや、私を入れると三人になってしまうと思うけれど、真白先生と忍ちゃんがエッチな事をし始めたら私はどこにも逃げ場がないような予感がしていた。
ふと忍ちゃんを見てみたのだが、その表情はまるでこれから大人への階段を上るために全てを受け入れているようにも見えたのだ。だが少しだけ落ち着いて欲しい。神聖なる社の中でそのような事をしてしまうと神罰がくだってしまうのではないだろうか。少なくとも、私が神様の立場であれば良い気はせず、二人に対して憎しみの感情が芽生えてしまうような予感はしていたのだった。
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