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離島編
第二十四話 真白先生と私の今の問題は何か
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私の事を認識出来ないのは普通だと思うんですけど、認識は出来ていないはずなのになぜか私の存在を感じ取っている人はいたりするんですよね。それは霊感とは違うものだと思うんですが、説明のつかない不思議な力で私がここに居るという事を感じ取ることが出来る人がいたりするもんなんですよね。でも、なぜかこの島の人達にはそう言った力がある人って誰もいないみたいなんですよ。
『私の姿が見えてるのって、真白先生と忍ちゃんだけって事なんですかね?』
「今の感じだとそうなんだろうね。でも、忍ちゃんも少しずつヒナミの事が見えなくなってるみたいなんだよな。もしかしたら、毎日出しちゃってるせいで俺のが薄くなっちゃったのかもな」
『そんなことは無いと思いますけどね。でも、最初の時みたいに時間をかけずに義務的な感じになってるような気もしてるんですよね。真白先生はそう感じたりしてないですか?』
「そう思わないことも無いけどさ、そんな事を義務でやったりするのかなとは思うよね。今日だってお昼ご飯を食べる前にサクッと出しちゃったけど、今思えば流れ作業みたいになってるような気もしないでもないかな。俺がそう感じちゃうって事はさ、ヒナミが思ってるみたいに義務としてやってるって可能性もあるよね。でも、義務で俺のを咥えてたり俺が出したモノを飲んだりなんて出来ないと思うんだけどな」
『それはそうなんでしょうけど、私には何か目的が他にあるように思えてきたんですよね。この島に幽霊がいないってのはどう考えても不自然ですし、これだけ人のいる島で日中に残ってるのが忍ちゃんだけってのも変だと思いますよ。それを確かめるために紗雪さんを呼ぶわけにもいかないですし、真白先生が一人でその疑問に立ち向かう必要があるみたいですよね』
「そんな風に直接声にして言われちゃうとさ、確かめたいって気持ちよりも面倒な風に感じちゃうよね」
『そんなことを言って、この島にずっと残ろうとか考えてないですよね。そんな事を考えているんだとしたら、本当に紗雪さん達を呼んで真白先生の事をちゃんと叱ってもらうことにしますからね』
「さすがにそれはきついでしょ。ヒナミのその言い方だと俺が悪いみたいになっちゃうじゃないか。でもさ、この島に幽霊が全くいないってのは気になるよな。本当に紗雪を呼んで調べてもらった方が良いかもしれないけどさ、ヒナミは船酔いが酷いからここまで来ることだってできないんだってさ」
『それだったら、真白先生が自分の力だけでどうにかしないといけないって事ですもんね。私は協力してあげますけど、幽霊がいないこの状況では私が出来ることなんて一緒に考えることくらいしかないですよね。どうしてこの島には幽霊がいないのか調べる必要もありますよね』
「調べるにしても一人で自由に探すことなんて出来ないからな。今みたいに忍ちゃんがお風呂に入っている時間に探すにしても限界があるんだよな」
『でも、この島って何か隠しているような気もするんですよね』
私が幽霊の特権を生かして自由に調べることが出来れば一番いいんですけど、真白先生と一緒の空間にいないといけないという制約のせいでソレも上手くいかないんですよね。屋外なら自由に行動できるんじゃないかって思って試そうとしたこともあるんですけど、急に真白先生が建物の中に入っちゃったり閉ざされた空間に閉じ込められる可能性を考えるとあまり距離をあけるのは良くないと思うんです。
それに、この島の事を調べるにしても人間が歩いて行ける場所なんて限られてしまっているんですよね。鳥島だって最初に行った時に見た頂上の鳥居が見当たらない事以外は何も変わったところなんてないんですよね。最近は波も落ち着いていて二日に一回くらいは上陸することも出来るようになってるんですけど、鳥島の事を調べようにも行ける場所なんて全部調べつくしたと思います。島の中にある鳥居だって全部念入りに調べていますし、怪しい場所なんかも特になかったと思うんです。
そもそも、この島に幽霊がいないという事は真白先生がここにやってきた意味だってないんだと思うんですよ。幽霊の問題をどうにかするために鵜崎家の者としてやってきている真白先生が何もしないで帰る事なんて出来ないんですよね。すでに一か月以上も滞在しているわけですし、そんな状態で何の成果もありませんでしたと言って帰る事なんて出来ないですからね。
「ヒナミはさ、どうしてこの島に幽霊が一切いないと思う?」
『なんでなんでしょうね。どんな場所だって幽霊はいると思うんですけど、その気配も残留思念も無いってのは不思議でしょうがないんですよ。何か特別な結界があるんだとしたら私もそこに入れないと思いますが、こうして普通に行動出来ているってのが結界が無い証拠にもなるんじゃないかなって思います。私がこの島に来た時に最初に見た鳥島の幽霊さんに話を聞くことが出来ればいいんですけど、あの幽霊さんがどこにいるのかもわからないんですよね。鳥居の中にいた女の人もいなくなってますし、竹下のおばあちゃんの部屋も変化してるんですよね。そうなると、私がありもしない幻覚を見ていたって事になると思うんですけど、幽霊である私がそんなものを見て騙されるとかあるんでしょうか?』
「幽霊を騙す方法ならいくらでもあるんだけどさ、竹下のおばあちゃんの部屋が変ったのは俺も見てるからな。幽霊だけを騙すのは簡単だし、人間だけを騙すのも簡単なんだよ。でも、幽霊も人間も騙すってのは難しいんじゃないかな。俺とヒナミは見てる世界が微妙に違うと思うんだけど、それを同時に変化させるってのはそんなに簡単じゃないと思うんだよね」
私と真白先生に見えている世界が微妙に違うのは何となく理解出来る。私には幽霊が見えているけど真白先生には私以外の幽霊は見えないのだ。もしかしたら、私には見えていないけど真白先生には見えている物だってあるのかもしれない。それが何なのかは今はわからないけれど、竹下のおばあちゃんの部屋が変わっていたのも鳥島の頂上にあった鳥居がお社に変わっていたのもそんな事で説明出来るのかもしれないなと思ってしまったのだった。
『私の姿が見えてるのって、真白先生と忍ちゃんだけって事なんですかね?』
「今の感じだとそうなんだろうね。でも、忍ちゃんも少しずつヒナミの事が見えなくなってるみたいなんだよな。もしかしたら、毎日出しちゃってるせいで俺のが薄くなっちゃったのかもな」
『そんなことは無いと思いますけどね。でも、最初の時みたいに時間をかけずに義務的な感じになってるような気もしてるんですよね。真白先生はそう感じたりしてないですか?』
「そう思わないことも無いけどさ、そんな事を義務でやったりするのかなとは思うよね。今日だってお昼ご飯を食べる前にサクッと出しちゃったけど、今思えば流れ作業みたいになってるような気もしないでもないかな。俺がそう感じちゃうって事はさ、ヒナミが思ってるみたいに義務としてやってるって可能性もあるよね。でも、義務で俺のを咥えてたり俺が出したモノを飲んだりなんて出来ないと思うんだけどな」
『それはそうなんでしょうけど、私には何か目的が他にあるように思えてきたんですよね。この島に幽霊がいないってのはどう考えても不自然ですし、これだけ人のいる島で日中に残ってるのが忍ちゃんだけってのも変だと思いますよ。それを確かめるために紗雪さんを呼ぶわけにもいかないですし、真白先生が一人でその疑問に立ち向かう必要があるみたいですよね』
「そんな風に直接声にして言われちゃうとさ、確かめたいって気持ちよりも面倒な風に感じちゃうよね」
『そんなことを言って、この島にずっと残ろうとか考えてないですよね。そんな事を考えているんだとしたら、本当に紗雪さん達を呼んで真白先生の事をちゃんと叱ってもらうことにしますからね』
「さすがにそれはきついでしょ。ヒナミのその言い方だと俺が悪いみたいになっちゃうじゃないか。でもさ、この島に幽霊が全くいないってのは気になるよな。本当に紗雪を呼んで調べてもらった方が良いかもしれないけどさ、ヒナミは船酔いが酷いからここまで来ることだってできないんだってさ」
『それだったら、真白先生が自分の力だけでどうにかしないといけないって事ですもんね。私は協力してあげますけど、幽霊がいないこの状況では私が出来ることなんて一緒に考えることくらいしかないですよね。どうしてこの島には幽霊がいないのか調べる必要もありますよね』
「調べるにしても一人で自由に探すことなんて出来ないからな。今みたいに忍ちゃんがお風呂に入っている時間に探すにしても限界があるんだよな」
『でも、この島って何か隠しているような気もするんですよね』
私が幽霊の特権を生かして自由に調べることが出来れば一番いいんですけど、真白先生と一緒の空間にいないといけないという制約のせいでソレも上手くいかないんですよね。屋外なら自由に行動できるんじゃないかって思って試そうとしたこともあるんですけど、急に真白先生が建物の中に入っちゃったり閉ざされた空間に閉じ込められる可能性を考えるとあまり距離をあけるのは良くないと思うんです。
それに、この島の事を調べるにしても人間が歩いて行ける場所なんて限られてしまっているんですよね。鳥島だって最初に行った時に見た頂上の鳥居が見当たらない事以外は何も変わったところなんてないんですよね。最近は波も落ち着いていて二日に一回くらいは上陸することも出来るようになってるんですけど、鳥島の事を調べようにも行ける場所なんて全部調べつくしたと思います。島の中にある鳥居だって全部念入りに調べていますし、怪しい場所なんかも特になかったと思うんです。
そもそも、この島に幽霊がいないという事は真白先生がここにやってきた意味だってないんだと思うんですよ。幽霊の問題をどうにかするために鵜崎家の者としてやってきている真白先生が何もしないで帰る事なんて出来ないんですよね。すでに一か月以上も滞在しているわけですし、そんな状態で何の成果もありませんでしたと言って帰る事なんて出来ないですからね。
「ヒナミはさ、どうしてこの島に幽霊が一切いないと思う?」
『なんでなんでしょうね。どんな場所だって幽霊はいると思うんですけど、その気配も残留思念も無いってのは不思議でしょうがないんですよ。何か特別な結界があるんだとしたら私もそこに入れないと思いますが、こうして普通に行動出来ているってのが結界が無い証拠にもなるんじゃないかなって思います。私がこの島に来た時に最初に見た鳥島の幽霊さんに話を聞くことが出来ればいいんですけど、あの幽霊さんがどこにいるのかもわからないんですよね。鳥居の中にいた女の人もいなくなってますし、竹下のおばあちゃんの部屋も変化してるんですよね。そうなると、私がありもしない幻覚を見ていたって事になると思うんですけど、幽霊である私がそんなものを見て騙されるとかあるんでしょうか?』
「幽霊を騙す方法ならいくらでもあるんだけどさ、竹下のおばあちゃんの部屋が変ったのは俺も見てるからな。幽霊だけを騙すのは簡単だし、人間だけを騙すのも簡単なんだよ。でも、幽霊も人間も騙すってのは難しいんじゃないかな。俺とヒナミは見てる世界が微妙に違うと思うんだけど、それを同時に変化させるってのはそんなに簡単じゃないと思うんだよね」
私と真白先生に見えている世界が微妙に違うのは何となく理解出来る。私には幽霊が見えているけど真白先生には私以外の幽霊は見えないのだ。もしかしたら、私には見えていないけど真白先生には見えている物だってあるのかもしれない。それが何なのかは今はわからないけれど、竹下のおばあちゃんの部屋が変わっていたのも鳥島の頂上にあった鳥居がお社に変わっていたのもそんな事で説明出来るのかもしれないなと思ってしまったのだった。
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