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離島編
第二十三話 竹下のおばあちゃんの知っている事と知らない事
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竹下さん達に聞いても頂上にある鳥居の事はわからないそうだ。伝八さん達が漁協に行った際にお寺や神社の方々に尋ねてみても頂上に鳥居があるという話は誰も知らないそうだ。
私も真白先生も忍ちゃんも確かに鳥島に鳥居に囲まれた場所があったのを目撃しているのだけれど、私達以外にそれを見たという人もいないし話で聞いた事すらないというのだ。竹下さんのおばあちゃんもそんなものは知らないと言っているのもおかしいのだけれど、それ以上におかしいのは前に見た時のおばあちゃんの部屋は生活感が全くなく神社にお参りに来たのかと思うような部屋だったはずなのだが、部屋の中心にあるのは低めのゆったりとしたソファとその正面に大きなテレビがありその左右には大きめのスピーカーが設置されているのであった。
「前に来た時はもっと何も無かったと思うんですけど、模様替えとかしました?」
「模様替えなんてしてませんよ。配置はずっと前から一緒だからね。時々布団のカバーとかは変えてもらってるけどさ、それ以外は何も変わってなんていないさ。私くらいの年になると新しいものを置いても慣れるのに時間がかかっちゃうからさ、あんまり新しいものは置いたりしないんだよ」
『でも、この前に来た時は神社みたいな感じでしたよね?』
私だけがそう思っているんだったら気のせいだったんだろうって思うんでしょうが、私だけではなく真白先生も忍ちゃんも私と同じものを見ているはずなのだ。それなのに、おばあちゃんも他の人達もそんな場所は無いというのだ。私の声はみんなには届いていないと思うので真白先生と忍ちゃんに聞いてもらっているのだけれど、その途中で忍ちゃんもそんな場所が本当に合ったのか思い出せないと言い出してしまっていたのだ。
それともう一つ気になるのだが、おばあちゃんとは普通に話していたと思っているのだけれど、今日はなぜか私の声が聞こえていないようなのだ。私よりも小さい声でしゃべっている真白先生にはちゃんと答えているというのに、私の質問には何も答えてくれないのだ。それって、今は私の声も聞こえていないし姿も見えていないという事なのだろうか。私も聞きたいことは色々あるのだけれど、直接聞けないのだったら真白先生か忍ちゃんに聞いてもらうしかないとは思う。
「おばあちゃんは鳥島の頂上にある八基の鳥居の事は知らないの?」
「そんな物は聞いたことも無いね。ばあちゃんが鳥島に行ったのなんて何十年も前の話になるんだけどさ、その時も頂上に鳥居がたくさんあるのなんて見た事ないよ。頂上にはお社があって亀島の事を見守ってくれているんだけどね」
「そのお社って、何を祀っているかは知ってますか?」
「ごめんなさいね。中に何があるのかは知らないのよ。中を確かめようなんて罰当たりな事はしちゃダメだって思ってるからね」
おばあちゃんの言うことはもっともだと思うのだけれど、鳥島のお社の中に祀られているのはどこにでもありそうな鏡なんだよね。あの鏡がどれくらい凄いものなのかなんてわからないし、どこの神社にでもありそうな感じだったと思うんだ。
それに、鳥島に行く人なんてほとんどいないという話なのでもちろん日常的に手入れをされているわけでもないから神様だっていないんじゃないかと思う。少なくとも、あの島で見たのは最初に頂上にあった鳥居の中にいる女性だけで、幽霊も神様も動物も虫も見なかったんだよな。虫くらいならいてもおかしくないと思うし、幽霊だって本気で探せば見つかるもんだと思うのだけれど、鳥島だけではなく亀島にも幽霊さんの気配を全く感じることも無かった。
「忍ちゃん達は明日も亀島から鳥島に行くのかい?」
「明日は行く予定じゃないよ。僕も鵜崎先生もまだこっちでやり残してることもあるからね。鳥島に行くのはそれが終わってからになるかもしれないな。ね、鵜崎先生」
急に振られた話題がそれだったので真白先生は驚いていたのだけれど、忍ちゃんが全くの平常心で話しかけてきているので真白先生も変に動揺せずに普通に答えようとしていたのだ。
しかし、とっさの出来事にうまく対応できない真白先生は微妙にどもったような感じで答えていたのであった。
こんな時に冷静でいられないのが真白先生の良いところでもあるのだろう。そんな風に変な感じになっている真白先生を見て忍ちゃんも笑っているのでコレはコレで良いことではあるんだろうな。
「おばあちゃんはさ、他に鳥島の事について詳しい人って誰か知らないかな?」
「この島にはいないんじゃないかね。役場まで行けば誰か知ってるかもしれないけど、直接鳥島に行ったことがある人なんて役場にはいないだろうしな。ばあちゃんが元気だったら一緒に行って気になるところを調べてあげてもいいんだけどね」
『真白先生も忍ちゃんも最後までエッチをしようって考えてるだけじゃなくて、もう少しこの島と鳥島の事も考えた方が良いんじゃないですかね。明日は晴れで絶好の探索日和だと思うんですけど、どうせ二人はまたエッチをしようと努力するんですよね。それはそれで大切なことだと思いますけど、それよりも先に鳥島にいた鳥居の中の人の事を調べた方が良いと思うんですけどね』
私が急にそんなことを言いだしたので真白先生も忍ちゃんも下を向いて固まってしまっていたのですが、なぜかおばあちゃんは私の言葉が聞こえていたかのようにうなずいていた。
私の声がおばあちゃんにも聞こえるようになったのかなと思って挨拶をしてみたのだけれど、それに対するリアクションが返ってくることは無かったのだった。
私も真白先生も忍ちゃんも確かに鳥島に鳥居に囲まれた場所があったのを目撃しているのだけれど、私達以外にそれを見たという人もいないし話で聞いた事すらないというのだ。竹下さんのおばあちゃんもそんなものは知らないと言っているのもおかしいのだけれど、それ以上におかしいのは前に見た時のおばあちゃんの部屋は生活感が全くなく神社にお参りに来たのかと思うような部屋だったはずなのだが、部屋の中心にあるのは低めのゆったりとしたソファとその正面に大きなテレビがありその左右には大きめのスピーカーが設置されているのであった。
「前に来た時はもっと何も無かったと思うんですけど、模様替えとかしました?」
「模様替えなんてしてませんよ。配置はずっと前から一緒だからね。時々布団のカバーとかは変えてもらってるけどさ、それ以外は何も変わってなんていないさ。私くらいの年になると新しいものを置いても慣れるのに時間がかかっちゃうからさ、あんまり新しいものは置いたりしないんだよ」
『でも、この前に来た時は神社みたいな感じでしたよね?』
私だけがそう思っているんだったら気のせいだったんだろうって思うんでしょうが、私だけではなく真白先生も忍ちゃんも私と同じものを見ているはずなのだ。それなのに、おばあちゃんも他の人達もそんな場所は無いというのだ。私の声はみんなには届いていないと思うので真白先生と忍ちゃんに聞いてもらっているのだけれど、その途中で忍ちゃんもそんな場所が本当に合ったのか思い出せないと言い出してしまっていたのだ。
それともう一つ気になるのだが、おばあちゃんとは普通に話していたと思っているのだけれど、今日はなぜか私の声が聞こえていないようなのだ。私よりも小さい声でしゃべっている真白先生にはちゃんと答えているというのに、私の質問には何も答えてくれないのだ。それって、今は私の声も聞こえていないし姿も見えていないという事なのだろうか。私も聞きたいことは色々あるのだけれど、直接聞けないのだったら真白先生か忍ちゃんに聞いてもらうしかないとは思う。
「おばあちゃんは鳥島の頂上にある八基の鳥居の事は知らないの?」
「そんな物は聞いたことも無いね。ばあちゃんが鳥島に行ったのなんて何十年も前の話になるんだけどさ、その時も頂上に鳥居がたくさんあるのなんて見た事ないよ。頂上にはお社があって亀島の事を見守ってくれているんだけどね」
「そのお社って、何を祀っているかは知ってますか?」
「ごめんなさいね。中に何があるのかは知らないのよ。中を確かめようなんて罰当たりな事はしちゃダメだって思ってるからね」
おばあちゃんの言うことはもっともだと思うのだけれど、鳥島のお社の中に祀られているのはどこにでもありそうな鏡なんだよね。あの鏡がどれくらい凄いものなのかなんてわからないし、どこの神社にでもありそうな感じだったと思うんだ。
それに、鳥島に行く人なんてほとんどいないという話なのでもちろん日常的に手入れをされているわけでもないから神様だっていないんじゃないかと思う。少なくとも、あの島で見たのは最初に頂上にあった鳥居の中にいる女性だけで、幽霊も神様も動物も虫も見なかったんだよな。虫くらいならいてもおかしくないと思うし、幽霊だって本気で探せば見つかるもんだと思うのだけれど、鳥島だけではなく亀島にも幽霊さんの気配を全く感じることも無かった。
「忍ちゃん達は明日も亀島から鳥島に行くのかい?」
「明日は行く予定じゃないよ。僕も鵜崎先生もまだこっちでやり残してることもあるからね。鳥島に行くのはそれが終わってからになるかもしれないな。ね、鵜崎先生」
急に振られた話題がそれだったので真白先生は驚いていたのだけれど、忍ちゃんが全くの平常心で話しかけてきているので真白先生も変に動揺せずに普通に答えようとしていたのだ。
しかし、とっさの出来事にうまく対応できない真白先生は微妙にどもったような感じで答えていたのであった。
こんな時に冷静でいられないのが真白先生の良いところでもあるのだろう。そんな風に変な感じになっている真白先生を見て忍ちゃんも笑っているのでコレはコレで良いことではあるんだろうな。
「おばあちゃんはさ、他に鳥島の事について詳しい人って誰か知らないかな?」
「この島にはいないんじゃないかね。役場まで行けば誰か知ってるかもしれないけど、直接鳥島に行ったことがある人なんて役場にはいないだろうしな。ばあちゃんが元気だったら一緒に行って気になるところを調べてあげてもいいんだけどね」
『真白先生も忍ちゃんも最後までエッチをしようって考えてるだけじゃなくて、もう少しこの島と鳥島の事も考えた方が良いんじゃないですかね。明日は晴れで絶好の探索日和だと思うんですけど、どうせ二人はまたエッチをしようと努力するんですよね。それはそれで大切なことだと思いますけど、それよりも先に鳥島にいた鳥居の中の人の事を調べた方が良いと思うんですけどね』
私が急にそんなことを言いだしたので真白先生も忍ちゃんも下を向いて固まってしまっていたのですが、なぜかおばあちゃんは私の言葉が聞こえていたかのようにうなずいていた。
私の声がおばあちゃんにも聞こえるようになったのかなと思って挨拶をしてみたのだけれど、それに対するリアクションが返ってくることは無かったのだった。
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