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アイドル編
最終話 真白先生は離島へ行くことになりました
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私たちが離島へ向けて出発することを聞いた楓さんが私たちのもとへと駆けつけてくれた。二日前に見た時よりも随分とやつれてしまっているが、その目に宿る情熱は以前と何も変わらないように見えた。
「私のせいでご迷惑をおかけして申し訳ないです」
「いえいえ、こちらの方こそ知らなかったとはいえ大変失礼したしました」
「私がちょっと悪乗りをしてしまったのが原因ですので。今もヒナミさんは近くにいるんですか?」
「はい、すぐそばにいますけど、もう見えなくなっちゃったんですか?」
さっきから私の方をチラチラと見ているとは思っていたけれど、いっこうに目が合わないのが不思議であった。あんなことがあった直後なので目を見れないのかなとも思っていたけれど、私の姿も声も楓さんには届かなくなってしまったようだ。
ここで真白先生の精液を飲めば前みたいに話も出来るようになるのかもしれないと思ったけれど、そんな事をする理由が今の楓さんにはないのだ。
「あの、鵜崎家の方からも直接今回の件で約束していた報酬はいただけないという連絡が着たんですけど、本当にそれでいいんですかね?」
「そう言うことなんで気にしなくて大丈夫ですよ。それに、約束の代金代わりにやつはもう前払いしてもらったみたいなもんですから」
「そ、そうでしたね。でも、私はちゃんとこの体でお支払いしたいと思ってましたよ。愛が無かったとしても真白先生からは他の人にはない思いやりを感じさせるような素敵な時間でしたからね。私の体調が戻ったら、今回の件とは関係なく一度どうですか?」
「いや、そう言うのはやめておきましょう。私にとってとても魅力的なご提案ではありますけど、楓さんにとってその行動がプラスになることは無いと思いますよ。私が言うのも変な話ではありますが、ご自身の事をもっと大切にした方が良いと思いますよ。ヒナミもそう言ってますし」
『私はそんな事言ってないですよ。ただ、今まで見てきた人達の中で一番気持ちよさそうにしてきたのは楓さんだとは思いますけどね』
「そうなですか。そうですね。ヒナミちゃんにもそう言われているなら仕方ないです。真白先生とヒナミちゃんが言う通りにして、私はもう少し健康になれるように努力しますよ」
見送りに来てくれたのは楓さんだけだった。紗雪さんは起きてからすぐに電車に乗って家に帰ってしまったし、明里さん達は普通に授業があるとのことでお見送りにくることは出来なかった。
『何だか今生の別れみたいになってますね。でも、永遠に離島に閉じ込められるわけでもないんですし、せっかくだから楽しんでみたらどうですか?』
「楽しむと言われてもな。俺は釣りもダイビングもやらないからな。離島なんていっても何もしないで時間が過ぎてくだけだと思うよ」
『せっかくだし、エッチな事以外でも趣味を見付けたらいいと思うんですけどね。それにしても、フェリーって幽霊の私が乗っても大丈夫なんでしょうか?』
「さあ、運賃も一応払ってるから大丈夫じゃないか。チケットも二枚あるし」
真白先生が見せてくれたチケットには名前が書かれ値ているのだが、そこには鵜崎真白と鵜崎紗雪と書かれているのだ。なんで紗雪さんの名前が?
「あれ、チケットの名前がヒナミじゃなくて紗雪になってる。これって、紗雪も一緒についてくるって事なのか?」
真白先生はその事を確認するために紗雪さんに電話をしているのだけれど、紗雪さんは真白先生の電話には出なかったようだ。
続いて真白先生は鵜崎家に電話をしていたのだが、そちらはすぐに繋がって紗雪さんの名前が記載されたチケットの謎が解けたようだ。
「チケットに書かれている名前なんだけどさ、鵜崎紗雪って書かれているのは間違いじゃないらしいよ。でも、紗雪はこのフェリーには乗らないってさ。何でも、ここからフェリーで丸二日くらいかかる船旅になるらしいんだけど、少しでもゆっくりできるように二人部屋を予約しておいたんだって。それ以外の個室はもう埋まってたって話なんだけど、一人で二人部屋はとれないから俺と紗雪の名前を使ったって事らしいよ」
『そうなんですね。紗雪さんは学校もあるから来ることは出来ないだろうなって思ったんですけど、昨日みたいな感じだと普通についてくるような感じでしたよね』
「そうなんだよな。紗雪だけじゃなくて母さんも叔母さんも行動が読めないんだよな。鵜崎家の女ってだけでも少し怖いのにさ、そんな謎な行動ばっかりとられたら俺も困っちゃうよ」
実際に真白先生は鵜崎家の女性に対して頭があがらないし、逆らう事も出来ないのだろう。本来ならこの世に生まれてくることが無かった真白先生は鵜崎家には逆らうことが出来ないのだ。もしも逆らったとしたら、この世に真白先生がいた痕跡を根こそぎ消去していくのだ問う話を冗談交じりにされたことがある。ただ、その事を話してくれた真白先生の表情がだんだんと曇っていったのは何か理由があったのだろうとその時は想像していたのだ。
何も無い水平線に沈んでいく太陽を見て綺麗だと感動していたのだが、太陽が完全に落ちてしばらく経った後の世界は満天の星空で、その一つ一つの輝きが今にも零れ落ちて来そうなくらい大量に輝いていた。
その星の輝きを見ていた私は思わず真白先生の方に寄り添ってみたのだけれど、ほんの少しだけ真白先生の体を感じ取ることが出来たような気がしていた。
「私のせいでご迷惑をおかけして申し訳ないです」
「いえいえ、こちらの方こそ知らなかったとはいえ大変失礼したしました」
「私がちょっと悪乗りをしてしまったのが原因ですので。今もヒナミさんは近くにいるんですか?」
「はい、すぐそばにいますけど、もう見えなくなっちゃったんですか?」
さっきから私の方をチラチラと見ているとは思っていたけれど、いっこうに目が合わないのが不思議であった。あんなことがあった直後なので目を見れないのかなとも思っていたけれど、私の姿も声も楓さんには届かなくなってしまったようだ。
ここで真白先生の精液を飲めば前みたいに話も出来るようになるのかもしれないと思ったけれど、そんな事をする理由が今の楓さんにはないのだ。
「あの、鵜崎家の方からも直接今回の件で約束していた報酬はいただけないという連絡が着たんですけど、本当にそれでいいんですかね?」
「そう言うことなんで気にしなくて大丈夫ですよ。それに、約束の代金代わりにやつはもう前払いしてもらったみたいなもんですから」
「そ、そうでしたね。でも、私はちゃんとこの体でお支払いしたいと思ってましたよ。愛が無かったとしても真白先生からは他の人にはない思いやりを感じさせるような素敵な時間でしたからね。私の体調が戻ったら、今回の件とは関係なく一度どうですか?」
「いや、そう言うのはやめておきましょう。私にとってとても魅力的なご提案ではありますけど、楓さんにとってその行動がプラスになることは無いと思いますよ。私が言うのも変な話ではありますが、ご自身の事をもっと大切にした方が良いと思いますよ。ヒナミもそう言ってますし」
『私はそんな事言ってないですよ。ただ、今まで見てきた人達の中で一番気持ちよさそうにしてきたのは楓さんだとは思いますけどね』
「そうなですか。そうですね。ヒナミちゃんにもそう言われているなら仕方ないです。真白先生とヒナミちゃんが言う通りにして、私はもう少し健康になれるように努力しますよ」
見送りに来てくれたのは楓さんだけだった。紗雪さんは起きてからすぐに電車に乗って家に帰ってしまったし、明里さん達は普通に授業があるとのことでお見送りにくることは出来なかった。
『何だか今生の別れみたいになってますね。でも、永遠に離島に閉じ込められるわけでもないんですし、せっかくだから楽しんでみたらどうですか?』
「楽しむと言われてもな。俺は釣りもダイビングもやらないからな。離島なんていっても何もしないで時間が過ぎてくだけだと思うよ」
『せっかくだし、エッチな事以外でも趣味を見付けたらいいと思うんですけどね。それにしても、フェリーって幽霊の私が乗っても大丈夫なんでしょうか?』
「さあ、運賃も一応払ってるから大丈夫じゃないか。チケットも二枚あるし」
真白先生が見せてくれたチケットには名前が書かれ値ているのだが、そこには鵜崎真白と鵜崎紗雪と書かれているのだ。なんで紗雪さんの名前が?
「あれ、チケットの名前がヒナミじゃなくて紗雪になってる。これって、紗雪も一緒についてくるって事なのか?」
真白先生はその事を確認するために紗雪さんに電話をしているのだけれど、紗雪さんは真白先生の電話には出なかったようだ。
続いて真白先生は鵜崎家に電話をしていたのだが、そちらはすぐに繋がって紗雪さんの名前が記載されたチケットの謎が解けたようだ。
「チケットに書かれている名前なんだけどさ、鵜崎紗雪って書かれているのは間違いじゃないらしいよ。でも、紗雪はこのフェリーには乗らないってさ。何でも、ここからフェリーで丸二日くらいかかる船旅になるらしいんだけど、少しでもゆっくりできるように二人部屋を予約しておいたんだって。それ以外の個室はもう埋まってたって話なんだけど、一人で二人部屋はとれないから俺と紗雪の名前を使ったって事らしいよ」
『そうなんですね。紗雪さんは学校もあるから来ることは出来ないだろうなって思ったんですけど、昨日みたいな感じだと普通についてくるような感じでしたよね』
「そうなんだよな。紗雪だけじゃなくて母さんも叔母さんも行動が読めないんだよな。鵜崎家の女ってだけでも少し怖いのにさ、そんな謎な行動ばっかりとられたら俺も困っちゃうよ」
実際に真白先生は鵜崎家の女性に対して頭があがらないし、逆らう事も出来ないのだろう。本来ならこの世に生まれてくることが無かった真白先生は鵜崎家には逆らうことが出来ないのだ。もしも逆らったとしたら、この世に真白先生がいた痕跡を根こそぎ消去していくのだ問う話を冗談交じりにされたことがある。ただ、その事を話してくれた真白先生の表情がだんだんと曇っていったのは何か理由があったのだろうとその時は想像していたのだ。
何も無い水平線に沈んでいく太陽を見て綺麗だと感動していたのだが、太陽が完全に落ちてしばらく経った後の世界は満天の星空で、その一つ一つの輝きが今にも零れ落ちて来そうなくらい大量に輝いていた。
その星の輝きを見ていた私は思わず真白先生の方に寄り添ってみたのだけれど、ほんの少しだけ真白先生の体を感じ取ることが出来たような気がしていた。
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